表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/19

独り言

 少し前にお風呂へ行ったら、知らないおばさんに延々と話しかけられました。

 最初は「ここいい湯ですね~」なんて声を掛けられて、全裸の解放感から「そうですね~うふふ」って返事をしたのですが、おばさんの目を見た途端にしまった! と思いました。

 おばさんの目からは、貪欲さが素っ裸で輝いていたのです。

 梨鳥はこの目に見覚えがありました。

 兼六園で一時間以上後をついてきて、ウンチクを垂れたおじさんがいたのですが、そのおじさんと同じ目でした。

 その時は、人の良さそうな老夫婦に近寄って巻き込んで擦り付けて逃げるという中々ゲスな方法で逃れたのですが、お風呂おばさんは梨鳥が来る前から場を荒らしていたらしく、気がつけば皆遠巻きに「あ~あ…」な空気を醸し出していたので梨鳥も盛大に「あ~あ…」でした。

 おばさんは喋る、喋る。合いの手も必要ありません。語尾に自分で「うん」って返事をしていました。

 彼女が求めているのは「湯に浸かりながら一緒に楽しむ知り合い・友人がいるワタシ」の演出だと推測されます。便所で一人弁当するタイプですね。

 喋りの切れ間が無いから、「じゃ……(サヨナラ)」が出来ない。

 梨鳥は唐突に「ウーン…」と伸びをして、会話を切り、会釈をして桧風呂から岩風呂へ移りましたが、おばさんはついてきました。

 そして、江戸時代は混浴だった事を散々熱弁し、大声で下ネタを吐き散らしました。

 梨鳥も下ネタは好きなのですがどっちかというと「うんこ」とかそういう排泄物系が好きなので、おばさんの好みとは相容れませんでした。

 新たにやって来た事情を知らない人には白い目で見られるし、楽しい温泉時間が台無しでした。

 お店の人が肌に良い塩を桶に盛ってやって来る「塩タイム」がなかったら、多分逃れられなかった。

 お風呂おばさんはガッチガチに梨鳥を呪縛していたのに、サッと立ち上がって呪縛を解きました。もはや彼女の視界には、桶に盛られた塩のみ。

 梨鳥≪塩(いいけどさ!!)

 加えて、「わたし、もう行くわね」と、さも梨鳥がおばさんを引き留めていたみたいにちょっと面倒くさそうにされたのも納得がいかん。

 あんたさんがずっと喋っとったがね!

 ここで梨鳥も塩を求めて行ったら、もっと喋りたいみたいだから塩諦めた。塩……。

 今度からお風呂で知らない人に話しかけられたら、潜水をして逃れようと思います。


 一方的に話すの良くない。

 梨鳥もよく一方的に話すけど、良くない。

 一方的に話したいときは、エッセイに限る。

 これがエッセイなのか、と言われたらモゴモゴするしかないけれど、こういう隅っこの方でやるに限るだわさ。

 

 なんか短いからもう一個一方的に話すと、今日は大雨の中免許の書き換えに行ってきました。

 視力検査の時に右を左と豪語して、係の人に「本当にそう思うかい?」と聞かれました。


「はい。お箸を持つ方が割れています!」


 と、元気よく答えました。


「左利き?」

「右利きです! あっ!! ……右……こっちは、右だ……!?」


 なんか、悟りを開いた人みたいに右手を見つめて呟いてしまいました。係の人も、新型肺炎の影響で更新にやってくる人が少なくて、心に余裕があったのでしょう、


「そう……右なんですよね、そっち」


 と、優しかったです。ありがとうございます。 

 あとさーーー、写真撮る係のおばさん無情すぎ。

 座った瞬間にパシャッて!!

 前回も変な写真だったから今回は!!って意気込んでいたのに、そんなのムリゲーじゃない、もうちょっと「いいですか?」とか確認してよ!!

 それにさー、毎回なんで唇が紫色になるの? 前回のも紫色だったから、真っ赤な口紅塗ったのに、こりゃないわ。

 補正機能とかしてよ。身分証になるのに、こんな実物とかけ離れた唇の色していたら困るよ……。

 身分証の写真が、パッと見ヘビーメタルの女だと怪しまれるよ。

 よろしくお願いしますよ。


 以上。梨鳥はここのところ、いろいろ忙しいです。本当にイライラする毎日で、情けなくもあります。

 とりあえず、マスクが来週辺りでなくなるので布買ってきて手作りします。針を無心でチクチクやれば、気もまぎれるでしょう。うまくできなくて余計ダメかな。

 暗いニュースばかりだけど、免許証の写真がヘビーメタルの女みたいになっちゃった梨鳥の事でも笑ってお過ごしくださいね。右も左もわからないヘビーメタル女です。

 ではでは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ