表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/19

頑張って欲しい話

 先日、死ぬ前に食べたい大賞のサンホン麵を食べに行きました。

 そのラーメンが出されるお店は、嬉しい時や悲しい時に行く、梨鳥のメンタルクリニック的な役割があります。梨鳥はそのラーメン店にかなり依存している次第です。

 そのお店は、実を言うと担々麺専門店です。

 皆、担々麺を目当てに集まるのですが、梨鳥は彼らを、ここのサンホン麵を崇拝しないとは非常に愚かで馬鹿な者達だ、と、心の中で嘲っています。

 勿論、担々麺側からの真っ当なブーメラン嘲りもある事でしょう。

 実際担々麺も美味しい。非常にクセになるお味です。

 サンホン麵一本に決める前には、毎回担々麺にするかサンホン麵にするか凄く迷った。

 担々麺にすればサンホン麵惜しさに心が絞られる様だったし、サンホン麵にすれば皆が食べている担々麺が気になってしょうがない。若い頃は両方注文してみたけれど、両者とも主張が強すぎ、口の中で大げんかするのであんまり心が満たされなかった。

 そんな長い葛藤の末に、そのお店ではサンホン麺一本にする事に決めたのです。

 担々麺は他にも美味しい店がある、というのが辿り着いた答えでした。

 これで店内に入ってから一分一秒を無駄にしなくなりました。

 口の中で喧嘩するモノももういない。平和的ラーメン。

 かなり話が逸れましたが、その美味しいサンホン麵を出してくれるお店はショッピングモールに入っています。

 そのショッピングモールがもうすぐ潰れるんだ、と、店長が言うので梨鳥は思わず腰を浮かせました。

 問いたい事はただ一つです。


「この店は?」

「移転します」

 

 取りあえず、味は守られた、と思った梨鳥の安堵の程は言葉に出来ないです。

 ショッピングモールなどどうでもいいですが、この店は千年程続くべきだと思うのです。


「場所は決まっているのでしょうか?」

「まだ決まっていません。しかし、必ず店舗を出しますので」

「頼みましたよ。わたしは高校生のころからこのお店のファンなんです!」

「そうなんですか嬉しいなぁ」

「家族も大好きなんです! 何食べに行く? とか、美味しい物食べたいってなるとここを思い付くんですよぉ」


 梨鳥は、『どっかに移転するわ~』とかそういう軽い口約束はあんまり信用しない質なので、とにかくファンが居るので辞めないで欲しい、何処かで開店してくれれば必ず行くから頑張って、本当に頑張ってください!! と、応援し店主の気が「もういいや」ってならないようにお店への熱い気持ちをぶつけました。

『なろう』で「人気無いしぶっちゃけ退会しようかな」と思っている人を引き止める感じです。

 すると梨鳥の激励に気をよくした店主がカウンターから乗り出し、尋ねて来ました。


「そんなにファンなんですか~、いやぁ嬉しいなぁ。で、週に何回くらい、いらっしゃるんですか?」


 キラキラした目で言われました。

 週て……。


「月に一度は……多分……」と答えると、あからさまにガッカリした顔をされました。ファンって言ったじゃん……と胸の内が聴こえて来そうな程のガッカリ顔でしたので「図に乗るなよ。主婦が週に何回もラーメン屋に来ると思うか?」と心の中でちょっと思ったけど言わなかった。えらい。

 励ますつもりが、完全に思惑と逆方向へ行ってしまいました。ガッカリさせてごめんなさい。

 ガッカリに負けず、どうか新店舗を出して欲しいです。

 しかし、それに伴って味が変わったらと思うと、気が狂いそうです。

 どうか無事に新店舗を開店され、味も変わりませんように。担々麺は変わってもいいから、サンホン麺だけは守られますように……。

 昨日も行ってきたら、まだ決まってなかった。店主がホームページ作りますように。

 (昨日は梨鳥の来年の誕生日に閉店する情報を掴みました。誕生日はラーメンパーティーに決定)

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ