Sieben。
――取材、雪、ノベル風なゲーム進行。
この手掛かりだけで、俺の頭の中にいくつかのゲームが浮かんだ。その中で最も有力なゲーム。
そのゲームこそ――。
「若槻さん、これ最初に取材現場に行ったほうがいいですかね? それとも今日はペンションに泊まって、二日目に行きます?」
俺の思考は、斜め向かいの運転席にいるウェス●ーにさえぎられた。この男金髪だったら完璧にウェス●ーだろ、バ●オハザー●の。
それはさておき、今日の宿泊場所はペンションか。
取材現場とやらもまだわからないし、今日のところは……。
「今日のとこは、ペンションで。明日取材に行くことに……しましょうかね?」
バックミラー越しに高木さんの顔を見て言う。こうしてみると誘拐されるドラマのワンシーンのように見えなくもない。
「あぁ、そうですか、それは残念。まぁ今日は雪ですから、明日のほうが今日よりもキレイに見えるでしょうね」
高木さんはにっこりと笑顔を見せ言った。なんだが不気味で、俺はぞわっと鳥肌が立ったのを感じる。
「……あとどれくらいで着きそうですかね?」
「あー…………っと、二時間くらいですね」
「二時間っ!?」
「ええ、ですから睡眠をとっていても大丈夫ですよ」
「はあ……わかりました」
あと二時間か。
俺は自分のポケットに何かないか探ってみる。
――ペンライトと、メモ帳、ボールペン。
この三つはコートのポケットに手を入れ、触った感触でわかったが、もうひとつ何かあった。これは触れてみても何かわからない。――ので、俺はポケットから"ソレ"を取り出した。
「おや、作家さんも最近は物騒な物をお持ちですねぇ……僕もまさか若槻さんがナイフを持ち歩いている人だとは、思いませんでした」
そう、俺がポケットから取り出した"ソレ"は、折りたたみ式ナイフだったのである。
俺もまさか自分がナイフを持ってるとは思わなかった訳でして。――それとも何か? これから向かう先はスラム街だったりするのか。
「あははは、刺さないでくださいよ~」
「あっ! ええ……それはもちろん……すいません」
この人がお気楽な性格で本当に助かった。これがもしキリリとした真面目九州男児系な大男だったなら俺は車から無理矢理引きずり降ろされて、今頃寒さに凍えていたことだろう。凍死確実である。
ほっと安心したと同時に、眠気の波が一気に襲いかかってきた。
車のヒーターのあたたかさもあり、俺が眠りにつくまでに、そう時間はかからなかった。
7だぽよ~。
久々の更新だぽよ~~~。