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ストーカーはぬいぐるみをゲットできる!

『ストーカーに餌をあげないで!』第9部に相当

「……」

 授業中私に見られているとも知らず彼は携帯電話をいじっている。

 彼とメル友になりたいなあ。メールなら私は一応会話ができるし。

 そして最終的にはメールで告白……は風情がない。

 メールで告白する人って予防線貼ってるよね。断られたら冗談ってことにしようって魂胆が見え見え。

 ……まあ、私告白されたことないけど。



 授業が終わり、いつも通り彼のあとをつける。

「……?」

 今日はいつもと違う帰り道だ。どこかへ寄り道するのだろうか?

 数分程歩いてとある建物の前で立ち止まる。ゲームセンターだ。

 実はゲームセンターも行ったことがない。

 女の子が1人で行くのにはやっぱり怖い、不良のたまり場ってイメージがあるし。

 ……私本来不良に怖がられる立場なんだけどさ。

 だけど彼と一緒なら大丈夫、楽しいゲーセンデートの始まりだと意気揚々と店内に入り、

「……」

 一瞬で外に出そうになる。ゲーム機の不協和音がうるさい。人が多すぎる。

 この感じ、パチンコ店の前に行ったら自動ドアが開いて耳が壊れそうになる、あの感じだ。

 チラッと店内の掲示板を見ると本日は半額デーらしい。

 なるほど、だからこんなに混んでいるのか。彼も半額につられてやってきたというわけか。



 あまり人ごみは好きではないけれど、折角来たんだし私もゲームセンターを楽しもう。

 辺りをきょろきょろと眺めていると、

「……!」

 とあるショーケースの中の大きな熊のぬいぐるみが目に入る。

 これ、あれだよね? UFOキャッチャーだよね?

 実物を見るのは初めてだが、物凄く楽しそうだ!

 うきうきしながらコインを投入して、アームを動かしてぬいぐるみを狙う。

「……!」

 完璧な場所取りをしたと思ったのに、掴んでもぬいぐるみは全然持ち上がらない。

 育ち柄、的屋の事情について精通している私としてはこんな大きなぬいぐるみ絶対に落とすことなんてできないと頭では理解ができるのだが、身体は勝手にコインを投入する。

 これがゲームセンターの魔力……!



「……! ……! ……!」

 今何円くらい使っただろうか、1000円くらいは使っただろうか。

 いやまだ慌てる金額じゃない、仮に次のプレイでぬいぐるみがゲットできれば元が取れる。

 UFOキャッチャーに熱中しすぎて、最早彼とゲーセンデートを楽しむという本来の目的を完全に無視。

 慎重にアームを動かしてぬいぐるみをベストな位置で掴む。

 しかし残念ながらすぐにぬいぐるみはその場に落ちてしまう。

「……!?」

 その瞬間、UFOキャッチャーの機体がガタガタと揺れ、

 地震が起こっているのだろうかと慌てふためくも、

 周りを見てみるが別に誰も慌てていなかった。

 おかしなこともあるもんだとUFOキャッチャーの方を再度見ると、

「……! ……♪」

 何たる僥倖か、先ほどの揺れでぬいぐるみが景品取り出し口に落ちている。

 UFOキャッチャーの神様ありがとうと有難くそのぬいぐるみを抱える。

 丁度彼がゲームセンターから出ていくところが見えた。



「……♪ ……♪」

 結局彼と偶然を装ってゲームセンターで一緒に遊んだりすることはできなかったが、

 可愛いぬいぐるみが手に入ったので大満足。

 一人で行くのはやっぱり怖いけど、また彼と一緒に行きたいな。


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