私は彼に愛されている!
「いただきまーす」
「……♪」
彼と心も体も結ばれた翌朝、彼の部屋で一緒に朝ご飯を食べる。
嬉しすぎてついつい作りすぎてしまったけど、彼は大食いだから問題ない。
「うん、美味しい」
「……♪」
私の目の前で美味しそうに味噌汁をすする彼を見て、一人暮らしで自炊した甲斐があったなあとにんまりする。
「ところでその格好寒くないの?」
「……」
彼に言われて寒くなり、ぶるぶると震える。3月の朝に裸エプロンはやっぱり寒い。
というか付き合いだした翌日から裸エプロンはちょっと暴走しすぎだ。
けどそれくらい私は彼の事が好きだし幸せなのだ。
朝ご飯を食べた後、制服に着替えた私達は一緒に学校へ。
教室に着くなり彼は私を引っ張って教壇の前に立ち、
「俺達付き合う事になりました。……ちょっかいかけたらわかってんだろうな」
「……♪」
男らしく、クラス中にカップル成立を宣言する。うかれた私も微笑ましそうにこちらを見ているなぎさちゃんにVサイン。後で愛顔お姉様にもメールを送ろう。
昨日まで私に嫌がらせをしていた女子勢を彼が一睨みするだけで、連中は怯えだす。
その場しのぎだけど、ひとまずは一件落着か。
4時間目が終わると、彼と一緒に屋上に行ってお弁当を食べる。
「俺も結構料理上達した気がするからさ、次は俺がお弁当作るよ。あ、ホワイトデーも手作りのチョコあげるからね、期待しててね」
「……♪」
たとえ彼の料理が上達していなくても、彼と一緒に食べるお弁当は三ツ星レストランも真っ青の美味しさだろう。
「はー、それにしても付き合いだしたけどすぐに進級してクラス替えかあ。来年も同じクラスになれるかな、両方文系だから確率はゼロじゃないけど、それでも3分の1くらいか」
「……♪」
思えば高校一年は、ずっと彼のストーカーという立場の一年だった。
けれど高校二年は、彼の恋人という立場で一年を過ごせるわけだ。わくわくが止まらない。
「何その勝ち誇ったような笑顔は。実家の権力でも使って無理矢理同じクラスにしちゃうつもり?」
「……♪」
そんなことしなくたって、今の私は最高に幸せで、運の値がカンストしている。一緒のクラスになるに決まってる。
無言で幸せそうな顔をしている私を放心していると思っていたずらしようと考えたのか、彼が顔を近づけてくる。
「……♪」
「うおっ」
「……♪」
隙あり、と言わんばかりにこちらから身を乗り出して、彼の唇にキスをする。
まさか彼が私のストーキングに気づいていて、可愛いから泳がせていたなんて。
思えばこの一年、私に都合のいい展開だらけだったけど、あれは神様に愛されていたんじゃなくて、彼に愛されていたんだなあ。
勿論これで全てが解決したわけではない。彼に守られる形でいじめはおさまったけど、私自身が変わらないと意味がないし、実家と私がどう向き合うかだってちゃんと考えないといけないだろう。
けど、私は変われる。彼と一緒なら、私は変われる! だから大丈夫!
「いい加減並んで歩こうよ……」
「……」
とりあえずは、彼から離れて歩く癖をなんとかしないとね。これじゃあ並んで歩けない。
大丈夫、私はもうストーカーじゃない。恋人なんだから、堂々と彼と並んで歩けばいいのだから。
おしまい
ありがとうございました。




