ストーカーは鐘をつく!
『V! ですわ』
クリスマスが終わった直後、愛顔お姉様からそんなメールが届く。
どうやら無事にハッピーエンドになったようだ。おめでとうございます。
エピローグを楽しみながら、私の物語も見届けてください。
『友達がクリスマスに告白して結ばれたんです。私も勇気を出せばよかったなあ』
『へえ、フレグランスさん友達いたんだ』
『……失礼じゃないですか?』
『間違えた。フレグランスさん好きな人いたんだ』
大晦日にこたつでぬくぬくとしながら、紅白片手にネットゲームをプレイ。
ネットの中の別人設定とは言え、友達いないと思われるなんてショック。
現実の私の性格が、ネットにも出ているということだろうか?
『さて、そろそろ俺は除夜の鐘でも突きにいくから落ちるね』
『はい、私も落ちます』
ログアウトした彼と一緒に部屋を出て、地元のお寺にレッツゴー。
彼は私のプレゼントしたマフラーとセーター、手袋を未だにつけている。
何の疑問も抱かずに着用するということは、両親からのクリスマスプレゼントだと思っているのだろうか?
ちなみに私もあの後彼とペアルックになるように自分で編んで、現在こうして着用中。
お寺についた私は、彼の5人くらい後ろに並ぶ。どうしても真後ろは恥ずかしい。
彼が力強く鐘をつく。その力強さたるや、周囲の人間の煩悩が全て吹き飛んでしまうレベル。
「……!」
彼に続いて私も撞木の紐を持ち、力強く鐘を突こうとするが、体が引っ張られて危うくこけそうになる。
鐘をつきながら今年を振りかえる。
今思えば煩悩だらけの一年だった。ここで煩悩を消して、来年は真っ当に……ストーカーなんてやめて……やっぱり無理。そう簡単に煩悩が消えたら苦労はしないよね。
鐘をついた後貰ったコーヒーを飲みながら、同じく甘酒を飲みながら携帯電話を操作する彼の帰りを待っつ。
そうだ、あけおめメールを送ろう。
……彼個人に送るのは、何だか好意がばれてしまいそうで嫌だ。
友達への一斉送信で彼にあけおめメールを送ろうとアドレス帳を開き、彼以外のメル友が愛顔お姉様となぎさちゃんしかいないことに気づき絶望する。
3人って。リアル感のあるぼっちじゃん。それでも彼にあけおめメールを送信すると、彼も同時にメールを送信したようで、彼からのあけおめメールが返ってくる。
差出人を見ると、友達への一斉送信だった。私は所詮彼にとって大勢いる友人の中の1人でしかないということか。
……いや、絶対に恋人にランクアップしてみせる! それが私の今年の抱負!




