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ストーカーは恋愛相談されちゃう!

「ナーオ」

「……♪」

 文化祭も終えて、再び始まる日常。

 彼の後に続いて部屋を出て、アパートの前で車に轢かれることもなく、半年間こうしてのんびりできている猫を撫でる。

 そう、もう私が彼をストーキングして、半年が経っている。

 この半年で、何か変わっただろうか。

 半年前に比べれば、かなり彼と親密になれた気がする。

 でも、結ばれるにはまだまだ足りない気がする。

 今まで喋ることができないのを言い訳にしていたが、結局私のコミュニケーション能力の低さは、彼とのメールでも露呈している。

 折角彼とメールができるのに、うまいこと会話ができない。

 彼からのメールに何て返せばいいのかわからず、毎回私がメールを途切れさせては、彼の方からまた新しい話題を振ってくるのだ。



 今の私の恋愛は、例えるならばいつでもラスボスに挑める、さながら佐賀の新天地の自由人。

 けれどゲームと違ってゲームオーバーになったら取り返しがつかない。

 仲間を増やして、好感度をあげて、告白という名のラスボス戦に挑まなければいけないのだ。

 しかも、この私のプレイしているゲームには時間制限がある。

 来年になって、同じクラスになれなかったら一気に彼と疎遠になってしまうし、

 彼が他の誰かとくっつく可能性だって、無いわけではないのだ。



 放課後、いつものように彼と帰って、彼が部屋に入ってすぐにネットゲームにログインしたのを見て自分もログイン。放課後の冒険をスタートさせようと思ったのだが、

『フレグランスさん、実は恋愛相談があるんです』

 ログインした私に向かって開口一番、彼がそんな事を言い出した。



 そっか。恋愛相談か。彼が私に。

 恋愛相談をするってことか、彼に好きな人がいるってことなんだろう。

『……すいません、ちょっとトイレに』

 私は彼にそうチャットを打つと、トイレに向かい、



「……うお、え、オエエエエッ」

 盛大に吐く。

 あはは、好きな人から恋愛相談されるなんて。

 彼の好きな人は誰だろう、私だったら嬉しい。すぐにでも彼を私に告白するように仕向けたい。

 だけど私じゃなかったら? ううん、そう考える方が自然。

 いくら彼がロリコンとは言え、クラスにはたくさんの女の子がいるし、クラスだけじゃない、学年にだってたくさんの女の子がいる。確かに最近私と彼はそこそこ仲が良くなっているけど、彼が私の事を好きになっているなんてポジティブに考えることなんて私にはできない。

 全てが悪い方向へ行ってしまう。吐いた後、ふらつきながらパソコンの前に戻る。

 彼から相談を受けたんだ、例え私が後で泣く羽目になっても、きちんと返さないと。



『大丈夫? えーと、恋愛相談ってのは、俺の友達の話なんだけど』

 チャットに表示されたその文章を見て、胸をなで下ろす。よかった、友達か。吐いて損した。

 気を持ち直した私は彼の友達の話を聞くことに。

 なんでも『自分の事を好きな女の子の気持ちに気づいており、自分も彼女の事が好きなのだが、付き合った後うまくいかないことを考えると踏ん切りがつかない』というものだ。



『難しいですね……確かに付き合った後のことって大事ですし、もうしばらく様子を見て、相性とかを確かめるってのはどうでしょうか。あ、でもうかうかしてたら女の子が心変わりするかもしれませんね』

『なるほど。参考になったよ、ありがとう』

『どういたしまして。……深淵さんは、気になる女の子とか、いないんですか?』

『ははは、秘密』

『そっか、よかった』

 恋愛弱者なりに必死で考えて、私なりの答えを返す。

 ついでに彼の気になる女の子を聞きだそうとしたがはぐらかされてしまった。

 残念だったり安心だったり。これで彼が私以外の女の名前を口にしたら、私は胃液を吐きまくることになっただろう。

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