表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/88

ストーカーは女装を見ちゃう!

『以上、演劇部によるロミオとジュリエットでした。皆様もう一度、盛大な拍手をお願いします』



「演劇なんて久々に見たけど、いいもんだね」

「……♪」


 体育館で彼と一緒に演劇を見ることができた私。

 今回は変装なんてしていない、自然な流れで彼の隣に座る事が出来た。

 恋愛映画とか、花火の時は彼はつまらなそうだったけど、今回は彼も随分と楽しんでいるようだった。ひょっとして私が隣にいるから? なんてね。

 映画を見た後、彼と体育館を出てその辺をぶらつく。

 この雰囲気は、デート継続と見ていいのだろうか?



 きゅるるるるっと音がする。私のお腹から。

 彼の前でこんな音を出してしまうなんて、乙女失格だと顔を真っ赤にして悶える。

「お腹空いたの? さっきのお詫びもあるし、何かおごるよ」

「……! ……」

 そんな私にも優しくしてくれる彼ではあるが、その優しさが逆に痛い。

 首をふるふると振ってやせ我慢していると、

「実は俺、クレープとか綿菓子とか食べたいんだけど、男一人で買うのって恥ずかしいんだよね。だからその、一緒に来てくれるとありがたいなんかなー、なんて……あはは、迷惑だよね、ごめん。それじゃ」

 彼がそんな事を言って去ろうとしてしまう。

「……!」

 まだまだデートタイムは継続させたい。必死で彼の服をぎゅっとする。



「いやあ美味しかった。あ、口の周りにクリームついてるよ」

「……♪」

 その後は彼と楽しい楽しい文化祭食べ歩きツアー。

 夏祭りと違って文化祭はきちんとお金を払わないといけないけど、やっぱりお金を払って得たものの方が美味しい。彼が隣にいるなら尚更だ。

「……」

 気づけば女装コンテストの会場前まで来てしまった。

 彼は結局参加するのだろうか。彼とのデートも続けたいが、女装コンテストも見たい。

 それに彼の食べ歩きがしたいという願いを叶えた以上、もう私が彼と一緒にいる大義名分は無くなってしまっただろう、そろそろ潮時だとお別れのジェスチャーをする。

「そっか。それじゃあね、デートみたいで楽しかったよ」

「……! ……♪」

 私もすっごく楽しかった。



 女装コンテストの会場で客席に座って、似合っていたり似合ってなかったりする女装を眺める。

 そして8人目、

「……!?」

 檀上にあがった、スクール水着姿の彼を見て絶句。

 この間ネットゲームでスクール水着を勧めたけれど、まさか本当に着るとは。

 彼みたいな人こそ女装が映えると思っていたけど、想像以上に酷い。

 ピチピチで今にも破れそうなスクール水着と露出させた筋肉質な両手両足、少しもっこりしている股間。

 お客さんのほとんどが直視することができず目を逸らしてしまう。

 それでも、私は目に焼き付けなければいけないと携帯電話を取り出しパシャパシャと撮影する。



「エントリーナンバー8番ですっ! 好きな人に、私の本当の姿を見て欲しいなっ! こないだ駅前のオシャレなパスタ屋さんに行ったんだけど、そこでチョー素敵なカップル見つけたの! 私もあんな風になりたいな、なんてっ! それからそれから……」

 女装だけで終わらないのが彼のすごいところ。思いきり裏声で女子力の高そうなトーク全開。

 あまりの衝撃に、私は笑いすぎて白目をむいてピクピクと痙攣してしまう。

 負けたよ……完敗だ、彼の女装がナンバーワンだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ