ストーカーは看病しちゃう!
修学旅行から帰った矢先、朝から彼の様子がおかしいと思っていると、彼がブログを更新。
タイトル:『風邪をひいてしまいました……』
本文:北海道ではしゃぎすぎたのかな……?
確かに随分と具合が悪そうだ。大丈夫だろうか。
コメント:大丈夫ですか? 安静にしてくださいね
コメントをつけながらカメラで監視していると、彼は学校に行かずにベッドに横になり寝息をたてはじめる。
彼がいない学校なんて、金平糖のないカンパンのようなものだ。
よって私も学校には行かない。彼の容態が悪くなったらすぐに救急車を呼ぼうと監視を行っていると、10時に再び目が覚めた彼はあろうことかネットゲームをしようとする。
病院は安静にしていないのに何を考えているのだろうか。
『深淵さん、駄目ですよ安静にしてなきゃ』
私は彼に早く風邪を治して欲しいので、きちんと休むように伝える。
『どうしてフレグランスさんは、俺が風邪をひいてるって知ってるの?』
しまった。ネットゲームでの私の設定は彼のクラスメイトでもなければ彼のブログ仲間でもない。
彼が風邪をひいてるなんてことを知っているのは明らかにおかしいじゃないか。
『そ、それは……な、何となくですよ』
『というかフレグランスさんはどうして平日の昼間にログインしてるのかなー?』
『き、今日は学校が休みなんですよ!』
精一杯誤魔化す。大丈夫、彼は風邪で朦朧としているはずだから誤魔化せる。
『あ、やっぱ落ちるわ。頭くらくらしてきた』
『だ、大丈夫ですか!? 何か欲しいものとかありますか?』
『りんごかな……? うさぎの形の……2時間くらい横になるかな』
何とか誤魔化せたようだ。そう言うと彼はログアウトして、再びベッドに横になった。
次に彼が起きるのは多分お昼頃なので、注文通りうさぎりんごと、それとおかゆも作っておこう。
うさぎりんごとおかゆを作った私は彼の部屋に侵入すると、机にそっとそれを置いて戻す。
監視カメラのおかげで彼が寝つけているかが確認しやすくなったのは非常に便利だ。
冷静になって考えてみると、起きた時に作ったはずのない料理があるのはどう考えてもホラーだが、
「美味しい、美味しいよ……」
起きた彼は何の疑問も抱かずにそれを食べ始める。風邪で頭がやられているようだ。
「んー、もう少し寝るかな。それにしても、卵酒とアイスが食べたいなあ」
おかゆとりんごを食べ終えた彼はそう言って再び横になる。
注文通りアイスを買って、卵酒を作った私は、
「ぐごごごごご、がごごごごご」
彼が大いびきをかいているのを確認し、部屋に侵入して再び机にそれを置く。
「……♪」
ついでに彼の寝顔を携帯電話で撮っておこうと考え彼の顔をみつめていると、
「……!?」
アクシデント発生。彼が目を覚ましてしまった。
「……おかしいな、俺の部屋に女の子が。これは夢かな?」
「……」
必死でコクコクとうなずく。はいそうです、これは夢です。そういうことにしてください!
「そっかそっか、これは夢か。それじゃ、もう一眠りするかな」
風邪のせいなのか、彼が元々単純だからなのかは知らないが、彼は本当に夢だと思って再び瞼を閉じる。
危ないところだった。やっぱり部屋に侵入するのはリスクが多いなと思いながら、先ほどのりんごとおかゆの食器を持って部屋を出る。
しばらくして起き上がった彼はまた何の疑問も抱かずにアイスと卵酒をいただいた。
「んー、エロ本読みたいなあ」
……え?
3回目の注文は、よりにもよってエロ本。
ここまできたのだ、彼の要望には応えたい。
けど、流石にエロ本は……
「……」
変装してコンビニでエロ本を買おうとしては店員に咎められ、本屋でエロ本を買おうとしては店員に通報されそうになれ……人として大事なものを失いながらも数件梯子した挙句、何とか数冊のエロ本を入手することに成功。彼の机にドサドサをそれを置く。
折角私がここまで苦労して買ってきたのだ、きちんと使って欲しい。
「か、枯れる……」
律儀にきちんと使った彼。今日一日で何回したのだろうか。
余計風邪が悪化しないだろうかと心配になった私は、彼のために精力剤を買いに行くのであった。




