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ストーカーは彼としか組まない!

 寒い。それもそのはず、現在私は凍えるような吹雪の中、露出高めな装備で探索を行っているのだから。

 だけどちっとも怖くは無い。だって隣には彼がいる。

 ぴったりと彼にくっついて、人肌を感じながら進んでいくと、おどろおどろしい毛むくじゃらの怪物が。


『お、レアモンスターの雪男だ。フレグランスさん、エンチャントお願いできるかな?』

『はい、頑張ってください!』


 私が呪文を唱えると、彼の身体が炎に包まれる。

 炎の力を纏った彼の華麗な斬撃が敵をなぎ倒した。


『流石深淵さん! あ、レアドロップおめでとうございます!』

『これはフレグランスさんにあげるよ』

『い、いえ! 私なんかにそんな』

『これ魔法職用のアクセサリだし、俺には似合わないよ』

『それじゃあ遠慮なく……えへへ、一生大切にしますね』


 彼に貰ったアクセサリを装備。実用性もあるし可愛いし、最高のプレゼントだ。


『それにしてもここは寒いね』

『そうですね、まだ秋ですけど、夜とか結構冷えますよね。私こないだ暖房つけながら寝てしまって』

『……いや、このダンジョンの話ね?』

『ごめんなさい勘違いしてました』


 彼と一緒に冒険気分を味わっていたのだが、自分の発言で現実に引き戻される。

 そう、私は別にVRMMOで彼と一緒に雪山を冒険しているわけでもなく、

 パソコンの前でマウスとキーボードを操作しながら、妄想で彼と冒険気分を味わっていただけ。


『おっと、そろそろ落ちるね。学校行かないといけないんだ』

『はい、私も学校なんで。それじゃあまた』


 現在朝の7時半。私も彼もネットゲーム廃人になって学校に行かないなんて愚者ではないので、きちんと仕度をして、いつものように彼に続いて部屋を出る。

「……♪」

 先程の冒険の余韻がまだ残っているのか、彼と実際に冒険をしている気分に駆られる。

「ワン! ワン!」

「……! ……♪」

 ティンダロスの猟犬に襲われてしまった。撫でながら彼に助けを求めようとするが、ネットゲームではなく現実世界なのでチャットは使えないしそもそもただの柴犬だし。




「やっとレベル20になったからクラチェンすっかなー」

「ウチずっと生産ばっかしてるから筋力まだ初期なんよ」

 学校の休憩時間、クラスメイトの会話に何となくデジャブを感じると思っていたら、どうやら同じネットゲームをプレイしているらしい。

「……!」

 少し羨ましい。ネットはネット、現実は現実とは言うけれど、私もあんな風に彼とネットゲームの事で語り合えたら、現実世界でも彼と仲良くなれるのに。

「お、お前らもやってんのか。フレ登録しようぜ、俺のIDは~」

 ネットゲーム談義で盛り上がるクラスメイトを見つめる。でもいいもん。



『深淵さん今日もよろしくお願いします』

『こちらこそよろしく、フレグランスさん』

 何故なら現状私は彼を独占できているから。

 彼がログインすると同時にログインし、すぐにパーティーを組んでパーティーを増やす暇も与えずにダンジョン直行。お邪魔虫をシャットアウト。



『よーし狩るぞ』

『えーもうここのダンジョン飽きたよ、別のとこ行こうよ』

『でもここのレアドロップまだ市場に流通してないから今のうちに稼がないと』

 近くにいたパーティーのIDに聞き覚えがあると思ったら、今日話していたクラスメイトのIDだ。



『あ』

 それに気づいた私は素っ頓狂な声を出す。チャットだけど。

 ていうかチャットでいちいち『あ』っておかしい気がしてきた。

 現実世界で喋れない分、私のチャットでの言動はどうにも不自然な気がする。

『どうしたの?』

『いや、さっきいたパーティー、知ってる人で』

『そうなんだ、それじゃあ声かけようよ』

『いえ、いいんです。深淵さんがいれば。さあ、ダンジョン潜りましょう』

 少し失言をしてしまった。彼も同じクラスで多分あの会話を聞いていたから、彼もあのパーティーのIDがクラスメイトだと気づいている可能性は高い。

 そんな状況で知ってる人だなんて、こちらの情報を晒してしまうなんて。

 でも、もう少し晒した方がいいのかもしれない、向こうが興味を持ってくれるように。

 悩みながらも、彼とダンジョンへ向かう私。

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