ストーカーはとうとう監視カメラに手を染める!
9月になって、割と平穏な日々。
毎日彼の後をつけて学校に行って、授業中彼を眺めて、彼の後をつけて家に帰って……
何かこう、物足りない気がする。
『今日の須藤様、朝起きる時に布団から転げ落ちてぴくぴくと痙攣してましたの。とっても可愛らしかったですわ』
私はたまに同業者である愛顔お姉様とこうして近況報告という名のメールをするのだが、
前から疑問に思っていたことがあったので、聞いてみることに。
『どうして部屋の出来事までわかるんですか?』
愛顔お姉様の近況報告は、好きな人がレースゲームをしながら身体も動かしていたとか、電気のヒモでボクシングをしていたとか、まるで一緒に住んでいるかのような感覚で語られているのだ。
ひょっとして夏の間にアバンチュールしてストーカーから同棲まで一気に上り詰めたのだろうかと思っていると、
『勿論監視カメラですわ』
さも当然のようにそんなメールが返ってくる。
……うわあ。流石にそれは人としてどうなの、お姉様。
確かに一般的なストーカーのイメージには監視もあるかもしれないけど、流石にそこまで行くと人として大事な物を失ってしまう気がする。
だって部屋の中まで監視したら、お風呂上りの彼とか、〇〇行為をする彼とか丸見えだ。
確かに私にとってはプレシャスな光景だろうけど、やっぱり限度というものがある。
私は奥手なストーカーなのだ。壁に耳を当ててそっと彼の声を聞こうとする、そんな清く正しいストーカーなのだ。絶対監視の誘惑なんかに負けたりしない!
「しかし嬢ちゃん、こんな超小型監視カメラ何に使うんだ? ……っと、聞くのは野暮ってもんか」
とある放課後、路地裏で怪しい商人にお金を手渡し、目的の物を手に入れる。
監視の誘惑には勝てなかったよ……
結局買っちゃった。それも権力フル活用して滅茶苦茶高性能なのを。
後ろめたさで心臓が張り裂けそうになりながら部屋に戻り、マニュアルを読む。
買ってしまったけどどうしよう、このまま押入れに封印すべきなのかもしれない。
大体監視カメラをつけるということは彼の部屋にまた侵入する必要がある。
前回物凄く酷い目にあったし、そうそう彼の部屋に入れるチャンスなんて……
「さーて、1時間くらいランニングしてくるかー」
……体が自然と動いてしまう。
「……!」
部屋に戻ってモニターをつける。彼の部屋のエアコンの辺りにつけたそれは、見事に彼の部屋全体を見渡せる構図になっている。録画などの機能も豊富で、非常に監視ライフが捗りそうだ。
私に監視されているとも知らずのこのこと帰ってきた彼は、油断して部屋の中心で背伸びをしておへそを露出させる。シャッターチャンスだ!
つけようと思えばトイレやお風呂場につけることも可能だったけれど、流石にこれ以上は私には無理。
お姉様はどのくらい監視をしているのだろうか、怖くて聞けない。




