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ストーカーは原付に追いつけない!

 夏休みが終わり、今日から新学期。

 彼のことだ、休みボケして遅刻しそうになるに違いないと朝早く起きた私は部屋でテレビを音量大きめにつけて彼を起こす。

 制服に着替えて、夏休みの宿題カバンに入れて、朝ご飯とお弁当を作って。

 彼が部屋を出たのを見届けて、少し遅れて部屋を出る。約一か月半ぶりの日常。

 夏休み前と違うところがあるとすれば、


「……!」

 彼が原付を入手したことだろうか。アパートの前で原付に跨る彼はまるで特撮ヒーロー。

 ブロロロロと音を立てながら彼は学校へと走り始める。私もそれを追う。



「……! ……!」

 追えるわけがない。彼は飛ばし屋ではないようで遅めに走っているが、それでも運動不足な私が走ってついていけるはずがない。数分で息も絶え絶え、彼の姿は見えなくなってしまう。

 彼がこれから毎日原付で登下校したら私は否応でも走らざるを得ないだろう。

 いつのまにか陸上部も顔負けのアスリートになるかもしれないな、と息を切らせながら未来を予想していると、彼が戻ってきて、私の近くにあった民家の塀に隠れる。

「……?」

 一体何事かと不思議に思っていると、彼が来た方向から今度は白バイがやってきた。

 家が家だし、警察はどうも苦手だなあと少しビクンとしていると、白バイは私の前で止まる。

「ああ君、この辺りをノーヘルの原付が通りませんでしたか?」

 ストーキングがばれたのかとビクビクしていたが、どうやら白バイは彼を追っていたようだ。確かに彼はヘルメットをつけていなかった。

「……」

 先日彼のためにならないことはしないと宿題を見せなかった私ではあるが、彼を匿うのは私の中ではセーフ。見当違いの方向に指をさすと、

「ご協力感謝します」

 すっかり私に騙された白バイはそっちへ向かって行った。



「ふぅ、ありがとう。それとおはよう」

 そしてひょっこりと隠れていた彼が出てきて私に挨拶。情けは人のためならず、自分に返ってくるのです。

「……♪」

「ここで会ったのも何かの縁だし、一緒に学校行こうか」

「……♪」

 原付を押しながら歩く彼と並んで歩く。夏休みが明けていきなり彼と一緒に登校イベントだなんて、なんて私は神様に愛されているのだろうか。



 ちなみに彼は学校についた後先生にこっぴどく叱られました。原付での登校は禁止らしいです。





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