ストーカーは夏休みの宿題を手伝わない!
色々あったけど、カレンダーを見るともう8月30日。
明後日からはまた学校生活が始まる。
夏休みはそこそこ思い出を作れたし楽しかったけど、やっぱり毎日彼を見たい私としては学校がある方がいい。
ところで彼は夏休みの宿題をちゃんとやっているのだろうか。
『ところでブログ主さんは、夏休みの宿題ちゃんとやりましたか?』
確認するように彼のブログIDにメッセージを送ると、しばらくして返信が届く。
『今日明日で必死にやります(汗)』
やっぱり全然やっていなかったようだ。
『だったら、図書館で勉強するといいんじゃないですか? 集中できますよ』
そんな彼を図書館に誘導する旨のメッセージを送ると、すぐに彼が部屋を出る。
可愛いなあ彼は、私に簡単に誘導されるなんて。
彼に続いて図書館へ向かった私は、夏休みが終わるということで大胆に彼の真正面に座る。
読書感想文を書くために図書館に行ったら、偶然クラスメイトの男の人がいたので真正面に座った……うん、我ながら完璧すぎる言い訳だ。
考えていることは皆同じなのか図書館だというのに結構うるさい。
「……♪」
周りの喧騒をシャットアウトするかのごとく、真正面の私に気づかず大量の夏休みの宿題を机に置いて必死で消化する彼を見つめる。本気状態の彼はすごくかっこいい。
「よし、とりあえず数学はこれで大丈夫かな。……うおっ」
「……!」
顔をあげた彼が私の顔をみてびっくりして大声をあげてしまう。私もびっくりしてしまう。
「や、やあ。奇遇だね。いつぶりかな、ど……じゃなくて、夏祭りの時に逢ったよね? 君も夏休みの宿題しに来たの?」
「……」
彼の問いかけにこくこくとうなずく。そう言えば夏休みで素顔を見られたのは結局あの夏祭りの時だけか。私が変装して彼に何度も出会っているとも知らずにと思うと自然とにやけてしまう。
「どのくらい終わったの?」
「……」
終わった宿題と終わってない宿題を分けて彼に見せる。
といっても、私が終わってないのは読書感想文だけ。
「わあ、読書感想文以外全部やったんだ。それじゃあ……写させて?」
彼は手を合わせてウインクしながら私に頼み込む。
図書館に彼を誘導して、終わった宿題をわざわざ持ってきた私。勿論その目的は、
「……」
「えぇ!?」
彼に宿題を写させるためではないので首を横に振る。
「頼むよ、クラスメイトのよしみってことでさあ」
「……」
彼はまるで私の恋心を知っていてそれを利用しようと言わんばかりに私に頼むが、こう見えて私は意思が強い。
テストの時だって要点をまとめたノートを彼に貸してテスト勉強のアシストをしただけだ。
確かに彼のことは好きだけど、彼のためにならないことはしたくない。
彼も諦めてしぶしぶ宿題の山にとりかかる。そんな彼を読書感想文用の本を読みながらチラチラと見つめる。彼の真正面にこんなに長時間いられるなんて、夏休み最高の思い出かもしれない。
「……終わった」
「……!?」
図書館の閉館時間直前、ようやく宿題を終えたようで彼はぐったりと机に手を伸ばして突っ伏す。
その際、彼の手が私の手に触れたため、私はドキッと顔が真っ赤になる。
「わ、わわ、ごめん」
「……」
彼も顔を赤くしている。結構純情なのだろうか。
「そ、それじゃあ俺は帰るよ。また、9月にね」
慌てて宿題等をカバンに入れて彼は帰ろうとするが、一冊の本がはみ出て机に落ちてしまう。
「……!」
彼に落ちた本を渡そうと本を取った瞬間、私は凍りついてしまう。
『ストーカーを食べないで!』……私の本じゃないか! しかもちょっと変な匂いがする気がする。
「あ、いや、これはね、その、そう、友達! 友達に勧められたんだ!」
「……」
目の前で買った癖にばればれの言い訳をする彼を軽蔑のまなざしで見る。作者私だけど。
「そ、それじゃあね!」
彼は私から本を奪い取ると、駆け足で図書館から逃げていく。
「……♪」
……性欲を同年代の女の子に悟られまいと必死で否定する彼萌え。




