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ストーカーは夏祭りの覇者!

 タイトル:『今日は楽しい夏祭り』

 本文:思いきりハメを外したいと思います。18時くらいに部屋を出るかな?


 コメント:夏祭り私も行きます!



 鏡の前でポーズを決める。

 今日は夏祭り。勿論彼と一緒に楽しむつもりです。勿論浴衣です。

 彼はハメを外したいなんて言っているけど、ひょっとしたら私ハメられちゃうかも、うぇへへ。

 代官プレーの妄想をしながら、予定時刻通りに部屋を出てきた彼に続いて、お祭りの舞台、出店が並ぶ神社への道へ。



「おっちゃん、金魚すくい1回」

「あいよ」

 まず彼は金魚すくいに挑戦するそうだ。失礼な物言いかもしれないけど、彼のような人間に金魚すくいができるのだろうか? 1匹も掬えない気がする。いや、でも案外滅茶苦茶うまくて20匹くらい掬ったりして……

「ふんっ」

 私が見守る中、彼は豪快かつ繊細なポイ捌きを見せ……



「……」

 2匹の人魚が入った袋を手にして微妙そうな表情をする彼を斜め後ろから眺める。

 うーん、微妙。下手でもないし上手でもないし、2匹かあ。

 ところでアパートってペット禁止だけど、金魚も駄目なんだろうか?

 そんな私の疑問を他所に、

「おっちゃん、射的1回」

「あいよ」

 今度は彼は射的に挑戦。射的なら彼は得意だろう。よくFPSゲームをやっているみたいだし。

 まるで世界一腕の立つスナイパーのようなフォームで、少し古いが景品の中では一番高額そうな携帯ゲーム機を狙う。



「っざけんな! どんだけ重り入れてんだよ!」

「ははは、こっちも商売だからねえ」

 彼の射撃技術は確かなもので、3回プレイして見事全弾携帯ゲーム機の上側に叩き込むがビクともしない。

 悔しそうに悪態をつく彼を見ていると、私も射的がしたくなってきた。

「……」

 ライフルを持って、彼と同じフォームで彼と同じゲーム機を打つ。

 何発かはそれに当たったが、やはりビクともしない。

「……」

 悔しい。彼の敵討ちを果たすため、私自身のリベンジマッチを果たすため、財布を開いてお金を見せの主人に手渡す。

「ははは、まいどあ……り……お、お嬢!?」

 するとどうしたことだろうか、お店の主人は私を見て顔面蒼白。

「ちょ、ちょっと待っててくださいね。今準備しやすから」

 そう言うと主人は景品を並べ替える。この位置からは見えないが何か細工をしているような気がする。

「さ、さあお嬢、どうぞばんばん撃ってくだせえ」

 言われて私がゲーム機を打つと、まるで空箱でも撃ったかのようにあっさりとそれは後ろに落ちた。

「いやあお上手ですなあ、はいこれ、商品」

「……♪」

 こうして無事に景品をゲットする事が出来た私。



「……♪」

 彼をつけまわしながら神社に着く頃には、お面を被って両手にはわたがしとりんご飴。これ以上ないくらい私はお祭りを堪能している。

 しかも私はお金を払っていない。

 そう、何を隠そうここの出店は全て私の家が仕切っている。

 ここでの私はお姫様も同然。権力をフルに使って美味しいものを食べ放題、すごく迷惑な子供だった。

 今は流石にそんなことはしないが、私を覚えている人は私の顔を見るだけでサービスしてくれるのだ。



 神社で彼の隣に立ちお参りをする。

 昔ここで彼に丑の刻参りをしてごめんなさい。

「(彼と結ばれますように)」

 心の中ではきちんと喋る。ところで私変装しているはずなのに、どうしてお店の人は私だって見抜いたのだろうか?



「やあ、奇遇だね」

「!?!?!?」

 そして隣にいた彼が私に声をかける。

 ここで違和感に気づき目の辺りに手をやると、サングラスがない。どうりで視界が明るいはずだ。

「あ、ちょっと待ってよ」

 折角偶然を装って彼と話すことのできるチャンスだというのに、夏祭りだというのに色んな事を話すことすらできず逃げ出す私でした。

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