ストーカーは小麦色になれない。
工事も大詰め、彼との楽しいアルバイト生活も終わりに近づいてきた。
ずっと外で働いていたからか、彼の身体はとっても健康的な小麦色。
「……♪」
私は日焼けした彼も好きだが、私自身は日焼けしたくないので毎日日焼け止めを塗って、今日は特に暑いので日傘をさして監査という名の見学。
紫外線は女の子の敵だからね。
「それにしても、健康的な女の子っていいと思いませんか? 日焼けとか健康的な」
「うんうん、わかるよその気持ち。なんというか、そそるよね」
「……!」
彼がバイト仲間とそんな話をしていたのを聞き逃さなかった私は、すぐに日傘を閉じて日向に移動する。
紫外線は女の子の味方だからね。
「……」
というわけで日焼けして小麦色の肌を手に入れましょう大作戦。
翌日のバイト先、日焼け止めクリームを塗らずに露出も高めな服で汗をだらだらをかきながら日にあたる。
「大丈夫? 暑そうだけど、日陰にいた方がいいんじゃ」
暑さでクラクラしていると、彼が心配してやってくる。
弱弱しく首をふると、
「ちゃんと水分補給してね、はい」
「……♪」
彼がお茶を手渡してくれた。
日焼けはできて彼の好みの女になれるし、彼にお茶を貰えるし、一石二鳥。
「お疲れ様でしたー」
本日のバイトを終えて、いつものように彼に続いて帰る。
自分の肌を確認してみるが、全然日に焼けていない。
こんなんでは駄目だ、もっと焼かなければと思った私は、途中通りがかったスポーツジムの前で立ち止まる。どうやら日焼けサロンがあるらしい。
一刻も早く健康的な肌を手に入れたい私は、ジムに入って日焼けサロンで一番きついレベルでじりじりと肌を焼く。スポーツジムの方で彼を見かけた気がするが、ジムだし彼みたいな体格の人間はいっぱいいるだろう、他人の空似だろう。
「……」
一時間後、私の肌は真っ赤に染まっていた。すごく痛い。
肌負けして日焼けせずに真っ赤になって、すぐ白に戻る人がいるが、私がそうだったとは。
翌日。
「……」
バイト先で身体中がヒリヒリと痛く、顔が苦痛にゆがむ。
これ以上日焼けをしてはかなわないので、炎天下だが厚着をする。
物凄い勢いで水分が失われていき、
「この暑いのにそんな厚着したら、日射病になっちゃうよ。はい、小まめに水分補給してね」
「……」
見かねた彼が定期的にお茶を運んでくれる。最早私のお茶くみ係だ。
名目上監査に来ている癖に迷惑かけているなあと申し訳なく思いながら、勧められるままに彼に貰ったお茶をグビグビとのむ、そんな一日だった。
「……!」
お腹がたぷたぷ、体重はかってたじたじ。




