ストーカーはレシートブロックされない!
暑い。クーラーをつけずに寝たら起きた時には汗でだくだくだ。
コンビニに行って少女漫画読んでアイスとジュースを買いこもう。
すっかり一人暮らしに慣れた私はパジャマ姿でアパートを出る。
近くのコンビニくらいならパジャマでも余裕。
これを人として成長したと言うべきなのか退化したと言うべきなのかは難しいところだが。
「いしゃっしゃいせー」
「……!」
ところが、私がコンビニに入ると聞きなれた声。
何故かコンビニのレジに、制服姿の彼がいたのです。
何で? アルバイト? 全然知らなかった。 ていうか私今パジャマだし顔も見られてるし……
すぐにコンビニから逃げ出して部屋に戻った私は、洋服に着替えて再びコンビニへ向かう。
「いしゃっしゃいせー」
「……」
顔を見られないようにサングラスにマスクも忘れずに。
店内の張り紙に、サングラスとかマスクとか覆面とかしてる人はお断りとか書いてあるけど気にせずに漫画コーナーに向かい少女漫画を読み始める。サングラスのせいで読みづらい!
「……!」
しばらく本を読んでいたのだが、気づけば背後に掃除をしている彼が。
彼が掃除をしつつ、私の読んでいる少女漫画を覗き見している気がする。
どうしようもなく恥ずかしくなった私は漫画を棚に戻して大量のジュース等をカゴに詰めてレジに。
「合計2千3百円にありあす。2千5百円おあずかりしやす。2百円のお返しになりあす」
ついつい買いすぎてしまった。私がお金を払うと、お釣りを返す際に彼が、
「……!」
私の手をがっしりと握る。まさかこんなところで彼と握手ができるなんて思ってもいなかった。
「あいしゃっしゃしたー」
彼と握った手を眺めながら、顔を真っ赤にしてコンビニを出る。
それにしても、コンビニのバイトかあ。
この間読んだ少女漫画にも確か、コンビニのバイト仲間と結ばれる話があった。
数あるバイトの中でもコンビニバイトって簡単そうだし、案外私でもできるのではないだろうか。
うん、夏だもんね。私だって社会進出できるってことを示すためにも、彼ともっと仲良くなるためにも、
コンビニバイト、やってみよう!
その日のうちに応募して面接をした結果、見事に採用。
喋る事ができないので主に品出しなどを任されることになりそうだ。
シフト表を見て、ばっちり彼と一緒の時間帯に働けるように設定。
ところが。
「八咫烏さん、悪いけど同じ時間帯の龍巳君クビにしたから、ちょっと人手少なくて厳しいかもしれないけど頑張ってね」
「……!?」
なんと私が働き出す頃には、彼はバイトをクビになっていたのだ。




