ストーカーだけどナンパされちゃった♪
わくわくしすぎたのか目覚ましをセットした時間よりも早く起きる。
今日は彼がプールに遊びに行くのでついていって、ナンパされちゃいましょう大作戦。
ここから市民プールは30分とかからないので、大体9時半くらいだろうか、彼が家を出るのは。
映画の時と同様に正座して待機していると、8時半頃に隣のドアが開く音。
あれ、1時間程早い。ひょっとして遠くのプールに行くのだろうか?
すぐに私も部屋を出るが、彼の姿が見えない。
見失ってしまったのだろうかと心配になったところで、彼の部屋からテレビの音が聞こえる。
よかった、まだ出発していなかったらしい。
1時間後、予定通り部屋を出た彼を追いながら市民プールへと向かう。
さあナンパされるぞと意気込むも、一体どうすればナンパされるのだろうか見当もつかない。
『どうすればプールでナンパされやすいと思いますか?』となぎさちゃんにメールで聞いてみると、
『ちょろそうなオーラを出しておけばいいんじゃないかな』と返ってきた。ちょろそうなオーラか。
プールに到着して、更衣室に入って水着に着替えて、サングラスで軽く変装していざ出陣。
スクール水着と比べてお腹が露出しているセパレートの水着は割と恥ずかしい。
一人暮らしで油断していたのかお腹周りが前よりもぷにぷにしている。
恥ずかしさに耐えながら、彼の遊びに行く場所へとついていく。
流れるプールでぷかぷかと彼を見つめながらゆったりと泳いだり、
波のあるプールで彼を見つめながらゆらゆらと泳いだり、
ウォータースライダーで彼の次に滑ったり、
お昼ご飯に焼きそばを購入したら小食なのにおじさんに大盛りにされてしまい、
頑張って全部食べようとしたら気持ち悪くなって温水プールに浸かってる途中に吐きそうになってトイレに駆け込んだり、それなりに楽しい時間を彼と過ごすことができたのだ。
けれど問題は彼から距離を取っているため頑張って『一人寂しくプールに来ている出会いを期待している女の子』というちょろそうなオーラを演出してみても彼にナンパされないということだ。
「ねえねえ、君さ、今日一人で来たの? 良かったらさ、俺達と遊ばない?」
彼を見つめながらもやもやしていると、なんと別の男達にナンパされてしまう。
「……! ……」
首をぶんぶん振って誘いを断る。まさか本当にナンパされるとは思わなかった。
私もまだまだ捨てたものではないようだ。
「……♪」
彼は結局誰もナンパしなかった。
ブログでチャラ男を演出しているだけで案外奥手な人間なのかもしれない。
彼にナンパされるという目的は果たせなかったけど、ナンパされたし今日はそこそこ上機嫌。




