ストーカーはボーリングが意外とできる!
「では、夏休みが明けてまた会おう。補習の奴は……明日からまた会おう」
やっと終業式。明日から夏休み。
「テスト打ち上げってことでボーリング行こうぜー」
「いいねいいね、行こう行こう」
「テストばっかでマジboringだったし」
きゃっきゃうふふとそんな遊びの算段で盛り上がるクラスメイト達。
何がboringだ、全然面白くない。
大体ボーリングなんてどこが面白いのだろうか。
まだ地面を掘る方のボーリングの方が面白そうだ。
「俺も混ぜてくれ」
彼がそう言ってクラスメイト達の輪に向かうのを見て、ボーリング参加を決意する。
ボーリング大好き。
……待てよ、カラオケは個室だったけどボーリング場は全体が見渡せる構造だ。
カラオケと同じノリでついていったら、彼達がボーリングを楽しむ横で、
一人寂しくボーリングをするクラスメイトという立ち位置になる。辛すぎる。
「……」
かくなるうえは、私も混ざろう。
つかつかと仕切っている男の元へ歩み寄り、必死でガンを飛ばす。
「よし、じゃあ全部で5人だな。早速行くか」
「……!」
しかし悲しいことに私に気づいてくれない。
ひょっとして気づいてはいるが無視しているのだろうか。
確かに今までクラスメイトと全く打ち解けてこなかった無口女が突然ボーリングに参加したいとなっても気まずいだろう。
「君もボーリングやりたいの?」
仕方がない、一人寂しく変装でもしてボーリングをやるか……と諦めかけていた時、なんと彼が私の想いを察してくれる。
「……! ……♪」
私がこくりとうなずくと、
「彼女も参加したいそうだ。勿論いいよな?」
「え? あ、ああ。まあ、構わないけど」
彼が少し脅すような声で私をメンバーに入れてくれた。
なんて彼は優しいのだろうか。
いや、私だから優しいのだろうか。だってロリコンだし。
今日は後を追うことなく彼にひっついて学校近くのボーリング場へ。
6人いるので3人ずつに分かれる。無事に私と彼は同じチームに。
「……♪」
彼と一緒の重さのボールを持つ。重たい。
「アタシこう見えてボーリング上手なんよ」
彼に色目使ってんじゃねえよソープに沈めんぞ、と同じグループの女子に嫉妬しながらも、私の一球目。
「……!」
両手でボールを抱えてえいやあ!
明らかに間違った投げ方だけど重たくて片手では投げられないのだ。
ごろごろと転がったボールは真っ直ぐ向かってピンをなぎ倒す。
「……♪」
やったあストライクだ。
「ボーリング上手だね」
「……♪」
彼にも褒められてデレデレ状態だ。撫でて欲しい。
「ま、まあまぐれでしょ」
折角盛り上がってるのに水を差すんじゃねえよソープに沈めんぞ、と同じグループの女子に死ね死ね光線を送りながらも、今度は彼が投げる番だ。
「うおおおおっ!」
まるで野球でアンダースローでも投げているかのような剛速球。
ものすごいスピードでガーターレーンに突入し……!
「あはは、下手やね」
「……♪」
うん、ガーターだね。
その後も、
「……♪」
私は着実にピンを倒し、
「ぬおおおおおっ!」
いつでも全力な彼はガーターを連発。
終わってみれば私が94、彼が42。ダブルスコアで圧勝だ。
「やったー、アタシが一番」
もうどうでもいいやあの女の事は放っておこう。
その後も途中でメンバーを交代しながら、4ゲーム程ボーリングを楽しむ。
「んじゃ、お疲れー。また夏休みに」
「それにしてもあいつ下手やったね」
「運動系は全部得意だと思ってたわ」
ボーリング場の前で解散し、別方向へ帰るフリをしてやはり彼の後をつける。
「……♪」
それにしても彼があそこまでボーリング下手だとは思わなかった。
私は130も出したのに、彼はたったの59。
料理の腕も王子様とは言えないかもしれないけれど、逆にそこがいいよね。
明日から夏休み、思い出いっぱい作りたいな。




