ストーカーのノートで彼を助けよう!
もうすぐ学生にとっては楽しい楽しい夏休みだけど、その前に期末テストという壁がある。
と言っても、普段から彼を見つつ授業も真面目に聞いている私は別に焦ってテスト勉強なんてしなくても、
それなり……中の上くらいの点数が取れる。今までだってそうしてきた。
ただ彼は、お世辞にも頭がいいとは思えない。
授業中当てられてわかりませんを連呼し笑いを誘っているが、
あれは決してギャグではないのだろう。
というか、あれだけ運動ができて勉強もできたらずるい。
恋心が一気に嫉妬心に変わってしまいそうだ。
彼はテスト勉強をするのか放課後に図書室へ。
私も彼から遠く離れた席に座り、小型双眼鏡でこっそりと彼の勉強風景をチェキ。
彼が授業中全然ノートをとっていないのはずっと見てきたからわかるが、
頭の中に授業内容を覚えているからではないようで、教科書を見て唸っている。
仕方がない、ここは惚れた相手のために一肌脱ごう。
私は帰り支度をして彼の後ろを通り過ぎ、図書館から去ろうとする。
その際に、彼の席の後ろにバサバサバサッと自分のノートを落としていく。
彼は優しいからノートを私に返そうとするが、今日は金曜日なので私に返そうにも土日は彼が預かることになるだろう。
彼は好奇心旺盛な性格だから私のノートの中身を読もうとするだろう。
テスト前でなりふり構っていられない彼は私のノートを写そうとするだろう。
それでいいのだ、私のノートを読んできちんと勉強してくれれば。
謎の落書きとか正直見られたくないものも書いているが、彼のためなら喜んでノートを私は差しだす。
土日。いつもは彼の部屋からはゲームの音が聞こえてきたが、
今週はペンの音がたまに聞こえる程度。
真面目に勉強しているようだ、私もノートを貸した甲斐がある。
「ノート落としてたよ」
月曜日になり、私がいつものように彼に続いて教室に入ると、
彼が私の席にやってきてカバンからノートを取り出して渡す。
「……♪」
久々に彼に話しかけられた。
彼はテスト勉強が捗ってハッピー。
私は彼に話しかけられてハッピー。
学校の勉強なんて何の役にも立たないと思っていたけれど、
こんなところで真面目に勉強してきた自分に感謝するなんて思ってもいなかった。




