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ストーカーに仲間ができた!?(特別編・内輪ネタ注意)

『ストーカーに餌をあげないで!』に対応なしのオリジナルエピソード

 7月に入ったこの日、父親から電話がかかる。

「桃香、悪いが5日に財閥の御曹司の誕生日パーティーが開かれるから、わしの代わりにそれに参加してくれないか。本来ならばわしが行くべきなんだが、どうしても外せない用事があってな」

「……! ……!」

 ガン、ガンと地面を2回蹴って拒否を表す。

 お金持ちの辛いところは社交的な付き合いをしないといけないことだ。

 そしてお金持ちというのは自分の子供を利用して更に成り上がろうとする。

 大方父親は私を使ってコネを作ろうとしているのだろう。

 その御曹司に取り入るだけではない、パーティーには他の各界の大物とかそういう人間も来ているだろうから、そっちに取り入ることも大切だ。誕生日パーティーという名の名刺交換会だ。

 これが昔は政略結婚が平気で行われていたのだからマシになったと考えるべきなのだろうが、

 それでもそんな茶番に付き合うつもりはさらさらない。

 確かに今の私の生活費は親に出してもらっている。

 だけどそれはそれ、これはこれ。5日って平日じゃないか、学校休んで金持ちのご機嫌取りとか絶対にイヤ!

「頼むよ桃香、なんでもその御曹司はお前と同じクラスの子だそうだ、お前が行った方が自然だろう」

「……!」

 え、私と同じクラスの男の人!? それって、それって……!




「……」

 似合わないドレス姿で、パーティー会場の隅っこ不満そうにジュースを飲みながら、

 パーティーの主役であるクラスメイトの彼とは似つかない男の人を眺める。

 くそう、ひょっとしたら彼が実はどこかの国の王子様だったとかそんな感じの展開を期待していたのに。

 大体彼の誕生日はこの間祝ったばかりじゃないか、浮かれて口車に乗せられて私はなんて馬鹿な女なのだろうか。

 ていうか父親も父親だ、喋ることもできない私を自分の代わりに寄越してうまくいくと思っているのだろうか、親ばかも大概にしてほしい。



「えと……八咫烏さん、だよね?」

 ジュースをヤケになって数杯飲み、アルコールでもないのに酔った気分になっていると、

 パーティーの主役でクラスメイトである十里なぎさ、通称なぎさちゃんがこちらに気づいて寄ってくる。

「……」

「え? 携帯? アドレス?」

 無言で携帯を差し出して彼とアドレス交換をして、彼に『誕生日おめでとうございます』とメールを送りつける。父親の肩を持つわけではないが一応社交辞令はしておかないとまずいだろう。

 私はまだメールどころか彼のアドレスを知らないのに、どうしてこんな男とアドレス交換をしているのだろうか。

「ありがとう、八咫烏さん。悪いね、折角の平日だってのにこんな茶番に付き合わせて」

 私の不満そうな顔を感じ取ったようで彼が申し訳なさそうな顔になる。

「……」

 更に不満そうな顔で彼を睨む。

 向こうが悪いと思っている時は積極的に非難すべし、この世界の常識だ。

「代わりといったらなんだけど、困ってることあったら相談しなよ。俺は背の低い人間の味方だから」

 このなぎさちゃんという男は男らしい肉体を持つ彼とは真逆の存在で、

 女の子にしか見えない容姿をしている。身長も私と大差ない。

 男でこれだけの低身長は色々苦労するだろうな、と少し私も彼に同情してしまう。

 女の子にしか見えない容姿でも一応男だし、私と違って社交的な人間なので、

 彼とも少しは接点があるだろう。いい人、とは聞いているし協力者候補として一応頭の中に入れておこう。

 それじゃあパーティー楽しんでよ、まあ食べ物食べるくらいしかないだろうけどと他の人達と挨拶をしに向かったなぎさちゃんと別れ、彼のメールアドレス聞き出せないかなあ、でも私が彼を好きだって気持ちが他人に知られるのは嫌だなあと悩んでいると、



「あら? どこかで見た顔ですわね」

 今度はいかにも大正時代のお嬢様っぽい和服のお嬢様に声をかけられる。

「……」

 私もどこかで見た顔だなあとそのお嬢様の顔をまじまじと眺める。

「思い出しましたわ、確か5組の子ですわね」

「……!」

 そうだ思い出した、4組の子だ。

 4組と5組は体育の授業を合同で行うので、たまに見るのだ。

「……なんだかあなたから、同族の匂いがしますわ」

「……!」

 意味深な事を言うお嬢様だが、私も実は彼女の顔を見たときから他人とは思えない何かを感じ取っていたのだ。

「ひょっとしてあなた……恋をしてます? それもとても一途な」

「……!」

 彼女の問いかけにコクコクとうなずく。

 そうだ、彼女の眼は病的にまで一途な恋をする女の眼……更に具体的に言えばストーカー臭がするのだ。

 ストーカー臭がどんなものなのかは、実際にストーカーにならないと理解できないと思うので割愛。

「やっぱり! ここで会ったのも何かの縁、私達いいお友達になれそうですわ。実をいうと初めてあなたを見たときから、どこかこう、妹のような感じがしましたの」

「……♪」

 実は私も彼女を初めて見たときから、どこかこう、姉のような感じがしていたのだ。

 まるで前世で親しかったかのように、あっという間に私と彼女……愛顔萌伊は意気投合。

 メールアドレスを交換した後は、彼女が思いを寄せる4組の男子の話を聞いていた。



 パーティーを終えて家に帰る私はいつになく上機嫌。

 同じクラスの協力者? も見つかったし、

 気兼ねなく友人関係を結べそうな同志も見つかった。

 たまには社交的になるのもいいものだ。

十里なぎさ……作者の別小説

『今日の授業はラブコメです』

http://ncode.syosetu.com/n3670bj/

(以下ラブコメ)の主人公の1人。同じクラスという設定。

もともとはストーカーシリーズはラブコメのスピンオフの予定だったが、

ラブコメの人気が出なかったため気分転換に別の小説に切り替えようと

構想していたストーカーシリーズを投稿したところ、予想外の人気に。

本編ではまだ彼女が登場するはずの7月5日の話が投稿されていないという本末転倒な始末。


愛顔萌伊……作者の別小説でこのシリーズのプロトタイプ

『須藤王のヒタヒタ☆ストーキング日記!』

http://ncode.syosetu.com/n4429bl/

のヒロイン。隣のクラスという設定。プロトタイプなので姉。

人間観察が趣味でクラスの女性をストーキングする主人公をストーキングするという、この小説とは逆の立場で、最終話まで主人公にストーキング行為も気づかれなかった。


協力者とか友人とか言っているが、あくまでゲストキャラなのであんまり絡まない。


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