ストーカーは水泳をサボる。
今日は学校で水泳の授業がある。
だけど私は水着をカバンに入れずに家を出る。
要はサボるつもりなのだ。
理由は単純、自分に自信がないから。
この貧相な体で皆の前に出ればきっと笑いものになる。
女の子はあの日という最強の言い訳があることだしサボりながら彼の泳ぎを見ることにしよう。
「……」
水泳の時間、プールサイドで体育座りをしながら、
女子の水着姿ではしゃぐ男子達を眺める。
「うわー男子めっちゃテンションあがってるよ、ほんまやらしいわ、水泳サボって正解じゃったね」
私と同じくサボっている女子がそんなことを言う。
我儘な話だ、男子にいやらしい目で見られたくないからサボるなんて。
別に私もいやらしい目で見て欲しい痴女というわけではないけど、
いやらしい目で見られるということはスタイルを評価されているということ。
私がもう少し背が高くて胸があれば、堂々と水泳を楽しめるのに。
私くらいスタイルの悪い子なんて、同じクラスの……あ、あれは男か。
「あ、でも見てみて、あいつやたらテンション低いよ」
隣で喋っている女子達が指差す先を見ると、心なしか不機嫌そうに泳ぐ彼の姿が。
水泳でテンションが低くなる男子なんて泳げない男子くらいなもんだと思っていたが、
かっこよくバリバリ泳いでいる彼がテンション低いのはどういう了見だろう。
「ひょっとして、目当ての女子の水着姿が見れなくて落ち込んでんじゃね?」
「え、つまりあいつ見学組の誰かが好きってこと?」
なるほど、そういう理由なら納得がいく。
自分と同じく水泳をサボっている女子達を見渡す。
顔はまあまあ上位だと思っているが、スタイルは圧倒的に最下位だ。
「ひょっとして、私だったりして」
「あ~それあるかも。よかったじゃん、あいつ結構カッコいいよね」
とある女子が私含めてサボり組を見渡した後、そんな話題で盛り上がる。
自意識過剰と吐き捨てたいところだが、少なくとも私に比べれば確率は高いだろう。
彼の目当てが私である確率なんて、きっと微粒子レベルでしか存在しないのだろう。
それよりあの女子、見渡す途中に私を見て少し鼻で笑ったのを私は見逃さなかった。
ああ、悔しいなあ。
どんどん気持ちが暗くなってくる。
この話題はおしまい、泳ぐ彼をみつめよう。
背泳ぎをする彼。ついつい視線は股間の方に向いてしまう。
……私って痴女なのかなあ。




