ストーカーの恋のおまじない!
『ストーカーに餌をあげないで!』第19部に相当
「何かさー、めっちゃ効果のある恋のおまじないあるらしいよ」
「まじで? 教えて教えて」
この日の学校もいつも通り、彼を眺めながらぼーっとしていたのだが、
恋のおまじないという単語に耳がピクピク。
もうこの際、手段は選んじゃいけないのだろう。
おまじないなんかに頼る軟弱な恋愛を毛嫌いしていたが、
いざ自分が恋愛する立場になると神にもすがりたくなるものだ。
気づけば私はメモ帳を取り出して、クラスメイトの話を聞く。
「んとね、まず好きな人の髪の毛を手に入れるでしょ」
「うんうん」
髪の毛か。私をなめてもらっては困る、そんなもの既に百本近く回収済みだ。
「それを使ってね、藁人形を作るの」
「ふんふん」
人形作り。私も女の子、裁縫はどちらかといえばできるほうだ。
藁人形の中に彼の髪の毛を入れるわけか。
どこかで聞いたことのあるようなおまじないだ、つまりそれだけメジャーだということであり、効果も高いのではないだろうか?
「で、夜中にその人形の心臓をぐさっとやれば、その人のハートはあなたのモノ! 何でも神社でやるといいらしいよ、恋愛成就が働くみたい」
「まじで? 試してみよっかなあ」
ばっちりおまじないの内容をメモした私は、さっそくその日学校から帰ると人形作りに勤しむのだった。
翌日。
「……」
会心の出来だ。彼に似せて作ったので藁人形っぽくなくなってしまったが、思わずアクセサリとしてカバンにつけてしまった。
それにしても今日はなんだか彼の具合が悪そうだ。どうかしたのだろうか?
授業中も彼の人形をいじって遊ぶ。
こんなことなら私の人形も作っておけばよかったな、お揃いの。
やっぱり彼の具合が悪そうだ。心配だなあ。
「……」
それはともかく、藁人形を作っただけでは願いは成就しない。
晩に藁人形と破魔矢を持ってアパートを出て、近くの神社へ向かう。
奮発して500円を賽銭箱に投げ込むと、パンパンと二拝二拍手一拝。
そして破魔矢で藁人形をグサリ。彼と結ばれますように。
「……! ……!」
寒い夜に外に出たのがまずかったのかお腹が痛くなってきたので、
急いでコンビニに向かう。
果たして恋のおまじないは効果があるのだろうか、明日が楽しみだ。
翌日。
「ごめーん、あの恋のおまじない、丑の刻参りだった」
「おかしいと思ってたよー」
え。私好きな人を呪い殺そうとしてたの?
はは、ははは……最低だよ私。
「……」
呪いが失敗したのか彼はピンピンとしているが、反対に私の気分が悪くなってくる。
人を呪わば穴二つ。しばらく私は罪悪感で体調を崩してしまうのだった。




