ストーカーは相合傘ができない。
『ストーカーに餌をあげないで!』第17部に相当
「……」
今日は体育の授業。彼を見つめながら柔軟体操。
今日はマラソン。頑張って彼の後ろを走ろう。
そしたら彼にストーカーだってばれちゃうのかなあ。
先日彼に私が『ストーカーのやり方講座』という本を借りたことがばれてしまい、
どうにも私は思考がネガティブ。
そんな私の心情を表すように、
「うわ、雨降ってきたぞ!」
「天気予報は晴れるって言ってたのに!」
急に雲行きが怪しくなり、あっという間に土砂降りに。
校舎に避難。体育館は別のクラスが使っているので今日の体育は中止。
「雨降ってラッキー、マラソンせんでええし」
「ほんまよねー」
女子がそう口々に喜んでいる。私は彼と一緒に走りたかったのに。
「安藤さんのブラが透けとったぞ!」
「マジで? 何色じゃった?」
男子はそんな事を言っている。
私は上にジャージを着ていたのでそういうことにはならない。
……まあ、こんな貧相な身体誰も見向きもしないだろうけど。
はあ。
「おいおい、全然止まないじゃねーかよ!」
「これじゃ帰れんじゃん」
どんどんネガティブになっていく私の思考にリンクしたのか、雨は止むどころか勢いづき、放課後になる頃には警報が出るレベル。傘を持っていないほとんどの生徒が帰れず仕舞い。
彼も傘を持ってきていないようで教室の窓から外を眺めている。
実は私はこういう時に備えて折り畳み傘を学校に置いている。
「……」
相合傘がしたい、けど。
無理だよ、無理に決まってる。
彼を相合傘に誘う勇気があったら、とっくの昔に私は彼に告白している。
大体私は彼に気持ち悪がられているんだ。
『誰かをストーカーしている』人に相合傘を誘われたら、
『うわ、もしかしてこいつ俺をストーキングしてるの? きっしょ』と思うに違いない。
「おっしゃ、雨あがった!」
「これでやっと帰れるわ~」
どんどんじめじめしていく私の心とは反対に、外は雨があがって綺麗な虹がかかっていた。
「……」
だけど私の心はじめじめしたまま。
学校を出る彼の後を、折り畳み傘を握りしめてうつむいて歩く。




