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ストーカーだって努力します!

『ストーカーに餌をあげないで!』第11部に相当

 今日は創立記念日で学校が休みらしいです。

 平日に自分だけ学校がお休みって、いいですよね。



「さーて、今日は人が少ないだろうし、ゲームセンターで遊ぶかー!」

 隣の部屋の彼もそんなことを言っていますし。

 いいですね、平日の空いた街並みを彼とデート、最高ですね。

 それにしても彼は部屋で独り言ばかり言っているけど、周りから不審者扱いされているんじゃないだろうか?

 私のように喋らないのも問題だと思うけど、彼のように大声で独り言を言うのも問題だ。

 彼が部屋を出たようなので、私も少し遅れて部屋を出て彼に続く。

 それにしても、隣の部屋に住んでるのに案外ばれないもんだなあ。

 私って、本当にストーカーの才能があるのだろうか?



 そんな事を考えているうちに、ゲームセンターに到着。

 前回のゲームセンターは人がごった返しで彼とのデートを楽しめなかった(UFOキャッチャーで思う存分楽しんだけど)、しかし今回は空いている。

 勇気を出して偶然を装って彼に話しかけようかなと深呼吸をしていると、

 彼が握力測定ゲームの方へ向かう。

 握力を測定するためのゲームらしい。学校に専用の道具があるのに、あんなもので金をとるのか。

「ふんぬぬぬぬぬぬぬぬ!」

 私の見守る中彼が握力を測定しだす。

 彼の力みすぎた顔が面白すぎて笑いを堪えるので精一杯だ。

 彼の握力は右102.3、左92.5らしい。

 どのくらいすごいのだろうか、彼が離れた後に私も続いて測ってみることに。

 コインを入れて測定用の機械を思い切り握る。彼と間接握手だ。

「……! ……!」

 彼の事を多分馬鹿にできないくらい、私の力みすぎた顔もおかしいだろう。

 彼がこんな私を見て笑ってくれたらいいなあと妄想に浸った後、測定結果が出たので見てみる。

 右21.3、左18.6。

「……」

 彼の大体2割しかない。彼と私が本気で握手したら私の腕砕けちゃう。



 ゲームセンターに握力だけ測りに来るとか何がしたいのかわからないけど、

 もう彼がゲームセンターから出て行くようなので私もそれに続く。

 帰りながら落ち込む。彼の2割しかないなんて、私全然彼に釣り合っていない。

 私は運動もできないし勉強が物凄く得意というわけでもないし、何より他人とのコミュニケーションも取れないし。

 彼にふさわしい女ではないのだ。



「……」

 とぼとぼと彼の後をつけていると、途中の道のスポーツ用品店が目に入る。

「いらっしゃいませー」

 気づけば私は店内に入って、ハンドグリップを購入していた。握力を鍛えるアレだ。

 彼にふさわしい女ではないなら、これからふさわしくなればいい。

 握力だって、これを使って鍛えれば彼に近づくことができるはずだ。

 決意を胸に、私はこの日筋トレに励むのだった。



「……」

 翌日、筋肉痛で体の激痛に耐えながら体育を見学する私。

 筋肉痛がするということは体が成長しているということのはずだ。

 頑張ろう、私。

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