ストーカーに彼の隣はまだ無理!
『ストーカーに餌をあげないで!』第10部に相当
「よし、そろそろ席替えをしよう」
ホームルームでの教師のその一言にざわめく教室。
席替えか、嫌だなあ。
現在の私の席は一番右の最後尾。
彼の席は一番左の前から3番目。
〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇
彼〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇私
彼は基本的に黒板を見るために体を右に向けているので、この位置からなら顔が見やすいのだ。
一番後ろだし、私も黒板を見るために体を左に向けるので彼を見ても不自然ではない。
まさに理想のポジショニングだったのに。
この席替えで一体どうなることやら。
「……」
ファック。
……いけない、女の子らしくない言葉遣いになっちゃった。
でも私が荒れるのも仕方のない話。
私の席は一番前の真ん中。一番前の席というだけでも最悪なのに。
「いいなー一番後ろとか、内職し放題じゃん」
彼は私と同じ列で一番後ろなのです。
どうあがいても彼を見ることなど不可能。
最悪のポジショニングじゃないか! ファック!
クラスメイトとコミュニケーションを取っていない私が友達と席を替わって貰うように頼み込むことも不可能。万事休す……と思いきや、
「先生俺目が悪いんで前の席がいいです。誰か替わってください」
なんと彼がそんな発言を。私の調べによると彼は目がいいはずなのだが、どういうことだろうか?
「あ、じゃあ俺が替わるよ」
「……!」
そしてそれを了承したのは、私の左隣のクラスメイト。
つまり、私と彼は隣同士になるのだ。
隣同士。ちょっと横を見れば彼の顔が間近に見れる。
隣同士なら彼と話すこともできるかもしれない。
まさに最高のポジショニング……のはずなのだが、どうにも私は怯えていた。
今彼が私の隣に来たら、私はおかしくなってしまうのではないか。
テンパってみっともない姿を彼に見せてしまうのではないか。
最悪彼に、隣に気持ち悪い女がいると思われてしまうのではないか。
「あ、アタシも目が悪いんです。誰か替わってくれませんか?」
そう悩んでいる中、私がもといた場所のクラスメイトがそう発言。
「……!」
私は手をあげてそれを了承した。
「……」
席替え後、自分から一番前に行っておいて何故か不満顔な彼の後姿を見る。
この位置からだと顔は見づらい。折角彼の隣の席になれたのに、すごく勿体ない事をしてしまった。
でも、今の私にはまだ無理。
私は所詮意気地なしのストーカー。
こうして遠くから彼を見つめることしかできないのです。
いつか、いつか彼の隣の席に堂々と座れるようになりたい。




