ありがちなスペースオペラの始まり
西暦202568年。
ひとつの星にひとつの国を持つことになった人類は、戦艦をひとつの国につき三つまで持つことが認められていた。騎士風?の戦いが繰り広げられるかもしれないスペース・オペラの始まりとござい、とーざーい。(古き良き講談士風)
無音空間を陽光パネル航行船が行く。内部に最小無害原子力エンジンを載せた軍艦だ。宇宙大戦争が終わり20万年が経つ、この、たぶん西暦202568年。
軍艦はひとつの星国に三つまでとなり、戦闘能力は必ず同等と定められているため、星国騎士となった旗艦同士の名誉の戦いが復帰していた。
「我こそはアーシュタット・ランスローカイム・ドューラ・ハッサン・・・・・・」
「やあやあ。我こそはミナモトノマサクニ トヨハラノクニノスケ ナカツグ・・・・・・」
20万年もあると氏名の継承が大変である。
あとは太陽光パネルの機械パッドに打ち込み、静々とお互いの紹介が終わった。
「太陽砲用意」
「構え」
お互いが同時に構える。
「撃っ」
ぴよーん。闇の空間上にピコピコハンマーが現れた。
宇宙空間上に表示されたホログラフを相手に先に当てたほうが勝ちだ。
・・・・・・ひゅるるるん。
なにかイヤな、物音がマサクニ艦に発生した。
ピコピコハンマーが勝手に動く。
「ヤーヤー。疲れたので休みます」
と、勝手にピコピコハンマーが寝転がってしまった。
「どうした。何があった」
「分かりません。西暦2126年頃の技術に問題があるようですが」
艦内は騒然となる。
「タイムマシン・エアラインは許可されているか」
「ぎりぎりですね」
「行って交渉してきてくれるか?」
「艦長のご命令とあれば。・・・・・・ここにハンコを」
何を隠そう、戦艦ミナモトは20万年経ってもハンコは貴重なオブジェとして残っていたようだ。
あとは指紋認証。声紋認証。網膜認証は人体に影響を与える度合いが多かったのでこの西暦202568年には淘汰されたようだ。
ぽむ。
艦長がハンコを押し、配下のひとりが敬礼した。
「では行って参ります。20万年前のセカイに」
ぴよよよよん。
タマゴ型の深海探査機のようなタイムマシンに乗り込み、配下シルフィは西暦2126年の時代に向かって旅立った。
タイムマシン・エアライン・・・西暦202568年から遡り、戻ることができる時代。時流の荒さや穏やかさなど、技術的かつこの時点でのモラル的に「許される・許されない」があるらしい。