本格ファンタジー〔グイン・サーガ〕について、語れるだけ語ってやる!
「グイン・サーガってナニ?」
そんな人も増えたことだろう。なんせ原作者※栗本薫が亡くなって随分経つから(※2009年死去)
もう10代で知る人は稀だ。そんな若い世代に。(こんなスゴイ物語を書いた作家がいたのか!)
と、思えてもらえたら幸いだ。では早速語るとしよう。
〜序章〜
グイン・サーガ。
作家・栗本薫が世に出し長編小説だ。
内容はファンタジーの王道〔本格ファンタジー〕である。
本編だけで100巻以上。外伝も含めると180巻くらいにもなる。
これを亡くなるまで1人の作家が描いたと聞けば…。
(ウソだろ!?)
と、思う人もいるだろう。
でも、事実だ。
なんせ栗本薫はIQ154。1年間で20冊以上の書籍を世に送る天才だった。
しかも、これは書籍になった原稿である。
多い時には1ヶ月で、5冊分の原稿を書き下ろしていたと云うから驚きだ。
編集者から〔物語製造機〕と呼ばれたのも頷ける。
そんな大天才が残した遺作〔グイン・サーガ〕
私はこの時点で本編34巻。外伝は9冊まで読破している。
これから読む人の為に、なるべくネタバレを控えて語るとしよう。
第一章〜物語の始まり〜
「それは異形であった」
の、一文から始まる。
主人公グインの姿の説明から始まる。
この時点ては世界のことも何も分からない。
ただ異形の主人公が目覚めたことが語られる。
豹の顔をした筋肉隆々の男〔グイン〕
その説明が終わると。
ようやく次のシーンで、今が戦の真っ最中だと分かる。
襲われているのは双子の王子と王女
目覚めたグインは成り行きで2人を助けてしまう。
護衛を欲していた王子と王女。
グインは記憶を無くして行く宛も無い。
王子と王女とグインと、その後、あともう1人加えた4人の奇妙な旅が始まる。
と、まあ…始まりを簡潔に述べると。
このようになる。
なぜ、戦争の真っ只中だったのか?
どんな世界なのか?
その説明も踏まえて話は進んでゆく。
第2章〜世界観〜
草原あり。
山脈あり。
大森林あり
砂漠あり。
大海原あり。
かつて栄えた古代文明あり。
国々もそんな世界観に根ざしている。
魔導と科学が混然一体となっている世界観だ。
しかもリアリティを追求した設定の細かさには舌を巻く。
例えば、大海原を旅する時には海鳥を捕まえる場面があった。
海鳥の身体に砂や石がついて無いか調べるのだ。
ついていれば近くに陸地がある。
海洋民族の知恵である。
また、海賊が登場する場面では、異なる海賊が対峙する。
そこで〔北洋の海賊〕と〔南洋の海賊〕の違いを述べていた。
まるで〔北欧のバイキング〕と〔カリブの海賊〕の違いを述べているようだった(※外伝3巻〜幽霊船〜)
そんなグイン・サーガは舞台が変われば物語のテイストもガラリと変わる。
海を舞台にすれば海洋冒険モノの様相となり。
宮廷を舞台にすれば宮廷劇となる。
国家を跨げば戦争物語。
主人公グインを中心にすれば英雄叙事詩。
それらに加えて、恋愛や権謀術数の駆け引きが繰り広げられる。
(ホントに作者・栗本薫の頭の中はどうなっているんだろう?)
そんな感想を思わずにはいられない。
さらにそんな物語を、同時進行に進めて行く。
まるで三つ編みを編むように…。
絡めながら進めて行くのである。
第2章〜ストーリー〜
一応、ストーリーの中心はグインの正体の追求にある。
一応…とつけたのは、その追求が中々進まないためだ。
追求することで世界の秘密に近づくのだが…。
進みそうで進まない。
他のストーリーがいくつも絡んで来るためだ。
しかし、本編34まで読んで思ったことは…。
(ほぼ全てのストーリーは、一本に繋がろうとしている)
と、云うことだろう。
まあ、それも何処までも正しいのか?
もっと読まないと分からない。
第3章〜見どころ〜
私の推す見どころは…。
兄弟姉妹間の確執である。
グイン・サーガでは兄弟姉妹間の確執が、繰り返し描かれる。
愛するがゆえに…。
憎まざるえない。
奪わざるえない。
傷つけざるえない。
(なぜ…どうして…なんでこうなる?)
そんな気持ちになる。
良かれと思ってすることで、気持ちがすれ違う。
そんな場面が何度も描かれる。
喜びの絶頂から、苦悩の谷へ突き落とされる。
その心象描写が読者の心を撃つ!
グイン・サーガでは兄弟姉妹間の確執を、如何に克服するのか?
大きな議題になっているようでもある。
どうしてそうなのか?
理由を考察すると。
それは作者・栗本薫の経験から来ているようだ。
栗本薫には弟がいた。
栗本薫にとって、弟は複雑な存在だった。
何故なら弟は重度障害者だったからだ。
ほとんど寝たきりで、一日中、世話をしないとイケなかった。
父も母も弟に付きっきりで。
姉の栗本薫は※家庭の隅に追いやられた。(※読書にのめり込んだ原因の1つ?)
栗本薫は弟が憎かったことだろう。
弟に罪はないと分かっていても…。
※存在を受け容れるまでに、どれほど時間が掛かったことだろう?(※その様子は自伝的小説〔弥勒〕に収録されているようだ。私はまだ読んでないので語れない)
また、他の作家が描いた自叙伝には、母がふともらした言葉が載っている。
「障害者は仏様、私たちのために災難を引き受けてくれた」
弟の世話をしながらだったようだ。
どこまで本当なのかは分からないが…。
栗本薫はどんな想いを抱いたことだろう?
そう云えば。
グイン・サーガでは、障害者を崇高な存在として描いていた。
おそらく無関係ではない。
〜終章〜本格ファンタジーとは?〜
以前、私は…。
「本格ファンタジーとは世界観そのものである」
と、述べた。
しかし、今ではそれではやや生温いと思っている。
今は考えを改めて。
「戦争描写の描き方にある」
と、している。
何故なら戦争をリアルに描くと、ライトノベルに成らない。
成立しえない。
グイン・サーガを読んでいて、そんな場面がいくつもあった。
戦争に巻き込まれて家族を失ったり。
手足を失ったり。
生活の糧を失ったり。
それでも懸命に生きようとする。
「神は奪い、また与え給う、神様ありがとうございます。ありがとうございます!」
生き残ったことを神に感謝する。
これぞ本格ファンタジー!
作中、屈指の名場面だと思った(※本編の第16巻〜パロへの帰還〜より)
正直言って…。
生粋のグイン・サーガのファンからはお叱りを受けるだろう。
「内容が薄い!」
とか云われそうだ。
飽くまでグイン・サーガを知らない向けに語ったつもりである(言い訳)
最後に。
「グイン・サーガのファンはマナーが良い」
相手がどこまで読んだか把握して、それ以上の内容は話さない。
少なくても私とメールを交わした人たちは、ネタバレをしなかった。
私もそんなファンの1人になりたいな。




