StrawberryMarriage〜契約花嫁は苺の香り
あの日――
俺はただ、苺が欲しかっただけだった。
名前も知らなかった小さな農園。
冬の陽射しを受けて輝く赤い果実。
それが、すべての始まりだった。
唇が触れたのは、もっとずっと後のことだ。
柔らかな吐息が混ざり、
心臓が軋むような音を立てたあの夜。
けれど、その瞬間でさえ――
俺は知っていた。
彼女の心が、俺にはないことを。
愛してはいけないと思いながら、
愛してしまった。
まるで、旬を過ぎた苺を離せないみたいに。
何かが壊れる音がした。
それでも手を離せなかった。
あの冬のハウスの香り、
紅茶色の瞳、
指先に触れた温もり。
たったそれだけで、
この人生を懸けてもいいと思った。
――あの日から、すべてが始まり、
そして、終わった。
俺はただ、苺が欲しかっただけだった。
名前も知らなかった小さな農園。
冬の陽射しを受けて輝く赤い果実。
それが、すべての始まりだった。
唇が触れたのは、もっとずっと後のことだ。
柔らかな吐息が混ざり、
心臓が軋むような音を立てたあの夜。
けれど、その瞬間でさえ――
俺は知っていた。
彼女の心が、俺にはないことを。
愛してはいけないと思いながら、
愛してしまった。
まるで、旬を過ぎた苺を離せないみたいに。
何かが壊れる音がした。
それでも手を離せなかった。
あの冬のハウスの香り、
紅茶色の瞳、
指先に触れた温もり。
たったそれだけで、
この人生を懸けてもいいと思った。
――あの日から、すべてが始まり、
そして、終わった。