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厚遇を享受した者

集中、血の匂いはどんどんと強くなっていく。

これは一人どころじゃない...いや、今考えている時間はないかな。


「ねぇ二人とも、少し手伝ってほしいことがあるんだけど、いいかな?」

「いいとも〜⭐︎」

「はい!私にまかせてください!」


 ...この子たち優しすぎない...? 悪い人奴らに騙されないか心配だよ〜

 でも可愛いから許しちゃう、そして帰ったら愛でよう、すぐ愛でよう。

 白玉を丸めるように、ゆで卵の殻を剥くように優しく愛でよう。


「ありがと!じゃあ状況を説明するとね、この近くで事件があったのか沢山の人が怪我してるみたいなんだ。だから助けに行きたくてさ」

「オケ丸!トコちゃん、どこで戦っているかは分かる?」

「うん、私の鼻が助けを求める人の声を嗅ぎ分けてるよ。」

「流石猫の鼻だね、ツンツン」


 ええぃやめんか、レイサの親指と人差し指指の間を強くつねる。


「ぬぁぁぁぁーっ!」


 レイサは悶絶しながら崩れ落ちた。早く手遅れになる前に現場に急行しないとなの、でも移動はどうしよう。

 私とレイサだけなら固有魔法を使って移動できるけどメノンちゃんは....やっぱりあの方法か。


「お手をどうぞメノンお嬢様」

「.....はい...喜んで」


 うおっ、すごい嫌そうな顔してる。

 さっきはあんな元気に返事してくれたのに。はたから見たら先輩の力で嫌がる後輩を従わせてるの図だ、埋め合わせはするから許して〜。


「準備完了だね!それじゃあいっくよ〜!」

「レイサ、ちゃんと私の後ろに着いてきてね」


 私は高く飛んだ。血の匂いは120m半径くらい場所からする。

 ただ紅玉の亡骸は入り組んでいるからローラーしないといけない。

 近くの壁に着地して上に走りながら現場を目指す。


 私の固有魔法は『摩擦』: 触れている物の摩擦力を増やしたり減らしたりする魔法。派手ではないけど面白い魔法だ。

 指先の摩擦を増やして壁に張り付いたり、自分や物を等速直線運動させられる。


 前もこうやってメノンちゃんと出かけたことがあるけど、メノンちゃんは乗り物に乗る機会が少なかったらしくて乗り物酔いしやすい。

 だからすごく具合を悪くしちゃって、30分くらいダウンさせちゃったんだよね。あはは


「あばばばばば」

「口閉じないとベロ噛んじゃうよ〜」

「あっはは!メノンちゃん!顔〜顔〜、もっとテンション上げていこ〜⭐︎」


 レイサの固有魔法は『瞬発』: 1秒間に動く距離を一瞬で移動できる魔法、連発可。どんな姿勢からでも発動できるし、次の『瞬発』を発動するまで発動地点に戻ることができる魔法。

 攻撃・移動・撤退に使える便利な魔法だ。


「レイサ! 血の匂いがする場所はこの辺りなんだけど何か見える?」

「う〜ん、なにも見えないな〜」

「そうだ、って!レイサ!前見て、前!」

「へあ?」


 レイサは壁を破壊して突入した、前方不注意、一時不停止、速度超過。う〜ん免停だね。

 それより中から二人の悲鳴が聞こえたけど大丈夫かな。


「ああ、こ、このクソガキ、お前が鏡を壊したのか!!!」

「ぬっへへ〜...ごめんね⭐︎」

「殺す」


やばい、これはこっちが悪いかもしれない…

...いや、武器も持っていない人が5人倒れているし悪人なのは確定。

話を聞くにも完全に怒ってるし、まずは相手さんたちを無力化しないとだね。


「メノンちゃん、起きて、戦うよ」

「ううっ、はい、わかっています.....おえ」


 メノンちゃんの固有魔法は『共有』: 他者と何でも共有できる魔法。

 思考・物・能力を共有でき、人と人を繋ぐコネクタになる。

 これがあるだけで動きやすさが段違い、視野も広がるし戦闘中にテレパシで会話できるのは大きなアドになるからね、少しぐらぐらした感じも混ざっているけどご愛嬌。


「俺に近寄るなハエ女! ちょこまかざかしいわ!」

「ハエ女じゃなくて速エー女だよー!名前だけでも覚えて仲良くしよーぜっ!」


 レイサはケル・テックRDBを保管庫に出し入れしながらインファイトをする。レイサは去年、学校の新入生交流戦で3年生を六人同時に倒すほどの近接戦の腕前。銃の腕もかなりのもので、距離を取られても射撃しながら『瞬発』を用いて接近しに行く。

 対し双節棍をつかう黒装束の男、本職の傭兵なのかかなり戦い慣れている。

 あんな深くフード被って邪魔そ〜


 でも近接戦闘でレイサと互角に戦ってるのはすごい。

 そしてもう片の白装束男、奴の得体がしれない。

 戦闘で不確定要素があるのは怖いね〜


 私は愛武器レミントンショットガンを取り出す。

 頑丈、作りもシンプルで打撃に使っても壊れにくい信頼性の高さが最高。


 なにをしてくるか分からないなら、なにかされる前に潰すだけ!

 殺傷ではなく拘束が目的。ショットガンにゴム弾を装填、足に力を集めて飛び出す!弾丸に『摩擦』を込めれば掠るだけでも致命傷。

 私が突っ込むと相手も気づいてハンドガンで反撃してくる。

 ショットガンで叩き落としてると横から小さい鉄球が飛んできた。


「さっせるかぁー!!!」

「いたっ!」


 左二の腕を貫通!不意打ちだったから反応できなかった!銃も予備動作もなしになんていう速度!この速度で攻撃してくるならこいつも無視はできない。

 どちらを優先するか考えていたらレイサから連絡きた。


(トコちゃん、こいつの能力は衝撃波を起こす能力みたい)

(...了解、私もそっちを援護する)


 黒装束の実力は卓越したものだけど大した能力じゃない、なら!


「レイサ!合わせる!」

「オッケー!私たちの力を見せてやるし!」


 やることは私が前に出てレイサの瞬発が乗った一撃で仕留めるいつもの作戦。私達の最強の勝ち方。

 レイサの一撃は格上にも通用する破壊力、当たりさえすれば倒せないものはない!私はステップを刻んでやつの懐に入る、足裏の摩擦を変化させて動きを読ませない。

 そして相手に肉薄する。ギリギリで反応出来たのか攻撃がくるが遅い。


「なんちゅう力だよっ!?」


 繰り出してきた双節棍に摩擦を増やしたショットガンバレルを引っ掛けて奪い取る、そしてパーンチッ!摩擦を込めてお腹に拳をグリっと♪

 相手がバランス崩した、今!


「レイサ!アゲぽよ」

「テンアゲ〜⭐︎!」


 レイサが一直線で黒装束に突っ込んで『瞬発』の乗った攻撃を打つ!

 あの速度を腹パンした後に防ぎきれないでしょ!

 

...男は体勢を戻して呟いた。


「ぐっ、今だやれ、テン」


 床から突然生まれた段差にレイサはつまづく、そしてバランスを崩したレイサの顎と首に双節棍は打ち付こまれた。


「レイサァァ!!!」


 短い悲鳴と血を出して、レイサは倒れた。

「最近、人間の間では祠を壊すのが流行りらしい」

「まじかぃ!俺らでも神の宿る物を壊すのは躊躇するのになぁ」」

「この鏡も割れたらまずいな」

「下手な冗談はやめてくれよぉ」

「「はっははは!!」」

ドーーーーン!!!パリーン!!!レイサだよ〜!!!

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