あなたにとって、猫とは?
スピキを見ると涙腺が緩む 虐待するのはちいかわだけでいいよ
バンドを外して保管庫に一旦置いておく、一旦ね。
今日のために保管庫を整理整頓したからまだ綺麗だ、バンドを片付けるだけで片付く。
でも今日は忙しいから帰ってから片付けよう、きっと片付ける。
急ぎ足で事前に決めた地点に向かう。
といってもほんの近場だから一瞬で到着。お姉ちゃんとメノンちゃんに合流だ。
「お待ちどうさま、僕だよ!」
「いや〜エマ、優勝おめでとう」
「お疲れ様エマ、カイリちゃんに勝つなんて本当に凄いよ!」
うわ〜い褒められた、もっと褒めて!!
もっと撫でて愛でて、甘い〜いアメを貰った分だけ成長できるから!
ごろにゃ〜ん、やっぱり僕も猫だったのかもしれない。
「はっマズイ、連絡するの忘れてた」
メノンちゃんが突然撫でるのを辞めてしまう。
にゃあ、もう撫で納め。足りない、幸せパワーが足りない。
いっぱい痛かったからいっぱい撫でで欲しいのだ、にゃあ。
「うぐぐぐぅ」
「エマ〜!」
「まぁまぁエマ、仕事をきっちり終わらせてからのお楽しみということで。移動です」
「ほいさ〜」
そう言ってお姉ちゃんは僕をその両腕に納める。
触っただけでも分かる頑丈さ、生温い金属感。
「私がメノンちゃんの代わりに撫でてあげるからね〜」
「アーマーがゴツゴツしてるからヤダ〜!」
「こんなアーマー脱ぎ捨ててやる〜!!」
「先輩ステイです!愛を知ってしまったゴーレムみたいにならないでください!」
「例えば分かりずらっ!?」
カオスだ、漆黒の鎧を纏ったお姉ちゃん。
けれどどんなにカッコいい見た目をしても中身はお姉ちゃん。
纏う雰囲気が着ぐるみ人形とほとんど変わらない!
「とりあえず移動しながら話そうか、ほらメノンちゃん」
「安全運転でお願いしますよ、トコナ先輩」
メノンちゃんはアーマーのどこかしらを掴む。
そうしたらお姉ちゃんが『摩擦』で床との抵抗を減らし、足で思いっきり出発する。
たくさん予算を使ったことが想像できる長い廊下を、リニアモーターカーのように安定感と速度で滑り抜ける。紅玉の亡骸の時と比べて素晴らしい安定感。
これにはメノンちゃんも唇を噛み締めるほどしか顔が崩れていない。
「こうやって滑るように移動する姿を見て、人々私を氷上の猫と呼んだ」
「でも滑ってる間に氷が全部溶けてそう」
「おぉ言うね〜」
「あとお姉ちゃんは猫要素そんなにないからね」
「それは言っちゃダメだめよ〜」
猫耳がついているだけで猫判定されるなら、僕だってこの通り。
仕込みナイフ付き猫耳カチューシャ(使用済み)がある。
はいチーズ、せっかくの交流祭だから写真を残さないとね!
「私は猫〜燃えて滑って空を自由に飛べる猫、つまりドラえもん?」
「ドラえもんはたぬきだから!」
「ふふふ、ドラえもんって実は猫型ロボットなんだよエマ」
「それは流石に嘘だ、そう何回も騙されないからね」
記憶かなくたってそれぐらい分かる。
す〜ぐこうやって僕に嘘を教えようとするのは、お姉ちゃんの悪いところだ。
まぁ僕を騙そうとする時、お姉ちゃんは顔がニコニコになるから分かりやすいけど。
嘘を嘘と見抜けないならなんとやらだ。
「まぁその話は終わりとしまして、ここが目的地だよエマ」
お姉ちゃんの腕から降りて自分の足で立つ。
到着した場所は教室、お姉ちゃんたちの教室だった。
「目的地、目的は何かな?」
「私たちの目標ってエマさえ守れればいいんだよね。別に逃げたら負けの戦いじゃないから幾らでも逃げれるし、エマの隣にミツルさんを配置すればそれは簡単に叶う」
「だけどそれはしないよ。一般の人に被害が出る上にエマが成長できない。何よりも気に食わないんだよね、私たちのヴァストスに堂々とテロリスト如きが入ってきて悪さしようっていうのは。宝石と魔法の国ヴァストス、世界一の大国がテロリストに屈服することは、誇りが失われる」
「私たちの国は私たちで守る。2度も同じように負けはしない」
お姉ちゃんとメノンちゃんは怒っているんじゃない。
自分にできることをしようと全力で必死で、カッコいい人たちだ。
あの紅玉の亡骸で感じたみたいな、激しいものを感じる。
「だからこの教室、この学校なの。CAT含む全騎士団の特殊部隊動員、特別傭兵招集、大沙砲2両がこの学校を包囲している。あと5分で出入り禁止の結界も貼られる。このアルマ院はワールズアコードの檻となり監獄になる」
「そして僕の役割は餌、みんなが削ってくれた敵をお姉ちゃんと僕で倒す。そういうことでいいんだよね?」
「都合よく利用しちゃってごめんね、でもこれが守るにもベストってことを分かってほしい」
「謝ってほしいなんて言ってないよ。ありがとう、それと後でみんなにお礼を言わないとだね。そしていつかこのお礼を返せる人になりたいな」
ミラを救える英雄になって、みんなの期待に応えて、第二形態になる。
将来の夢を詰め込みすぎた、叶えるために頑張らないといけない。
1番になりたいならなりたい理由を自覚しろって、お母さんにも言われたばかりだから。
「頑張るよ僕、夢があるから」
夢は、絶対に叶えなくてはいけない
メノンちゃんに促されお姉ちゃんの席に着席、1番後ろの席だ。
お姉ちゃんは問題児で有名だからあえて1番後ろなのかもしれない。
その隣は当然レイサさんの席、どうやら予想は当たったらしい。
レイサさんの席にはお姉ちゃんが座っている、椅子を後ろに倒して二足で保っている。
「さぁ皆さん、今日は臨時の転校生が3人いますよ」
教卓に立つメノンちゃんに視点を合わせる。
なぜか1番後ろの席に座っているから距離が遠い。
上にはクラススローガン『そこはかとなく、なんとなく』
「紹介するよエマ、エマを守護るために選んできたエリート戦士達を!」
ババンッ、教卓の下から、掃除ロッカーから、
「護衛の任を仕った、笠谷ユウジだ」
寡黙な青年?顰めっ面のせいで損をしているミステリアスなイケメン。
「......あっそれだけでいいの、あとコードネーム使いなさいよ。たくっ、私は『シャルトリュー』でこいつは『ヒマラヤン』だから、よろしくねエマ」
「よろしくお願いします!」
「うわぉキラキラ、私にもこんな時代があったのにねぇ」
「現役ですね!」
「えっ嘘、団長とトコナの娘とは思えないわ!」
俗に言う伊達巻ロールの髪型をした『シャルトリュー』さん。
あの髪型には一体どういう実用性があるんだろうか?
意味もなくあんな動きにくい髪型はしないだろうし、きっと凄い力があるに違いない。
「猫族なのに随分と普通なのね、もっと変態だと思っていたわ」
「そんなお姉ちゃんほどじゃないですよ〜」
「エマ〜?」
おっと、横から纏わりつくような熱気が。
話を進めて攻撃キャンセル、教卓から顔だけ出している人に話しかける。
「あなたも護衛の人ですか?」
「......っぅトコナァ!!」
ユウジさん以上の無口かと思えば大きな声をあげた。
目の焦点が桜のように散り、呂律が高い寿司屋さんくらい回らない。
「『ペルシャ』さん大丈夫ですから、エマは懐っこいしほぼ小型犬ですよ〜」
「そうやって君らは陰キャットを囲んで弄ぶんだ。言っておくが、私は定時で帰らせてもらうからね」
「そうしたら『ペルシャ』さんの家にみんなで行きますよ、ワールズアコード引き連れて」
「鬼畜鬼!」
「猫です!」
いやいやー!こんな職場と同僚嫌だー!
「この通り、CATは完全実力主義だからね。めっちゃ無口、純粋に差別者、引きこもりをお母さんが気合いと拳と血の汗と涙と蹴りで纏め上げる。それがCATだよ」
「ちなみにこいつね、口数少ない自分の印象を残すためにこんな誉れ人みたいな喋り方してるのよ」
「ユウジさん!僕は格好いいと思いますからねその話し方!」
「おわぁー!陽キャの内心人を馬鹿にした気遣いだー!」
「違いますから!ユウジさんはちゃんと格好いいですから!」




