敵かもしれないというアヒール
ダッタハソトです、最近やらせてもらって書きたくなりました
テレレーンッ!テーテーテェーテレレーンッ!カーン!
「効果音が西部劇じゃなくて時代劇じゃねぇか!」
「カーンは確信犯でしたね、ヴィブラスラップで出すあの音でしたし」
絶対あの師匠の影響だと思うが、もう聞こえるだけでおもろいのは反則だ。
とか言ってる間にレイサ先輩の挑戦は終了。
カッコいいガンスピンを私たちに披露してズボンのポッケに銃をしまう。
「得点は62点です」
「ぐわー!最高得点までダブルスコアだー!」
ちなみに私が79点、わふが34点。そして最高得点は157、頭おかしい。
しかしこの脳外ピンクが思ったよりいい筋を持っていた。
それに酷いことを言いすぎたな、一つ褒めてやるか。
「お前も初めてにしてはリロード上手かったぞ、褒めてやる」
「これめっっちゃ使いづらいですよね!」
「コイツは100年以上前の銃だからな。現代っ子には慣れないのは分かるぜ」
「自分も現代っ子の癖に言いますね〜!」
それにしても157はイカれてる、私相手にほぼダブルスコアとか誰だよこれ。
私でも六発装填するのに約10秒かかる。それで2分間だから撃てるのは大体70発ちょっと。10点鳥はおそらく一回につき3羽出現、私は1羽逃した。
やはりここまでの差が開く理由が分からない。だがプライドが傷ついたのは確かだ。
負けた理由を一人で必死に考えているとメノンから通信が来た。
(まぁまぁカイリちゃん、あとでトコナ先輩に聞いてみたら?)
(なーんでここでトコナ先輩が出てくんだ)
(だって得点見てみなよ)
157、イナゴ、イコナ、トコナ。
(私やっぱあの人が怖い…!)
過去のトラウマ、再発
(あはは、それよりも敵は見つけられた?)
(多分見つけたけどよく分からん)
(うーん、まぁ撃ってみればいいんじゃない?)
(そりゃーそうだ!がっはは!)
わふを十字締めから解放して保管庫からPP-91を取り出し構える。
「二人とも、構えてください」
「隠れてる人見つけたの?」
「はい、敵はここにいます」
『色覚補正』で見えた光の違和感、それを無視するか?
答えはNO、ひっかかりは事前に改善しとかないとどこかですっ転ぶ。
ならばと天井の照明に発砲、蛍光灯の破片が落ちてくる。
そのキラキラした破片の中から唐突に、一際輝く星が現れた。
光をよく吸う金髪に薄い金の眼、温度感のない肌と顔。
敵意は感じず、敵であり、初対面であるはずなのに好意が湧いてくる。
好意よりも上の信用、信頼というものがコイツに湧いてくる。
頭に銃口を向け全ブッパ、迷うくらいなら撃て!
撃てば迷いも全部ぶっ飛んでいくんだから!
だが敵は最小限の動きで30発の弾を全て避けて見せた。マガジンを変えながらその一挙手一投足に目を向けていると、抑揚のない声で話しだした。
「少々荒っぽいですね、決断力が高いとでも言い換えましょうか?」
「なら私はどうかな!」
『瞬発』で距離を詰めて足を狙ったレイサ先輩。
しかしそれは躱され、逆に先輩は勢いを利用された投げで外にすっ飛ぶ。
が即座に敵の背後に周り銃を構えていた。
「リターン!喰らえ〜!!」
「はっ、初見の技はもう少し確実性を持って使用するべきです」
先輩の発射した弾は敵の光る盾で消滅。私も横から撃つが同じく防がれた。私たちが銃をリロードしている間に、敵は盾を解除し姿勢を正して語り出す。
「まだ出してないものがあるのなら今のうちに使用を推奨します」
「パナピーポー!!この人強すぎー!だからもう二段くらいバイブス上げMAX!!」
「了解しました、相手をします」
刹那、青と金の光が衝突。
光が爆発し辺り一体の情報が消滅する。
「もう少し軽く殴って欲しいんだけどー!!」
「一撃で勝負を終わらせるほどの気概がなければ、死にますよ?」
「っんん!なら私も遠慮しないよ!」
近接戦最強の右ストレートを繰り出す先輩。
それを接近して内に入ることで攻守を同時に行おうと距離を詰める敵の女。
するとレイサ先輩の右足下に黒い穴が空き姿勢が大きく傾く。
敵は腕による防御が間に合わず、左太ももにストレートが炸裂。
だがその無理な姿勢で動けないレイサ先輩のお腹にトーキックが刺さる。
「保管庫を利用してくるとは予想外、あの姿勢にも関わらずダメージも出せています」
「…はぁはぁ、あんがっちょん敵さん♪」
倒れたまま起き上がれないレイサ先輩、骨か内臓がやられたようだ。
このままだと負ける、先輩と入れ替わり私が前に出る。
「『銃人十色』全武装起動、支配領域正常、顕現!」
「おや、いい才能に恵まれていますね。どのような魔法なのか見せてください」
「見る前に気絶させる、調子に乗るなよ」
「私は窓側に行きましょう、貫通して他の人に当たってしまうかもしれませんから」
「なら片腕くらいは残してやるよ」
所持している5艇の武器を空中に停止、発射。
一発一発を確実に当てる。無駄撃ちなんてしない。
マガジンから薬室に入る弾を一発ずつ、一発ずつだ。
「慎重さは重要ですが、臆病になることとは別です」
目の前から壁が迫ってくる。認識できたのはそれだけだった。
「お願いじまずー!せめてどちらがおぎでぐだざいよー!!」
…すやぁ、起きてって言われた後も5分は寝れる。
昔にいすゞがそう言ってたのを覚えてる。時間通りに起きてってトコちゃんに言われたけど。だからあと5分待って〜
(朝ごはん出来てますよ〜先輩)
「やったー!!」
「先輩!?生きていらしたんですね!!」
「私は死なないよ☆ まだ孫の顔を見てないんだから」
「速くないですか!?まず息子娘の顔を見てあげてくださいよ!」
涙と鼻水で顔を濡らしたわふちゃん、応急処置を施されているけど意識を失くしてるカイリちゃん。迫る危機はなく、やるべきことは状況の把握。
(状況はどんな感じ?)
(先輩が気絶してから4分です。カイリちゃんの怪我は命に別状はありませんけど時間を要します。ですが人手が足らないので申し訳ないんですが)
(ここからは二人だね、了解)
床に落ちてる私の銃を回収、見た感じ多分壊れてない。
骨も折れてない、お腹は痛いけど我慢すれば動ける。
私は次の動きを通信でメノンちゃんに確認する。
(次はどこ行けばいい?)
(三棟屋上です、敵は2名で片方が固有魔法を持っています)
(なんか詳しいね、どうやって調べたの?)
(先輩たちが気絶した後、なぜか分からないんですが情報と通信を提供してもらえました。あの金髪のワールズアコードの方に)
ほうほう、悪い人じゃないとは思ってたけど本当に悪い人じゃなかった。
なんか分かんないけど、あの女の人には妙に安心感が湧く。
敵対しているからといって悪という訳でもなく、味方だから善という訳でもない。トコちゃんが言っていたことの意味が今なら少し分かる。
でもね、友達を傷付けるならそれは私にとっての悪なんだよ。
私は私に注目してくれる人が好き。自己中だけどそれが本音。
意外って言われるけど私は結構嫉妬深い性格だし。
ワールズアコードの人よりも私を見て欲しい!それが私の戦う理由!
「よし!いざ参るぞわふ座衛門、ついて参れ!」
「私役に立ってますかね?ハナハナを連れて行った方がいいと思いますけど…」
「ハナハナは音信不通だからさ♪」
「それ絶対やられてるじゃないですかー!!」
まぁハナちゃんはあれで図太くしぶといから多分だいじょぶ。
びっくりポンといい感じのタイミングで出てきて活躍してくれるでしょ。
ふふふ、ここで伏線を張ることでそうせざるを得なくする。
「うりうり、泣いてないで戦うよ、わふ二等兵」
「武士から兵士に…分かりましたやりますよ!」
「その粋だよわふ大臣」
「軍部による政治の台頭が!?」
いいねぇ、突けば槍の子は大好きだよ!
愛おしさのあまりわふちゃんを前に抱えて走り出す。
ほうほう、ご飯はしっかり食べているみたいだ。思ったよりずっしりきた!
!!! 私には見える、見えるぞぉ〜!
わふちゃんに餌付けするハナハナの姿が見えるぞ。
ハナハナは動物の口に食べ物を入れるのがフェチだから絶対やってる!
この前も校門前で鳩に餌あげたせいで大量の鳩が集まって大惨事になってたし!
それはそれとして屋上の扉に到着、わふちゃんを解放する。
「わふ囚人、着きましたよ」
「クーデターが失敗しました!?」
「銃はそれでいい?使いたいならRocketRancher使っていいよ♪」
「使ったら自爆しますよ多分!」
宇連わふ 16歳
装備:Rocket Rancher!
戦車書きたいな☆




