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クールなキャット

*フィールカに猫耳は付いてません!

*猫耳は旦那に付いてます!(はよ出て来い社畜)

学年の垣根を越え互いに影響を与え合う事を目的としたこの交流祭。

その裏で世界を覆す計画が進行しているのを何人の人間が気づいているのか。

エマの名誉を取り戻す戦いは諦めた方がいい、後悔する前に。

私たちに護れるのは真に必要な物だけ。余分な部分を切り捨てなければ腐り巻き込み腐敗し共に堕落するだけ。故に彼女の決断を見届けましょう。

そしてもし、道を違えてしまうなら。


この星ごと腐る前に、私がエマを排除する。


___________________________


2017年5月23日(火)


「アルマ学院一年生交流祭一日目、開始でございます!」


スピーカーから流れる浮かれた開始宣言、それを聞き浮かれる周りの生徒。

しかし私たちは浮かれる訳にはいかない。

どこにワールズアコードが潜んでいるか分からない、最大級の警戒を張る。


「このたこ焼きのタコデッカッ!これで300円はレベチ!」

「トコちゃん一個一個!あ〜ん」

「ほい!」

「っっっ!!!熱ちゃいっっっ!!!」


あっ、やっぱり熱いですよね。出来立てのたこ焼きなんて鉄板舐めてるのと同じなのにトコナ先輩は美味しそうに食べてビビったけど案の定。

じゃなくて警戒警戒、敵はどこにいるか分からないんだから。


「レイサ先輩こちらの甘酒どうぞ、あと回復魔法かけますね」

「ぺろぺろ、美味しい」

「先輩!?不純ですよ!メノンも満更そうでもない顔するなー!」


メノンちゃん指先を舐めるレイサ先輩、めっちゃ笑顔のメノンちゃん、規制に厳しいカイリ、猫なのに猫舌じゃない謎生物トコナ先輩。どうやら私たちの先輩は変人度が高いらしい。

レイサ先輩が甘酒で酔い始めたら本気で笑う。

じゃなくて和やかムーブすぎる!朝のミーティングでの殺伐とした空気はどこに。

困惑していると体につけたスイミが話しかけてくる。


「モエモエーあっちのほうじ茶ロールケーキ食べたーい」

「...ねぇスイミ、私たちって敵の手中にあるからヤバいんじゃなかったの?」

「そうだよー」

「そうなの!?じゃあなんでみんな普通に交流祭を楽しんでるの?」

「祭りは楽しむものだよモエ」


それはそうだけどそうじゃない、悶々と腑に落ちない。

けど5対1で私が間違って気がしてきた。

とりまお財布を取り出してお会計、ほうじ茶ロールを二つ買った。


「まぁ間違ってはないよ」

「安定の思考盗聴」

「思考推量だよ。それで何故みんなが余裕あるのかだね」


買ったほうじ茶を切り分けてスイミの口に運ぶ。

最近はほうじ茶が流行っているのかそれ系のスイーツが多い。


「うまうま、なんでなの〜?」

「それぞれが自分なりの方法で偵察、そしていつ遭遇しても撃退出来るという経験から来る絶対的な自信がある。雑魚なモエには馴染みが無いと思うけど」

「最後の一言要らないよね、泣いちゃうぞ!」


正解だけど言わなくていいじゃんと私は思った。


「それにまだ護衛対象が到着していない。互いに今は待ちの時間、順番待ちだ」

「ならキューブとアルの所行ってもいいの?」

「あぁ、纏まっている方が私も守りやすい」

「今回はスイミもサボらないで戦うんだね!」

「防衛のみだがね、それに二日目には私も出店するから参加出来ない」


はぁ出店......はつみみ〜!?


「いい子さん風だったね」

「それよりなんで出店しちゃったの!?エマがやばいんだよ、スイミ強いんだから戦ってよ!白神でしょ!」

「私は東雲だ。それにモエは深く考えすぎさ」

「考えてるだけ偉い!」

「エマは私たちにこの祭を楽しんで欲しいと思っているはずさ。自分のせいで折角のお祭りが詰まらないなんて、一番気に病むだろうね」


スイミの言う通りだった、エマは罪悪感や自己嫌悪を強く感じやすい子だ。

そんなあの子にお前のせいで祭りが台無しなんて状況になったら...


「先輩、私とスイミは別の所見てきまーす!楽しんで!」

「アドュー、ばーい」

「いってらっしゃい二人とも〜」


このお祭りを遊び尽くすしかないよね!


_________________________


「この場所から学長室に入れます。本来は学園の自治のため警察の方に教えるのは非常に不味いんですけど」

「協力感謝する。安全確保のために私の後ろに隠れていてください」


私の愛銃をホルスターから取り出して発射準備をしておく。

『末路』触れた物の一時間後の姿を見る魔法。

銃は壊れていない、これで生存か即死かは分かった。


「そうだ、先に呼び名を決めておこう」

「コードネームですね」

「まぁそれでいいが。あなたの名前は間間(あいま)モノウ、モモ太郎は?」

「えっダサ...いやイイですね!」

「なら私は団長とでも、では突入します」


階段を降り到着。

学園長っていう人間は大体年寄り、長い廊下やギミックなんて無い。

あるのは手すりにくっ付いた電動イスくらいだ。


「私が右を見る、扉も私だ」

「第二騎士団の団長と作戦が出来るなんて光栄です」

「黙って仕事しろ。軍学校卒業者として相応しい仕事をな」

「特殊部隊の訓練は受けてないんですけどね」


間間メノウ、こいつは保険だ。動きは荒いがガッツがある。

民間人を巻き込んで捜査なんてバレたら偉い奴に怒られるが私が一番偉いから問題なし。それにエマの味方をしてくれる、目を付けておこう。


「壁側の足を前に出して軸にしろ、そうすれば撃ち返された時の回避が速くなる」

「了解です」


扉に『末路』銃痕が無いから扉裏にいるという事は無い。

モモ太郎の目を見て頷く。


「Go!」


ノブを下げ足で蹴り開ける。

コーナークリア!背中を合わせて室内に侵入、ハードコーナークリア!


「壁に背を合わせながら室内を調べろ!」

「了解!」


クローゼット、机の下、でかい置物の後ろ、どこにもいない。


「そっちはどうだ!」

「何もありません!」


なら隠し部屋がある。どうせこういう所は隠し部屋あんだろ。

異様に物が少ない場所、埃が積もっていない場所、謎の線がある場所。


「こっち来いモモ太郎」

「了解!」


この本にだけ強い魔力の残滓が残っている。

強いという事新しいという事、この奥に誰かいる。

本棚から本を取ると奥に窪みが見える。

窪みに手を突っ込んでボタンを発見、押す。


「カーペットの下で何かが動きました!」

「剥がせ!」


丸い高そうなカーペットを退かすと、床に円形の穴を発見した。

ライトで照らしてみても底は深くないようだ。


「扉見とけ!」

「了解」


穴にフラッシュバンを投下、私も耳を塞いで侵入。

周囲を警戒、地下は音が響くが音も聞こえない。

警戒をそのままに銃をホルスターにしまう。


「帰りますよ学園長、遅くなって申し訳ございません」


死後一時間以内、救えたはずの命だった。

だが式典で稀に顔を合わせた程度の知り合い、悔しいが悲しくはない。

これからの犠牲を出さないために利用させてもらう。


死体を起こし状態を確認する。

まだ温かい、そして抵抗したような痕跡も外傷も無い。

おそらく即死、原因は不明だが。

それよりも気になる事がある。この地下室、地下通路と言うべきか。


「この地下通路は果たしてどこに繋がっているんだ...?」

「天国じゃないかな!あの世があるかは知らないけどね!」


腹筋で刀を引き留める...無理に決まってんだろくそっ。

なんとか立て直すための時間が欲しい、秘密兵器を使わせてもらう。


「cover!!」

「応援を聞き参上致す。CAT部隊隊員笠谷ユウジ、参らん」

凄い大事な日なのに寝坊した人リスト

・泡沫レイサ

・東雲スイミ

・宇連わふ

・沙根金ミツル

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