溺れて沈む、そんな夢
ドン底の泥沼にハマってたのともう片方を書くのが楽しくて
大丈夫構成は練ってきた、あとは出力と過去作の見直しだけです。
「りょっちょん、エマ君の機能回復と戦闘訓練任セロリ!二日後に現地まで送り届けるサービスもつけてあげちゃうよ〜ん!」
「ありがとうございますミツルさん。やっぱり真面目なミツルさんは頼りになりますね」
「ははは!着払いで送りつけるね〜」
ミツルさんへの依頼完了、これでエマの問題も解決した。
えぇと後は当日の対応について共有しとこう。
「それで話は変わって当日についてなんですけど」
「うんうん、全員私がぶっ飛ばす!」
「のを敵は警戒して対策してきます。別地点で騒動を起こしたり、ミツルさんしか対応出来ない敵を送り込んできたり。なので当日ミツルさんは考慮せず作戦を組みました」
「えぇ〜私もエマ君の劇観たいんだけど」
「やることやってから来てくださいね」
「じゃあフィールカに録画頼む...やっぱやだー!生で見たいよ〜!」
そしてこっちが真面目じゃないミツルさん。バブ味が増して面倒くさい。
見よ世界、これが26歳、これが人類最強、ヴァストスの守護者。
でも別に嫌いという訳ではない。もし来れなかったら視界を『共有』するつもりだ。そして伝える事は伝えたので電話を切る、寸前一つの可能性が頭を過った。
イレギュラーになりうる存在がいるのを。
「あのもう一つ話しがあります、トコナ先輩のことです」
「あーね、まぁエマ君は無事だしレイサ君もいるし大丈夫じゃない?」
「...私達に先輩の心の傷は癒せないんでしょうか...?」
「まぁトコ君も頑固だからねぇ、難しいと思うよ。けどさ」
「けど?」
「エマ君には期待してる、かな」
その言葉の根拠を聞くのは野暮というものか。
過去に囚われた私達に必要なのは変化、それが紅玉の亡骸で出会い謎の組織に追われる少女なんて設定。そんなの大好物に決まってる、これからなにが起こるのか期待に胸を踊らさずにはいられない。
そしてこれはそのための一戦、エマを守る。私の輝ける理想郷のために。
「この戦いは負ける訳にはいきません」
「君らなら心配要らないね、頑張って!」
「ありがとうございます!ではエマをよろしくお願いします」
バツボタンを押し電話を切りスマホを保管庫に入れる。
さて念には念を、ポッケから液体の入った瓶を掴む。
シェイクシェイク!瓶の中を覗き込む。
「君にも協力してもらうからね。裏切ったら海の底に沈めるから」
「はいはいはい!なんでも手伝うのでそれだけは勘弁してください!」
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「レイサ先輩、茶柱はトッピングじゃないんですよ!?そんな後から乗っけてダメですよ!」
「でも映えるよ?」
「でもじゃないですよ!茶道で映えを気にしないでください!」
泡沫レイサ2年生 172cm
わふちゃん1年生 150cmほど
凄い光景だね〜この身長差が笑いを誘ってくる。
中々面白い絵だから写真撮りたい、けど茶道室にいるからスマホに手を伸ばしづらい。
まぁこれも一期一会と言うことで割り切ろう。
そういう事で私は目の前に座るユニちゃんに声を掛ける。
「いやーうちのレイサがごめんね〜、唐突に押しかけた上騒がしくってさ〜」
「気にしなくていいですよ、今日は活動日ではなくわふと話していただけですし。それに何はともあれ、楽しんで頂くのが一番です」
「んんん!!!不束者だけどレイサを頼むよユニちゃん!」
「何が起きたらそんな考えになるんですか!?」
流石のハナちゃんの後輩、鋭いツッコミと聖母の如き包容力。
いい子過ぎて浄化されそうになった。歳とると涙脆くって仕方ない。
しかし最近エマやらに浄化され過ぎたせいか頭がぽわぽわしてきた。
でもこのままだと失言しかねない、太ももを抓ってぽわぽわを飛ばす。
「一応形だけでも主題を決めておきますか」
「そこまでしなくていいよ〜」
主題: 茶会を彩る重要な要素、要するに話題だ。
主催者たる亭主はこの主題に沿った部屋の飾り付けや菓子を用意する。
「いえいえおもてなしです。手を抜いたらハナエ先輩に面目立ちません」
「ハナちゃんは慕われてるね〜レイサ」
「どったの〜?」
「なんでもないよ〜」
なんと一ヶ月部活をサボっていたレイサは茶道Club一年生ズと初対面。
知らない先輩が知らない友達連れてきて、頼りになる先輩もいない。
客観的に見て、凄く迷惑だと思う。私はそう思う。
それなのに嫌な顔一つせず丁寧に相手してくれるユニちゃん...好き。
「今回の主題は『父が飲み会の日の夕飯』です」
「余り物だけってことかな?」
「正解です。こちら一昨日の茶会で使ったチマキです」
するとユニちゃんが背後から白いお皿を取り出した。
白いお皿に載せられているのは乾燥した草に巻かれた何か。
えっとなんだこれ?ユニちゃんは何とか巻きって言ってたっけ。
私は菓子切でヘッドをカットし、指先から火を出す。
「せ、先輩?どこかお気に召されませんでしたか?」
「ん?吸い方にこだわりあるタイプ?」
「吸う...?それお菓子ですよ?」
「え、cigarじゃないの?」
「sugarですよ!!その葉っぱを解いてみてください!」
そう言われた私は指先の火を消して葉っぱを解いて中を見る。
すると中からお餅のような物が姿を覗かせる。
「葉巻じゃない...?」
「チマキですよ先輩?冗談ですよね?」
猫又トコナ2年生 テスト順位下位20%
ユニちゃん1年生 テスト順位学年2位
は、恥ずかしぬ。レイサをバカに出来る立場にないぞ猫又トコナ!
「ま、まぁ気を取り直してお茶にしましょう」
「ユニちゃんー!私がトコナ先輩にお茶出していいですか!」
「え、それは...」
「どうぞどうぞトコちゃん!こうグビっと!」
そうだ気分を落ち着かせるために一服...お茶をだからね!?
私はレイサから渡された茶碗をグビっといく。
まず苦みと渋みがダイレクトに味蕾を口撃、次に喉に閊えるような呑み心地。そして粉が口に残る後味。こんなお茶は飲んだことがない、新鮮な体験だ。
正直言ってま...まだ一年生、伸び代があるって事だ。
「んんっ!!んん!また飲みたくなる味だね〜」
「やったー!それならお代わり作りますよ!」
「あっと、え〜と」
言い訳言い訳何かないか。
部活入ってない、宿題はやらない、エマに会えない。
coverレイサー!レイサに視線をやると頷いてくれた。
「ごめんねわふわふ!私達寄らなきゃいけない場所があるから今日はもう帰るね」
「あっごめんなさい、なら次来た時ですねトコナ先輩!」
恋
「っ!うん、毎日来るよ!」
「毎日はダメです!」
失恋
自分は結構チョロいと知っていたけどここまでとは。
レイサやエマやわふやいすゞみたいな純粋な子に私は弱い。
だって可愛いんだもん!好きになっても仕方ないでしょこんなの!
そうだ私が特別チョロい訳じゃない、誰だって好きになるでしょ!
「ほら変なこと考えてないで行くよトコちゃん!」
「べ、別に何も考えてないよ!」
「また来てくださいねトコナ先輩、歓迎します」
「さよならです先輩!そしてレイサ先輩は部活の時に来てくださいね!先輩が寂しがってましたよ」
「うぐっ、今度お礼するからー!」
そして私達は二人に別れを言いを後にする。
レイサと雑に話しながら玄関に行き学校を出る。
...気持ちはちゃんと言葉にしないと、後悔する。
「今日はありがと、レイサ」
「ありゃ、バレちゃってた?」
「結構メンタルヤバかったから、みんなと話せてよかった」
「よかったよかった!レイサ監督の名采配だね♪」
エマの姿を見たら、あの人を思い出さずにはいられなかった。
体を焼かれる痛みは私が一番よく知っている。
そうやって殺して、自分の姉すら殺した私はよく知っている。
そして今度は妹すらそうなってしまった。弱い私は一人じゃ何も守れない。
「ごめんレイサ、頼りにする」
「友達にお願いする時はごめんなんて言わないんだよ♪親友なら尚更。頼んだ、それだけ」
「...頼んだレイサ、親友」
「任せて、何があっても私は最後までトコちゃんの隣にいるから」
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今日は土曜日なので部長も居らず、二人の先輩が帰れば室内には私とユニちゃんだけになる。
「いい先輩方でしたね。レイサさんは正に太陽、とても明るくて私も元気が貰えました!」
「ハナエ先輩が偶に可笑しくなるのはあの人が理由だったんですね」
確かに!ハナハナは賢くて真面目で馬鹿です!
(今日のお菓子はC-4爆薬です!なんでも甘くて気分が良くなるとか)
その後は言うまでもない。
「レイサ先輩は今後部活に来る頻度を増やしてくれるらしいです!益々楽しくなりそう!」
「はいはい、それはよかった」
「そしてトコナ先輩は猫ちゃんです!二人の友情は見ていて沸るものがありますね」
「ですねー」
あれ反応がよろしくない、どうしたんでしょうか?
ユニちゃんの手前に回り込んで顔を覗く...え?
「どうしたのユニちゃん?チマキが良くなかった?」
さっきまで笑顔だったのにそれが嘘みたいに真顔。
ちまきによる食中毒、一昨日だからセーフだと思ったけど万が一が起きた可能性もある。
「落ち着いてくださいわふさん、それより
私は室内の雰囲気が変わったのが分かった。
「少し付き合って頂けませんか、わふさん」
断わる事は出来なかった。
『あの人』
ガクトくんが病院送りにしたエマを治療中。
欠損治せるスーパー貴重な人材。
けどエマの下位互換...かなぁ
「なんか致命傷喰らって1日で回復してるぞこの子、怖っ」
「お久さからの手際の良い誘拐!この子借りるからば〜い!」
「6秒か...俺は何も見ていない」




