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キュートなキャット、猫又トコナだにゃん!

休日の睡眠時間は、長ければ長いほどいいというわけでもないと、私は思うわけなんだよね。十時に起きれば朝ごはんかお昼ご飯かよくわからないものを食べて、あれやそれやと、休日の節目である一時になって貴重な休日の前半戦を浪費したように感じる。かといって五時六時と早過ぎても、その日をずっと寝ぼけなまこで過ごす羽目になる。睡眠はとても奥が深いのだ。


 ではでは、ここまで語ったからには答えを授けましょう。


 最高のコンディション、シチュエーションで貴重な一日を過ごせる最高の起床時間を。満を持して、ベッドで坐して授けましょう、その名は八時二十分である。

 エッホッホーホッホー、八時二十分を知らせるアラームが鳴る。

 落ち着いたフクロウの鳴き声、健全な肉体は気持ちのいい睡眠から作られる。


 少し目を開け、足を伸ばして猫柄のカーテンを開ける、眩い光が室内を満たす。


 今日は三月十八日、雲が四割、天気は晴れ、心地の良い暖かさだ。

 公園で雲を眺めながら春風を感じる、ていうのもいいかもしれないけど今日は予定がある。しっかり準備しよう。...と思ったけど現在私は春休みガール、怠けた体はいうことを聞かないのだ〜

 うん、あと5分、ちょっと急いだら間に合うはず、獣人は野生が強いから本能には抗えないにゃ〜きっと、ベイビー、しょうがないね。

 zzz...

「いつまで寝てんだ、このだらけ猫!!!」


 オフトュンが吹っ飛ぶ。そしてお腹が圧迫される、また担がれちゃった。いつまでもこの予期せぬ浮遊感と我が半身であるお布団様との外交を断ち切られるのは慣れない、鳥が空を飛ぶのに翼が必要なのと同じように人が睡眠するのに布団が必要なのだ。


 そんなことを考えているとリビングの椅子に座らされる。

 卵と味海苔・炊き立てご飯・ジャガイモだけの味噌汁・沢庵・牛乳。

 ああ〜美しく温かい、エデンはここにあり!


「ほら、早く食べな、今日はメノンちゃんの合格祝いに遊びに行くんだろ。こんな日に時間ギリギリまで寝るな」


 悪態をつきながらこんな豪華な食事を作ってくれたのは私のお母さん。

 猫又フィールカ、長い赤髪と赤い瞳を持つ三白眼、凄むとヤクザみたいに顔が怖くなるけど、こう見えて世話焼きで面倒見がいいんだよ。料理も上手で、こうやって毎日起こしに来てくれる自慢のお母さんだ。


 そしてそんなお母さんの娘である私こと猫又トコナ

 つやや〜んな赤い髪はお母さん譲り、目はお父さん譲りの輝く金眼。

 そして、なんと言っても私のチャームポイントはこの猫耳。

 この国には犬と猫の特性を持つ獣人が住んでいてお父さんは猫の亜人。

 私もその立派な猫耳を受け継いだ。


「まぁまぁ、陽気な春の空気に当てらたらまったりしちゃうのも仕方がないよ〜」

「そんなこと言ってないでテンションアゲていこうよトコちゃん⭐︎ほら、スマイルスマイル!」

「にへ〜⭐︎」


 突如、後ろから現れたのは子供の頃からの親友、泡沫レイサ。

 浅葱色のロングヘアーでアクセサリーをたくさんつけてる。左が浅葱色で右が黄色のオッドアイ。

 いつもニコニコしていて、よく分からない言葉づかいをする、子供ぽくてせっかちなんだけど、すごく気が合うんだ。


「きっとメノンちゃんはすごいオシャレしてくると思うけどな〜」

「分かった分かった、ちゃんとオシャレするから」


 と言いつつしっかり噛む、ちゃんと咀嚼して顎の筋肉を使うことで消化も良くなるし脳も良く回る、爽やかな1日はこう言うちょっとした事で始まる。

 最後に牛乳を飲み干し、お母さんにごちそうさまを言って自分の部屋に戻る。さてと、なに着て行こうかな〜、制服は流石に違うし。

 オシャレか...アルスターコートは派手すぎるし...

 まっ、お気にの猫耳黒パーカーで誤魔化そ。困ったら黒かクリーム!


――――――――――――――――――――――――――――――――


「私が言っても全然準備を始めなかったのにな」

「トコちゃんはルカさんに甘えてるだけだよ、トコちゃんは甘えたがり屋さんだからね!」


 トコちゃんは甘えん坊でめちゃんこラブい。嬉しくなっちゃうとピコピコしちゃう耳も、温かくて和やかな雰囲気も、戦闘中は鋭くなる目つきも、たまに卑屈になっちゃうとこも。そして友達思いの優しい子、私の全部を認めてくれた親友。


「レイサ〜準備できたよ〜」


 黒い猫耳パーカーに、アイボリーのショートパンツ、さすがトコちゃん、自分の可愛さをよくご存知だ。

 ルカさんに一言入れて玄関に向かうトコちゃんについて行こうとすると声をかけられた。


「レイサあいつを頼む...あんなんだが私の大事な娘なんだよ」

「もっちろ〜ん⭐︎なにを言われてもお墓までついていってやるし!」

「何しれっとトコナと結婚してんだ!そこまで言っとらんわ!」

「あはは!それじゃ行ってくるね♪」


 私はフィールカさんから海苔を一枚奪ってトコちゃんの後を追った。

「トコちゃんってさ、どっちが本物の耳なの?」

「どっちも本物...イタタ!引っ張らないで!」

「猫耳は取り外せるとか、耳の穴に耳を入れられるとかないの?」

「ないよ!!!」


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