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呪いの腕  作者:
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プロローグ

 つぶらな瞳と優しい笑顔が印象的な少年、福田春人は今日も笑っていた。

 しかし、その奥には誰にも打ち明けられない秘密が隠されていた。大好物は餃子と寿司。動物には惜しみない愛情を注ぐ一方で、春人には人ならざるものが見えてしまうのだ。


 最初はただの気のせいだと思っていた。しかし、同じように霊を見ることができた祖父、福田太郎の存在が、春人の力を疑いようのない事実へと変えた。


 ある日、春人は帰り道で古びた一軒家を見つけた。その家には、一週間後に葬儀が行われることを示す忌中札が寂しげに風に揺れていた。その家を通り過ぎるたびに、春人は背筋を凍りつかせるような寒気を感じ、黒い影を見るようになった。黒い影はまるで意志を持つかのように、春人に強い興味を示しているようで、春人もその異様な存在に言いようのない恐怖を感じていた。


 ある日、春人は突然気分が悪くなり、吐いてしまった。心配した祖父に黒い影を見たことを打ち明けると、祖父は顔色を変え、「それはただの悪霊ではない。決して近づいてはならない。さもなくば、命の危険がある」と警告した。


 梅雨の時期、激しい雷雨の中、春人の傘が不気味な家に飛ばされてしまった。傘を取りに戻ると、黒い影が春人に話しかけてきた。「次は君か」という冷酷な言葉に、春人は全身が震え上がるほどの恐怖を感じた。その時、祖父が駆けつけ、不思議な言葉を唱えると、黒い影は跡形もなく消え去った。


 しかし、春人の右腕には不気味な青紫色の痣が浮かび上がっていた。祖父は、春人に「これは呪いだ。一年以内に、あの黒い影を倒さなければ、春人は死んでしまう」と告げた。そして、霊力を得るために寺に行くように言い、「必ず、生きて帰ってこい」という力強い言葉と、数枚のメモを残して息を引き取った。


 祖父は黒い影の呪いを受けて死んでしまった。葬儀は家族葬で行われた。

 春人の両親は行方不明。生きてるのかも死んでいるのかもわからない。

 春人は大声で泣いていた。心配した祖母、福田ゆりは春人に涙ながらに声をかけた。


 春人は、祖父の言葉と、残されたメモを胸に、黒い影を倒すため、そして生き残るため、一人で寺へと向かうのであった。

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