表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

シーガラスと海星は見つかった

 漁村の海辺にはいろいろな物が流れつく。ただのゴミや珍しくないものが多いけれど、ときどき宝物が混じっている。私は子供の頃、幼馴染と海辺を探索するのが大好きであった。……そう、小さな頃は探索が日課だった。


「見て! 見て! でっかいヒトデ!」

 幼馴染のリンが、星形のヒトデを嬉しそうにつまんでいる。

 リンのほうへ振りかえるときに、わたしは色あせた花火を踏んだ。

「これ手裏剣にするの好きだったわ~」

 私のほうに向かって投げる素振りをする。嫌そうな私を見て満足したようで、別方向にヒトデを投げる。リンは都会に出て派手な格好をするようになったのに、やんちゃな所は変わっていないようだ。

 私はずっと実家にいるが、大人になってヒトデが苦手になった。匂いや吸盤が生理的に受けつけない。それに、食べられないし。


「ヒトデなんて珍しくないのに。気分あがるの?」

「結構あがる。50点」

 リンはさっきから、漂流物に点数をつけている。リン的に気分があがるものには高得点が叩き出される。青いシーガラスは100点。

「うそ。巻貝には40点って言ったよね」

「ヒトデのほうが上。海の星だもん!」


 高い山、深い緑の海、潮風。

「あーあ。ボトルメールとか見つからないかなー」

「昔、一緒に投げたよね」

「潮の流れで戻ってきたよね……」

「投げなおしたやつは、返事なし」

 潮風。古い瓦の日本家屋。

「中身入りは無理でも、いいガラス瓶は見つかったよ?」

「でかした。200点!」

 足場の悪い海岸で、楽しそうに笑う幼馴染。

 この日もボトルメールなんて見つからなかったけれど、ぜんぜん悪くない。

 リンには内緒だけれど、私はとてもいい気分だった。


「お、ナマコ」

「嘘? 私、モリ取ってくる!」

「ナマコ好きだよね……ヒトデ、苦手なくせに」

(終)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ