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異世界転生した男、ほのぼの人生計画に夢を見る  作者: 黒月一
【第一章】家庭勉強編
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【第一話】最初で最後であろう転生

いいね、評価をくだされば幸いです。


 俺は、社会に適応することができなかった。

 別に犯罪を犯したわけじゃない、人生で何か大きな失敗をしたわけでもないし、ニートになったわけでもない。


 何かをしたのではなく、何もしなかったという方が正しいのだろう。


 適当な高校に進学し、適当な大学にも進学。そして適当な企業に就職…………これが駄目だった。

 勤務時間最悪、年間休日数最悪、給料最悪、人間関係最悪、何もかもが最悪な職場だ。

 ホワイト企業のホの字もなく、逆にブラック企業の頭文字に超が付きそうな職場に、俺はいた。


 

 俺は今日、一〇年に一回あるかどうかの無残業での帰宅で気分が舞い上がっていた。それはもう帰りの交差点で、逆立ち状態のタップダンスをしそうなぐらい、舞い上がりに舞い上がっていた。


 るんるん気分で俺は青になった信号を見て、一歩足を前に出すが、そのとき俺はある違和感に気づいた。

 見たことのない形のトラックが、こちら目掛けて突進してきている。

 車体の上には天使の輪っかのようなものが浮いており、荷台には大きな翼が生えている。ペガサスなんかが生やしているような神々しい翼だ。


 速い。スキップで移動していたせいで、すでに車道のど真ん中にいる俺が避けきれるスピードじゃなかった。


 俺はこちらへ突っ込んでくるそのトラックに目を奪われ、ついには命までもが奪われてしまった。


 

 次に俺が目を覚ましたのは、病院の清潔なベッドの上でもなく、自宅の小汚い布団の上でもなかった。


 真っ白な世界にいた。

 それはもう雪のように白く、太平洋のど真ん中のように広い世界。

 もっとも、太平洋のど真ん中なんて行ったこと無いが……。


 俺は地べたに寝転がっていた身体を起こし、辺りをよく見渡す。


 本当に何もない。

 びっくりするほどに何もなかった。

 ここが死後の世界? それなら相当質の悪い死後の世界だな。これからこの何もない世界で永遠を過ごすくらいなら、いっそ地獄に行ったほうがマシな気もする。


「──お兄ーさん! 元気ですかー?」


 俺の背後から突如として女性の声がした。いや、女性と言えど大人の女性の声ではない、小学校低学年の女の子くらいの声だ。

 俺は驚いて後ろを振り返る。


 すると、先程まで何も無かった所に、長めの事務用デスクとイスが置いてあり、そこに小学生くらいの女の子がちょこんと座っていた。


「どうですー? お体に痛みはありませんかー? 死神科の奴らは手荒ですからねー」


 俺が目の前の状況を理解しようとしている間に、この幼女が何かを言っている。

 死神科とは? そもそもこの幼女は? 一体どこから湧いた?

 そんな思考が次々に湧いてくる。


 幼女は金髪のおかっぱ頭で目の色が青く、外国人の風貌をしているが、その頭の上には天使の輪っか……光輪と言ったか? が浮いており、背中には翼が生えている。

 決して某エナジーなドリンクのキャッチコピーではなく、本当に幼女の背中に翼が生えているのだ。


「あ、あぁ、大丈夫です……?」


 トラックに轢かれて大丈夫とは言えないかも知れないが、一応そう言っておく。


「そうですか! それは良かった!」


 幼女はそう言うと、ニマニマした表情で喜んだ。

 一応俺の体は労ってくれているようだ。トラックに撥ねられる前は誰も心配してくれた試しが無かったので、なんとなく嬉しい。


 ……じゃなくて!! ここはまずどこかを聞かなければだ!


「あの、ここはどこ……ですか?」


 俺は最後に敬語を付け忘れていたのを慌てて直し、幼女にそう聞いた。

 部下相手にでも敬語を使わないと怒号がとんでくるからなあ、うちの会社。


「そうですねえ、あなた達の世界で言うならば……煉獄が一番近いのですかねえ」


 幼女は手元に持っていた羽ペンを唇に当てながら、表現が難しい、といったような顔をしてそう言った。

 煉獄……確か地獄と天国の間にある世界だったか?


「てことは、俺はここで罪を清められたり……?」

 

 俺が恐る恐るそう聞くと、幼女は慌てた様子で左手を横に振って、


「いえいえ!! 流石にしませんよ! 近いと言っても天国と地獄の合間にあるといったところぐらいですから!」


 と、幼女はそう訂正した。

 ひとまず、恐ろしい罰があるといったようなことはないようだ。

 というか今、地獄があるみたいな言い方してなかった?


「じゃあ俺は今から地獄か天国に……?」


 天国であってくれ天国であってくれ天国であってくれ!!

 俺は頭の中で頭を地面に擦り付ける勢いでそう願った。


「いえ、あなたはそのどちらでもなく、異世界……そうですね、中世ヨーロッパ辺りの時代観の世界に、記憶そのままに転生してもらいます」


 俺はその言葉を聞いて、何回も目をパチパチとさせた。

 なにゆえ? 俺を転生させるの?


「あの、なんで転生なんですか? ほら天国とかに行かせたりとかは……?」


 俺はこの幼女の言い間違えを期待してそう言うが、幼女は俺がそう言った瞬間に、何かを憐れむような顔をして言った。

 まるでこれから戦場へおもむく兵士を見送るような、そんな表情だ。

 え、何その顔……怖。 


「えとですねー。神様があなたの人生を見て軽く同情したそうなんで、もう一回だけ新しい人生あげるか! ってな感じでですねー、あなたの転生が決まったそうです」


 神様が行う輪廻転生のノリ軽いなぁ。

 どうにか断ることってできないのかな?

 俺はその事を幼女に話そうとしたが、幼女はそれを見越してか、俺が口を開いた瞬間に幼女は喋りだした。


「これはキャンセルができませんので、あしからず。ただ流石に異世界の言語を一から学べというのは酷なので、最初から会話の自動通訳は付けておきますねー」


 幼女はそう言って、いつの間にか現れた紙に、何かの情報を羽ペンで記述した。

 ていうかキャンセルできないのね……。


「これで正式な手続きがおりました。おめでとうございます。もし何かがあった場合、私達天使科に申し付けくださいー。では!」


 あっ、ちょっと待て!?

 俺がそう言おうとした瞬間に、俺の視界が真っ暗になった。

 申し付けくださいって、どうやるんだよ……。

小説家になろうでは、初めての小説投稿となります黒月一です。

初心者ですので、生暖かい目で見てくださると、嬉しく思います。

また、この作品ではグダグダが予想されますので、「スピーディ感がほしいの!」という方は、別の作者さんの作品を読むことをおすすめします。

では、これからは是非よろしくお願いします。

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