禿頭マサオ、カツラを買う。
カーテンで仕切りのされた店舗の片隅。
気遣わしげな店員の視線を受けながら、正岡マサオが鏡にうつる自分の顔をじっくりと見た。
加齢によりすっかり脂の抜けた頬に、深く刻まれたほうれい線が伸びる口元。子どもの時は少しだけつり目だったはずの目元もすっかり下がってしまっている。眉毛もなんだか前よりも長く、白い。額には知らぬうちにつけられた皺。
その皺を指でなぞり、頭にのせた白髪混じりのカツラをそっと撫でた。
「………けっこう、自然ですね」
「ええ、お似合いですよ」
ほっとしたように微笑む店員も、黒髪のカツラをかぶっている。
「これなら、もう人の目を気にせずにいけます」
「いままで、お辛かったでしょう。わたくしにも……覚えはありますので」
「注目されることが、苦手なので。思い切って、吹っ切れてしまえばいいと思うのですが」
「それはなってみないと分からない苦しみですからね」
「まったくです。知り合いの人は、モテていいと笑ってますが、私はどうにもそんな風になれなくて…」
「ええ、そうなれればいいのでしょうが。わたくしどもは、そう思い切れない方たちのために、この店を始めましたので」
「結構、多いのでしょう?」
「ええ、やはり、そのままというのは、抵抗がある方が多いです」
「日本人はそういう人が多いでしょうね」
店員と客といえど、同じ境遇になった者同士に分かる微笑みを交わし合い、マサオは店を出たのだった。
秋風が身に染みる。
せっかくのカツラ装着初日だ。
少しだけ酒を引っ掛けていこうと、ガード下の行きつけの呑み屋へ向かう。
店に入ったマサオがカツラをつけているのを見て、店主は少しだけ残念そうに笑った。
「まあ、アンタがそれでいいって言うなら、かまわねぇよ」
「ああ、この方が落ち着くんだ」
一杯目の日本酒を啜りながら、マサオはほろ苦く笑った。
思えば四十の坂を越えて、すっかり脂肪が腹についた頃、抜け毛が急に増えた。
現場にいる時間が増えて、ヘルメットをつけて、住民や上司からの叱責にぺこぺこと頭を下げ続けていた数年の間に、雨粒に誰よりも早く気がつける頭になっていた。
そして、五十を越えて、毛根が死滅した。
いや、全てではない。脇の髪は生きている。しかし、ちょんまげを結えるだけの髪だとしても、貧相なものになってしまうような、落武者ヘアだった。
マサオの頭頂部は、つやつやと誰よりも輝いていた。
その輝きがマサオ自身の頭に舞い降りるまで、マサオは幸せだった。
「へいらっしゃーい」
ふ、と顔を上げる。気がつけば三杯目を呑み終えていた。
引っ掛けるだけのつもりが、だいぶ長居をしてしまった。
「勘定、置いとくよ」
「まいど」
ふらつく足で店を出ると、酔っ払いたちがマサオの鼻の先を通り、驚いたマサオは後ろの方へ倒れそうになった。
どん、と、いう衝撃が背中から頭に伝わった。
急にひゅうっ、と、秋風が頭を撫でた。
「………あっ!」
マサオは慌てて頭部に手をあてたが、カツラは無かった。振り返れば、提灯のコードを止める金具に、カツラが引っ掛かっていた。
慌ててマサオは、カツラを金具から外し、頭にのせた。
しかし、それはすでに遅かった。
「……見たかよ、おい」
「ああ、カツラだったのかよ」
マサオはカツラに両手をのせて、目の前の男たちと視線を合わせないようにした。だが、それも頼りない防御だった。
「おい、おっさ…いや。おじさん、頼むからカツラを取ってくれよ」
「い、いや、これはカツラじゃないですよ?」
「何言ってんだよ。こんな飲み屋街で、そんなもの見せられたら」
「違います!違います!」
「いいから見せろよ!!」
若者の酔っ払いは、勢いよくマサオのカツラを奪い取った。
点滅するネオン管の看板が、ちかちかとマサオの頭を照らした。
ーーーもう、だめだ!
マサオはぎゅっと目をつぶった。
「ひゃはははっ!マジかよ!本物だぜ!」
「ひゅー!すべすべっ!すべすべだぜ!」
「ああ、たまんねぇ、この禿頭。すげっ!やべっ!」
「おい!お前ら!初対面の人にそんなっ」
「何をいい子ぶってんだよ。お前だって、この頭に触りたくて仕方ないだろ?」
「……ぐっ、そ、それは」
ひとりだけスーツを着たメガネ男子が恥ずかしそうに目を伏せた。
他の男たちは、マサオの頭を蹂躙した。
「はあっはあ!この禿頭、たまんねぇな」
「まさか店に行くよりも上玉に触れるなんてな」
「……や、やめてください!」
涙声でマサオが訴えるが、興奮した男たちの手は止まらない。
つやぴかの頭を頭皮にそって指をはわせて、そのまま揉みしだく。
「いやっ……!」
「これ、気持ちいいだろ?店にいけば、みんな俺の手に触って欲しいってくるんだぜ?」
「な、や、やめっ…」
「この頭皮マッサージで血流促進だぜ」
「次、オレ、オレに触らせろ!」
「やめてっ…!」
マサオは奪い返したカツラを胸元にぎゅっと抱きしめて、ほろほろと涙を流した。
何が悲しくて、こんな息子より若い奴らに禿頭をもみしだかれなければならないのか。
身をよじり、男たちから離れようとするがそれも叶わない。ああ、二十年前ならば、こんな奴らを黙らせるだけの腕力があったものを。
マサオが頭を振りまわして拒絶を示すが、男たちの手は止まらない。頭を振り回しすぎたマサオは、くらりと立ちくらみのようなものに襲われ、うずくまりそうになった。
だが、その体勢の急な変化により、男たちの手から逃れた。その一瞬を逃さず、メガネ男子がマサオの腕を引っ張り、走り出した。
「こっちに逃げましょう!」
「はいっ!」
マサオが流す涙と鼻水を、飲み屋街の明かりがチラチラと照らしていた。
メガネ男子がマサオを匿うべく、連れて行ったのは、ダミ声がキュートなママがいるスナックだった。
「あらぁ?なっちゃんたら、そんないい男連れて〜。すみにおけないわぁ」
「ママ、この人にカツラをかぶせられる場所を貸してあげて」
「ええ?なーんでよ。そんなピカピカの禿頭、隠しちゃうの?もったいない。このままここで働かない?」
「い、いえ、そんな」
「ママ、泣いてる人にそんなこと言わないでやってくれよ」
「え?あら、あらあらあら。襲われたの?やだ!頭が真っ赤に手形がついてるわ!」
「わ、私、もう、こんな目に遭うのは…いやだ!」
わあああっと、マサオは大声で泣き出してしまった。
思えば、太陽光を反射した夏の陽射しの中で、男たちは欲望に満ちた目でマサオの頭を見ていた。女たちは、
「破廉恥な……」
と囁きながらも、マサオの禿頭から目を離していなかった。
仕事の取引先でも、ミスが発覚し、謝りにいけば、
「ここだけの話にしてやるから……」
と、マサオの頭に手を伸ばそうとした。
マサオは何度も何度も頭を下げて詫びるが、そのたびに取引先の男性社員の目には欲望が溜まっていった。
今のマサオの気持ちを分かってくれるのは、Gカップの事務員の美和ちゃんだけだった。
「分かるよ。正岡さんの辛さ。一緒だもん。満員電車に乗るだけで、死にそうになる」
「美和ちゃん…!そうなんだ!吊り革に手を伸ばすふりをして、わ、私の頭を触っていくんだ!」
「わざとか、そうじゃないか、わからないところで触ってくるものね」
「そうなんだ!」
マサオは昼休みや休憩時間に美和ちゃんに相談にのってもらい、なんとか今日、カツラを手に入れることが出来た。
これで、かつてのように視線を気にせずに生活ができる。そう思っていた。
しかし。
「まぁまぁ、泣き止みなさいな。ほら、あったかいコーヒー飲んで。ね?」
「ううっ。ひっく。うぅっ……」
「これだけ立派な禿頭だと、カツラも踏ん張りがつかなかったのかねぇ」
「もう嫌なんです。いらやしい目で見られるのも、触られるのも」
「マサオちゃん、大変なのねぇ」
スナックのママに慰めてもらいながら、マサオはカツラを再び装着した。
メガネ男子は、それを見てようやくホッとしたようにマサオと目を合わせた。
「……大変ですね。でも、その、僕も、やっぱり目のやり場に困りますね」
「わかってるんです。男の本能ですから。ただ、自分がなるまで、こんな視線を受け続けることが辛いとは、ひっく、思いませんでした」
マサオが信頼できる上司だと思っていた人に、昼休みに蹂躙されたことや、道ですれ違いざまに禿頭を撫でられたり、挙句の果てに、暗闇で舐められたりしたことはトラウマになっている。
「……もう、これで大丈夫だと、思ったんですけどね」
しょんぼりとコーヒーを啜るマサオに、ママもメガネ男子もかける言葉は何も思い浮かばなかった。
常連客の調子外れのカラオケが鳴り響くスナックの出入り口の扉が開き、冷えた夜風が入り込んだ。
足元の冷たさに、マサオが顔を上げるとそこには真っ白なスーツに黒いシャツ、銀色のネクタイをした、サングラス姿の男が立っていた。
「やぁ、ママ。アフター終わってきたよ。いつもの」
「はいはい。イシちゃんのいつものね」
マサオの隣の椅子に座ったその男は、マサオ以上に立派な禿頭だった。
「あの、その」
「ん?見ない顔だね。オレはそこのホストクラブにいるんだ。イシちゃん。よろしくね」
還暦すぎとおぼしき肌のたるみと皺がある顔からは、張りのある声が響いた。
マサオがイシちゃんの頭を凝視していると、
「ああ、ちょっと目の毒かな?」
と、悪びれることも恥ずかしがることもなく、つるりと頭を撫でた。
「あの、私も禿頭なんですが」
マサオはそっと、付け直したばかりのカツラを外した。イシちゃんはマサオの禿頭を見ると、
「アンタ、そういう店で働いてるのか?」
と真顔で訊いた。
カツラを外したマサオの頭は、酔っ払いたちに蹂躙されたことでついた手形が内出血で青く染まっていた。イシちゃんは、マサオの様子から見て素人に違いないとは思ったが、念のために確認したのだった。
イシちゃんの予想通り、マサオはハゲしく頭を横に振り、否定をした。
「そ、そんな!客ですら行ったことはありませんよ!」
「それなら、その頭についた手形は、アンタが暴漢にあった証拠だ。医者に診断書をもらって、警察に被害届を出しな」
厳しい声で続けるイシちゃんに、マサオは気圧された。
「で、でも、こんなのよくあることで…」
「馬鹿言っちゃあいけねぇよ。それだけ立派な禿頭を欲望に任せて触る奴らを野放しにしてたまるか」
「……こんなの、一週間もあれば治る」
「いいかい?アンタにとっちゃ痴漢に遭ったようなもんだ。こっちとしても、この禿頭に金を出して触りに来てくれる客を侮辱されたようなもんなんだよ」
「でも……」
「アンタには、わからねぇだろうが、こっちは光を保つために毎日軟膏を塗ってケアしてんだ。その努力をお客さんが金を払って認めてくださってるんだ。
痴漢野郎は金も払わず、マナーも知らねぇでアンタの禿頭を撫で回したんだ。罰が与えられて然るべきってもんよ。
それに、アンタ、泣いてたんだろ?そんなに嫌なら嫌だと法を使って訴えればいい」
「い、いやです。う、うぅ…」
マサオは嬉しかった。
誰も理解してくれない苦しみをイシちゃんが救ってくれた。
「そんなものを持ってるやつが悪い」と、自分の欲望を正当化して襲ってくる奴らに、何度も好きで禿頭になったんじゃないと叫びたかった。
「誘っている」と言われ、何度も傷ついた。
だが、そうか。
これは、傷ついていると言っていいのだ。
マサオは泣いた。
今度は声をあげて泣いた。
もう、自分の気持ちを押さえつけなくてもいいのだと、安心して。
その後、マサオは警察に被害届を出した。
メガネ男子の証言もあり、無事に相手を訴えることが出来た。
イシちゃんとは、それからスナックで会うようになった。互いの禿頭のケアをする軟膏の塗り合いをしたり、仲良くなった。
イシちゃんはいつも言っていた。
「この禿頭が欲望を燃え上がらせてしまうのは、仕方ない。だが、それを商売にしてるオレらと、まっとうに生きているアンタは違うんだ」
それは仲間であると思いたかったマサオをいつも突き放すために何度も何度もイシちゃんは口にした。
それでも、マサオはイシちゃんが店を辞めて、まっさらな身の上になることを静かに待つと決めていたのだった。
だが、唐突にその日常は終わった。
イシちゃんが何者かに襲われ、早朝のゴミ捨て場に倒れていたのだった。
半透明のゴミ袋に沈み込んだ禿頭には丸い内出血と、歯形の痕がついていた。暴漢に襲われたのだ。
発見された時、カラスに頭をつつかれたような出血もあった。
知らせを聞いたマサオは、仕事を急遽休み、イシちゃんが搬送された病院に向かった。
マサオはカツラが外れないように、片手で頭を押さえながら、頭の中では、イシちゃんが死ぬわけがないと何度も何度も繰り返し唱えていた。
まだ、イシちゃんは死なない。
まだ、イシちゃんに想いを伝えていない。
マサオはカツラの内側を流れる汗を拭うことなく、走り続けた。
面会が可能になったのは、マサオが病院に着いてから、半日が経過した後だった。
真っ白な病室に、頭にふんわりとした包帯の帽子をかぶったようなイシちゃん。
まるで天使のようだとマサオは思った。
「……心配かけたな」
照れ臭そうに笑うイシちゃんに、マサオはようやく安堵の笑みを浮かべた。
イシちゃんは、最近裏で横行している「頭部吸盤ひっぱり合いデスマッチ」の元締めに話をつけに行った帰りに襲われたらしい。吸盤の残す内出血の痕は美しくないとイシちゃんは訴えたが、禿頭の強さを競う戦いを主張する元締めとは平行線の話し合いで終わった。
その話し合いの場にいた男のひとりが、イシちゃんの禿頭に欲望を抱き、帰り道に襲ったのだった。
「吸盤が面白いように吸い付くって何度もやられてな……こっちは還暦すぎなんだから、若い奴らの体力に勝てるわけないだろうに」
「イシちゃん……」
「そんな顔するなよ」
「でも、イシちゃん。やっぱりもういい年なんだから、もう仕事やめて一緒に」
「いやだね」
「イシちゃん……」
「お前は残りの人生を過ごすのに必要な友人なんだ」
「イシちゃん……?」
「仕事は続けるが、裏方に変える。店のやつらの禿頭を手入れするスキンケアに残りの人生をかける」
「イシちゃん……!」
「一緒にやろうぜ。お前の禿頭は、オレが一番輝かせてやるから」
「イシちゃん……!!」
マサオは泣いた。
コンプレックスでしかなかったこの禿頭が、イシちゃんに出会わせてくれて、これからもイシちゃんと共に歩かせてくれる。
カツラが飛ぶたびに、欲望に満ちた目を向けられるけれど、落ち着いて周囲を見渡せば、メガネ男子やGカップの美和ちゃんのように、優しく見守ってくれる人もいるのだと気づいた。
泣きながらマサオは、イシちゃんに伝えたかった想いを告げることを決意し、嗚咽が収まったころ、小さい呟いた。
「……イシちゃん、友だちになってください」
イシちゃんは驚いたような目を開いたが、しばらくして眉間に皺を寄せ、
「オレの方が先に言ってんじゃねえか」
と、面白くなさそうに答えた。
さわやかな風の中を飛ぶトンボが、真っ青な空を背景にして、きらりと輝く禿頭の上に止まった。
「イシちゃん。またトンボがきたよ」
「モテる男は辛いな」
「ははは、確かに」
マサオとイシちゃんは、ベランダに客の使うタオルを丁寧に干しながら笑った。
マサオは六十歳の定年まで働き、退職後はイシちゃんの最高齢の弟子として、頭皮マッサージアンドケアの技を日々磨いている。
欲望に満ちた男たちから向けられる視線が減ることはないが、その視線を観察し、どういった輝きと照りが求められているのかを見つけ出し、ケアの仕事に転換できるようになった。
禿頭への男たちの欲望は、消えることはない。だが、禿頭をコンプレックスとしながらも、それを自分の武器にして商売にしているプロもまた、一定数いることを、今のマサオはすんなりと受け入れている。
そんな彼らのプロとしての意識の高さに驚き、畏敬の念を抱いた。
そして、そんなプロたちの頭皮ケアを担っているマサオ自身を誇りに思えるようになっている。
仕事場のベランダから、青空を見上げる。
あの真っ暗な夜、禿頭を嘆いた自分はもうどこにもいない。
男たちの欲望をそそるだけのものだと思っていた自らの禿頭を受け入れ、同じ禿頭を自分の武器としてプロの商売をする人たちを受け入れ、プロの禿頭にきちんと対価を支払い応援し続ける男たちを受け入れることが出来たマサオは、今、とても穏やかで幸せだった。
「イシちゃん、私は禿げたままだけど、幸せだと思えるようになったよ」
「それはいいことだな。うん」
「あとはイシちゃんが長生きしてくれればいいよ」
「まあ、うるせえババアやガキどもがいるからな」
「ははっ、孫にメロメロなくせに」
「あいつら、座ってると肩に乗っかって頭を舐めてくるんだ。困ったもんだ」
「まんざらでもないくせに」
「けっ」
イシちゃんの家に初めて行った時は驚いた。奥さんがいることも、子どもや孫までいることを知らなかったのだ。
驚き固まったマサオを見て、イシちゃんは恥ずかしそうに言った。
「夜の男が所帯臭かったら、客に失礼だろう」
さすがプロ意識の高いイシちゃんだなとマサオは思った。
そのマサオも、Gカップの美和ちゃんと先月入籍した。
お互いにバツイチ同士で、美和ちゃんの息子も「おふくろもいい年で一人暮らしも可哀想だから」と、なんとか認めてもらえた。
美魔女と言われるだけあって、マサオと並ぶと親子に間違われることがほとんどだったが、美和ちゃんは気にすることなくマサオの隣を選んでくれた。
なんでもない時間を共に過ごし、お互いのスキンケアの方法で盛り上がりながら、夕食後のほうじ茶を飲んでいる時、マサオは幸せというものを何度も感じた。最近は、おやすみ前の軟膏ぬりをしてもらうのが日課になっている。美和ちゃんの手が優しくマサオの頭を撫でてくれた感触の余韻を感じたまま、眠りにつく時にもまた、幸せを感じるのだった。
「……カツラで隠したまま、生きていたら、こんな気持ちにはならなかったのかなぁ」
ぽつりとこぼした気持ちは、あっという間に風に飛ばされて、
「ハゲたまま幸せなら、それでいいじゃねえか!」
と、大声で笑うイシちゃんの輝きに目を奪われ、マサオは楽しそうに笑うのだった。
(*´ー`*)禿頭がノスタルジーを誘うので、つい出来心で書いてしまいました。
近年になるほど、立派な禿頭の方が減っている感じがします。生活環境が改善されてるのかなぁ。