表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽りの婚約者は捨てられる  作者: 一発ウサギ
14/15

エンドB.そして皆いなくなった

こちらはパラレルエンドです。本編とは別のエンドとしてお楽しみ下さい。

バッドエンドなので、ハッピーエンドが好きな方は引き返して下さい。

~1か月後~


その日は、朝から小雨が降っていた。

元第3王子達に毒を盛られたノクターン辺境伯令嬢は、そのまま意識を取り戻すことなく、この世を去った。

また辺境伯も最愛の娘の死にショックを受け、その晩の内に自ら命を絶った。

残された令息が気丈にも喪主を務め、参列した人々は相次ぐ不幸を心から嘆いた。


「ふぅ…」

葬儀を終えた後、ディオンは1人自室でワインを片手に、考え事をしていた。

そこに「来客です」という執事の声と共に「やぁ」と、上司兼友人のテノール王子が顔を出した。

ホッとしたような、ウンザリしたような気持ちに襲われつつも、突然の来客を招き入れて人払いすると、相手の前にワインを置いた。

「この度は、心からお悔やみを言うよ」

「恐れ入ります」

ソファに腰掛けると、開口一番お悔やみの言葉を言った。

それに対して、ディオンは特に感情を浮かべる事なく、事務的に返した。

後は無言で手元のワイングラスを、揺らしながら眺めている。

テノールはその様子を一瞥して、口を開いた。

「後悔しているのか?…復讐のためとはいえ、恋人を手にかけた事を」

その言葉にディオンは、少しだけ顔を上げた。

「いいえ。私は両親の墓の前で誓ったのです…当主の座欲しさに実の兄夫婦を手にかけたあの男に、私と同じ思いを味わわせてから殺すと…あの男が奪ったものを取り戻すと。軽蔑しますか?何の罪もないセレナーデまで、手にかけた私を?」

そう言って、グラスに残ったワインを飲み干した。

「いや、俺も同じだからな…裏切ったとはいえあんなに可愛がってた弟だったのに、これっぽっちも悲しくない」

それだけ言って、テノールもワインを煽った。

それ以上何を言えばいいかわからず、しばらくの間部屋に沈黙が降りた。


「…本当は」

不意にその沈黙を、ディオンが破った。

手元の空になったワイングラスに視線を落としながら、誰に言うともなく呟いた。

「何も感じない訳ではありませんが…悲しいとも思わないんです。ただ胸の中が空っぽになったような感じで、涙の一滴も出てこない。愛していたのは間違いないのに…殺しても悲しみも後悔も罪悪感もない。不思議ですね」

「そうか…」

再び言う事が無くなり、テノールは話題を変えてみた。

「ところでお前は、これからどうするんだ?」

そこで初めてディオンは、顔を上げてテノールを見た。

「仇は討ちましたし、奪われた当主の座も取り戻しましたし、後は跡継ぎでも作って家を継いでいきますよ」

「……」

そう言うディオンの顔を見て、テノールは目の前の友人の未来を悟った。

「分かった…まぁ、好きにしろ。当主になるんなら、もう俺の補佐は手が回らないだろう…明日にでも解雇してやる、おやすみ」

そのままグラスを置いて立ち上がり、部屋を後にする。

「えぇ…おやすみなさい、殿下」

決して、振り返る事はしなかった。

ただ黙って片手を上げて、別れの挨拶とした。



その後第2王子の側近を辞したディオンは、辺境伯当主として良い伴侶を迎え、一男一女をもうけて領地を発展させた。

長男の成人と同時に当主の座を譲り、翌日自室にて遺体となって発見された。

当初は殺人かと思われたが、傍のテーブルに「義妹の墓の側に眠らせてほしい」という遺書が見つかった事から、自殺と断定された。

本人の希望通り、義妹の墓の隣に埋葬された。

誰かは知らないが、毎年命日には必ずワインが供えられていた。



ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ