12.エンドA.真実は闇の中へ…
ブックマークありがとうございます。
前半セレナーデ視点、後半モブ視点です。
~3か月後~
カラーン、カラーン。
晴れた空に、教会の鐘が鳴り響く。
今日は私とお義兄様の、結婚式が行われた。
本来ならあの事件の後であり得ないスピード婚だが、諸事情で早く結婚したかった。
対外的には「傷物になった娘を守る為、辺境伯が義息子と婚約、結婚させた」「傷ついた義妹を慰めている内に、愛し合うようになった」という美談とした。
急ぐ必要があったので、急遽お義兄様を遠縁の籍に入れたり、結婚準備をしたり、目まぐるしい3か月だったが、こうして迎えるとその苦労も報われたと思う。
「おめでとうございます、お嬢様…いえ、もう奥様ですね」
出席したメイド達が、涙にくれる。
「ありがとう。これからもよろしくね」
「こちらこそ、うぅ~~」
それ以上は言葉にならず、泣いてしまった。
ひたすら宥めていると、ノックの音と共にお父様とお義兄様が入って来た。
「お父様、お義兄様」
メイドが慌てて頭を下げるが、お父様が片手を上げて下がらせる。
「こら。もう『お義兄様』ではなく、『旦那様』だろう」
お父様に注意をされるが、するりと避けてお義兄様の腕をとる。
「まぁお父様。私にとってはお義兄様は『お義兄様』で『旦那様』ですから、何も間違ってませんわ」
するとお義兄様は、苦笑しながらこつんと拳で私の額を叩く。
「確かにそうだけどね。今は夫としているんだから、旦那様と呼んでほしいな」
そう言って、私の大好きな微笑みを向けてくる。
その笑顔を向けられると、言い返せない。
「分かりましたわ……旦那様」
気恥ずかしくなって、旦那様の腕に顔を埋める。
頭の上でお父様と旦那様が、笑ってる気配がした。
「凄く盛大なパーティね、さすがは辺境伯家だわ」
招待客の夫人が感心したように言うと、連れの夫も頷く。
「うむ、さすがは辺境伯家だな。あの騒ぎが嘘のようだ」
「あの時は驚きましたものね。まさか第3王子が不貞を働いた挙句、自分の婚約者に毒を盛って、家を乗っ取ろうとしたなんて…」
「全く酷いものだった。でもノクターン令嬢、いやノクターン夫人に何事もなくてよかったよ。王家有責で婚約解消したとはいえ、傷物令嬢になってしまったが代わりに優秀な婿を迎えられて、辺境伯家も安泰だな」
「そうね。……?」
そこまで言って、夫人は挨拶が一段落した花嫁が、食事をしようとした途端、真っ青な顔で口元を押さえて退出するのを見た。よく見れば、ドレスもゆったりしていて体型を隠せるデザインだ。
(もしかして…だとしたら、本当に不貞を働いていたのは…)
しかし浮かびかけた疑問は、傍らの夫に声をかけられて中断される。
「おいどうしたんだ、ボーッとして。私達もご挨拶に行かなければ」
「何でもありませんわあなた。参りましょう」
「うむ」
夫人は浮かびかけた疑問を打ち切って、夫と共に今日の主役に挨拶に向かった。




