9.断罪①
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「おい、起きろ」
兵に声をかけられて、ハッと目を覚ます。
(そうだった、俺は…)
どうやらいつの間にか、眠ってしまったようだ。
「陛下がお呼びだ、出ろ」
「あぁ分かった」
牢屋に入れられてから数日、結局誰が犯人か分からなかったので、やり方を変える。
恐らくこれから父上の前で、罪状を確認されて刑を決められるのだろう。こうなったら父上に直接「犯人が他にいる」と訴えて、正式に調査して貰うしかない。
国が正式に調査すれば、3人の誰が犯人でも突き止められるだろう。
ちなみにアリア達はいない。
ケンカばかりしていて「うるさいから」と、その日のうちに別の牢屋に移された。
広間に連れていかれると、アリア達がすでに来ていた。
そして父上だけでなく、母上、兄上達まで揃って、冷たい目で私達を見下ろしていた。
またそれだけでなく辺境伯とディオン、アリアやトラン達の両親まで、控えていた。
予想以上の怒りを感じ委縮するが、何とか奮い立たせて口を開こうとしたが、それより前に父上の声が部屋中に響いた。
「これより罪状を読み上げる。ここにいる罪人4人は日頃からノクターン辺境伯令嬢を罵倒し侮辱しただけでなく、脅して金や金品を巻き上げ、それにも足らず辺境伯家で盗みを働き、挙句の果てに公衆の面前で令嬢に濡れ衣を着せて婚約破棄を宣言して、名誉を傷つけたばかりか殺害まで目論み、辺境伯家を乗っ取ろうとした。まことに悪辣で許しがたい、よって―――」
「お、お待ち下さい!」
口を挟む隙も無く、判決が下りそうなので慌てて止めに入る。
「「無礼者!陛下の口上を遮るとは何事だ!」」
連行してきた兵士達に、床に取り押さえられる…それでも諦めきれなかった。
「確かにセレナーデに無礼を働いたのは認めます!しかしそれは彼女が最初に、アリアを傷つけたからです!それに盗みとか、殺害をもくろむとかは事実無根です。証拠などないでしょう!」
必死に弁解すると、呆れたようにため息をつかれた。
「な、何ですか」
予想外の反応に戸惑う。
すると父上が疲れた顔で言った。
「証拠ならお前の部屋から見つかっている…今回の流れを書いた計画書が、な…」
深々とため息をついた父上の後を継ぐ形で、テノール兄上が言った。
「全く…辺境伯令嬢を排斥した後に、責任を問う形でそこのあばずれを養女にさせた後、辺境伯とディオンを追放して辺境伯家を乗っ取り、その後俺の補佐について不正をでっちあげて追放した後、リュード兄上を殺害して王太子になる……よくもここまで悪辣でアホな事を考えられたものだ」
そう言って、バカにした顔で俺の計画書を床に落とした。
「あ、アホとは何だ!一生懸命考えたんだぞ!」
(完璧な計画なのに、どこがアホだというんだ!)
床の上から睨みつけると、ウンザリした顔で言った。
「はい自白ありがとう…もっとも筆跡鑑定で間違いなく、お前が書いたものだと認められてるがな」
(しまった!)
弁解する前に、バレてしまった。これでは無罪を勝ち取るどころじゃない。
「いや待って下さい、それでもセレナーデ殺害は目論んでません!」
「見え透いた嘘を言うな、セレナーデ嬢に向かって『最後だから』と、やたら連発してたじゃないか。殺すつもりだから、そんな台詞が出たんだろう」
必死で弁明したが、あっさりと返された。
何か手はないかと考えていると、アリアが口を開いた。
「何よ!悪者令嬢を追い出して養女になろうって言うのの、どこがいけないの!?そこのディオン様だって、血のつながらない養子じゃない!」
アリアが指さすと途端に後ろにいた兵士が、俺と同じく床に引き倒していた。
「いた~い、何するのよぉ。ディオン様助けてぇ~」
アリアがディオンに向けて手を伸ばすが、ディオンは嫌そうに一歩下がるだけだった。
「脳みそだけでなく、目まで節穴だな」
父上が嫌そうに言う。
「何よ、節穴なのはアンタでしょう!この耄碌爺!サッサと引退して、アルト様に王位を譲りなさいよ…ギャッ!」
暴言を吐いたアリアは、兵士に殴られた後、猿轡をかまされた。
「勘違いをしているようだが、私は確かに義父上の子ではないが、れっきとした辺境伯家の血を引いている。私は義父上の甥で、両親を亡くしたので養子として引き取られたんだ」
「「「「!」」」」
ディオンが嫌そうに説明した内容に、私達は目を瞠る。
(そんな話聞いてないぞ!)
誰もそんな事言ってないじゃないか!
憤慨してると、表情から考えてる事を読み取ったのか、母上とリュード兄上が付け足す。
「貴族が親を亡くした遠縁の子を引き取って、養子にするのはよくある事でしょう」
「そもそもディオン殿は、辺境伯と同じ髪の色をしてるのに…顔立ちだって、母親似のセレナーデ嬢より辺境伯に似てるのに…どうして『赤の他人』なんて思えるのか、こっちが聞きたいよ」
2人の言葉に慌てて辺境伯と、ディオンを比較してみる。
(なるほど確かに同じ髪色で、面差しもよく見れば似ている…)
2人にため息交じりに言われて、今度こそ俺は言葉を失った。




