浜田
「よし、浜田間違いないそこだ、彼女を守るぞ」
「はい、でも何で呼びつけなんだ」
「どうしたの?」
「この前その真理子さんの汗を鬼が吸っているんだ」
「そうか、美人の汗は美味しいという訳ね」魔美は皮肉を込めて言った
「まあな」
「いやらしい」
「魔美、例のマガジン持っているか?」
「ええ、持っているわよ」金のマガジンを礼司に渡した
礼司はベレッタをバックから取り出しては浜田に渡した
「このモデルガン当たるように調整してくれ」
「これをですか?」
「うん」
浜田は銃身の上のフロントサイトとリアサイトを見た
「微妙に銃身がゆがんでいます、右上に弾がずれます」
「うん、何度だ」
「はい?」
「何度だ?」
「0.1度から0.2度です」
「よし、ありがとう。乗ってくれ」
「な、何に使うんですか?」
浜田は助手席に、ナイル、乱丸そして魔美は後ろの席に乗った
「行くぞ」礼司はタクシーのエンジンをかけた
2分後に渋谷公会堂に着くと
「浜田さん頼む」
「はい」
浜田は警備員に身分証を見せ入り口を開けてもらった
「OKです」
「サンキュー」
礼司達はホールの奥の楽屋入り口のドアを開けた
そのまま舞台のそでに立つと大きな音楽と共に
真理子が踊りながら歌っていた
「ちょっとちょっと」スタッフの男が礼司に声をかけた
「すみません」浜田が身分証を見せた
「彼女に汗をかかせないでください」
礼司がスタッフに言った
「そりゃ汗が出ないようにしているけどあれだけ踊っていたら
無理だよ」スタッフが答えると魔美も
「そうよ」
そう言った
「分かった」
礼司は奥に行ってベレッタに金の
マガジンに入れ戻って袖から真理子を
見つめていた
8時30分。1部の最後の歌を歌っている間に
乱丸とナイルがキョロキョロし始めた。
「来た」
「うん」
真理子の動きは激しくなり額に浮かぶ汗が見えた
顎の先から1滴の汗が落ちる瞬間
「やばい!落ちるぞ」
礼司はピストルを取り出しトリガーを引いた
発射された弾丸が汗に当たるとそれは蒸発した
「すごい!ここから汗を撃った」浜田が驚いて言った
「それより、0.1度ピッタリだ」
1部が終わって舞台のそでに戻ってきた真理子は
「夜野さん、どうしたんですか?」
礼司は真理子の耳元で
「例の君を飲み込んだ物が狙っている」
「ええ?本当ですか?」真理子の顔色が変わった
「うん」
「怖い!」
真理子は礼司の手を握るとそれを魔美が見ていた
「まったく」
「だから絶対汗を床に落としちゃ駄目だ」礼司は手を握り返した
「はい」
「汗さえ床に落とさなければ大丈夫だから」
「はい」
真理子がスタッフと一緒に楽屋へ戻ると
「どうするの?」魔美が礼司に聞いた
「このまま彼女を囮にして11時まで待つさ」
「でもライブが終わるのは9時半過ぎよ」
「どこかへ移動しないかしら」
「今夜は腹をすかしているから、彼女を狙ってくるさ」
「バレーボールの会場は?」
浜田が聞いた
「一度俺達を見かけているから戻らんだろう」
「なるほど」浜田が納得すると魔美が聞いた
「浜田さん、仕事は?」
「あはは、今日はもう終わっています」
「刑事さんなの?」
「ええ」
「やはり向うで浜田さん・・・・」
魔美が悲しそうな顔をした
「ああ、そうだな」
「な、何なんですか?」
「君が向こうの世界で死んだって事だよ」
「はあ?」
コンサートの第2部では真理子は
礼司の言った事を守り汗を拭きながら
歌って問題なく終わった。
「9時35分、無事終了か」
「そうそう、さっき真理子さんが夜野さんの
タクシーで帰るから待っていてくださいって」
「おおそうだ、今日は仕事していなかったから助かるな」
「あはは」
「これで真理子さんが汗を流す事ありませんね。良かった」
「ん?シャワーは?」
礼司は変な予感がした
「楽屋にあるわよ」
「まずい、まずいぞ」
礼司は走り出して真理子の楽屋に飛び込んだ
「な、なんですか?」マネージャーが驚いてその時
「きゃー」
と言う悲鳴が聞こえた
乱丸とナイルはマネージャーの頭を飛び越えて、
礼司はマネージャーの手を払ってシャワールームへ入って、
そのカーテンを開けると
真理子の体は首まで飲み込まれていた
礼司は真理子の手を引いた
「こら鬼!」
礼司は思い切り真理子の手を引くと体が黄色く光った
そこへ魔美が来ると
「魔美、ポケットの小柄で鬼を刺せ」
「はい」魔美は礼司のポケットから小柄をとってベージュの鬼をさした
「ギャー」
鬼は悲鳴を上げて消えた
礼司は真理子を引き上げると
「あはは、綺麗な胸だ」
「きゃー」
真理子は胸を隠した
「魔美今何時だ?」
「10時」
「行くぞ」
「どこへ?」
「鬼が逃げたところだよ、サウナ」
「はい」
魔美はニッコリ笑った
礼司はバスタオルを巻いて体を震わせている
真理子に向かって
「鬼退治して来るから安心して」
「そうよ。夜野さんがやっつけてくれるから」
魔美が自慢そうに言った
「あ・り・が・と・う」
真理子がやっと返事をした
「あっ、タクシーで送って行けなくてごめん」
「がんばってください。夜野さん」
「ああ」
真理子は礼司の後ろ姿を見て安堵していた
「かっこつけちゃって」魔美は笑っていった
「いくぞ!」
礼司たちは車に乗り込んだ
「ぼ、僕はどうしますか?」
浜田が礼司を追いかけて言った
「行きたい?」
「はい」
「でも、この世界知っても誰も信じないぞ」
「分かっています、でも人が死んだのは事実ですから」
「乗せてあげようよ」
「ああ」
「ありがとうございます」
浜田は嬉しそうに助手席に乗った
浜田がタクシーに乗って礼司がタクシーを走らせると、
向うの世界の事件と礼司との関係説明した。
「なるほど、僕は向うの世界で死んでいるんですね」
「うん」
「それで夜野さんが懐かしい感じがしたのか」
「たぶん、あはは」
「ところでなぜ鬼がいるんですか?」
「それは、魔美の専門だ」
「それは、この世に残った霊魂がなんならの形で鬼になってしまうのよ、
そして人間を食うの」魔美は鬼の存在を説明した。
「今回はサウナで死んだ人の霊魂が鬼化してしまったわけなの」
「で鬼はどこにいるんですか?」
「いまから移動する場所。つまりみんなの言う地獄」
「どうやって移動するんですか?」
「これが鬼のノブ、このタクシーにつけると移動できるの」
浜田にノブを見せた
「いつ移動するんですか?」
「夜の11時から12時の1時間だ」礼司が言った
「ね、夜野さん」
「ん」
「さっきの小柄見せてくれる」魔美が体を乗り出して言った
「おお」礼司は胸のポケットに入っていた小柄を魔美に渡した
「やっぱり、これはノブと同じ目的で作られたものよ」
「鬼退治用か?移動用か?」
「こっちは鬼退治用だね」
「了解、でも小柄より刀のほうが良かったのに、あはは」
「夜野さん」浜田が急に大きな声で言った
「ん」
「さっきのベレッタはなんですか?」
「あれは魔美が持っている鬼退治用のツールだ。
自動装填で永遠に弾がなくならないマガジンだ」
「へえ、凄いですね。ところで魔美さんて・・・」
「ははは、俺もわからん」
礼司は魔美を見つめた
「ごめん、いずれ話します」