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地獄タクシー Ⅱ  作者: 渡夢太郎
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猫と犬

「ああ、夜野さんどうしたんですか?」

住職の奥さんが出てきて言った

「あの良くここに来ていた魔美ちゃん最近見かけないけど・・・・」

「魔美ちゃん?」

「はい、女子高生の」


「知らないわ、誰の事かしら?」

礼司は住職の奥さんにそっけなく返事をされた

「あいつ、人の記憶消したな」

礼司はつぶやいた

「そうそう、明日お通夜があるから九時に来ていただけるかしら」

「はい」

そう言って玄関を出ると礼司の携帯に付けていた鬼の根付の目が光った

「ん?」

礼司は裏手にある墓地に入った。すると暗がりに白く光る墓石が見えた。

「おお。あそこか」

そこに行って墓石を見ると礼司は唖然とした『夜野家の墓』


「夜野家?」

礼司奇妙な感覚を感じて排石をずらし

カロート(納骨堂)を覗き込んだ

「あれ?」礼司が懐中電灯で中を照らすと

中の石板が外れていた

「しょうがねえな」

そう言って石板を元に戻した。そこには骨壷が一つも無かった

そして礼司は排石を戻して手を合わせた。

「魔美戻って来いよ」

そう言って礼司は墓石に背を向けた


「うん」

魔美の声が聞こえた

「ん?」

礼司が振り返ると魔美が墓石の前に立っていた

「お、お帰り」

「ただいま」

魔美はにっこりと笑っていた。


そして、脇には巨大猫乱丸と

ダルメシアンのナイルが座っていた

「元気だったか」

「うん」

ナイルは脇に座って礼司の手をペロペロと舐めて

乱丸は体を伸ばして礼司のズボンで爪を研いだ

「こら!乱丸」

礼司は乱丸の頭を軽く叩きながら言った


「鬼が出たぞ」

「うん、知っていたけどこっちへ来れなかった」

「墓石がこっちへ来るマシンなのか?」

「うん、直してくれてありがとう」

礼司は魔美を思い切り抱きしめたかった。

「さあ、行こう」

「どこへ?」

「もちろん、汗鬼退治よ」

「そ、そうだ。行くぞ」

「ところでどうしよう。鬼がどこにいるか分からない」

「魔美が知らない事があるのか」

「うん」


「鬼は女性好きらしいぞ」

「どうして?」

「被害者が全員女だ。そのうちの二人を俺が助けた」

「良かったわね。感謝されたでしょ」

魔美は皮肉っぽく言った


「まあな」

「さてどこへ行こうか?」

「美味しい汗のあるところだろう」

「美味しい汗?」

「うん、労働、スポーツの汗だろう」

「スポーツをしている女性の汗ね。

どこかで、スポーツの大会やっていないかな」

「ああ、東京体育館で国際バレーをやっているぞ、日本対ブラジル」

「そこだ、行こう」

礼司と魔美と乱丸とナイルはタクシーに乗って原宿へ向かった


「ねね、チケットは?」

「無い、あはは、チケットは完売だ」

「どうやって入るの?」

「ちょっと待って」

礼司はタクシーを止めると浜田に電話をした

「夜野です」

「はい、どうも」

「今度はバレーの会場に鬼が出る可能性がある、

我々が入れるようにしてくれないか」

「それはいいですけど・・・。我々ですか?」

「女性一名、猫と犬だ!」

「はあ、了解です」


浜田は不思議そうな声を出した

「ねね、誰?」

魔美は礼司の顔を見た

「ああ、SSATの浜田だと思う。同じ顔をしていた」

「あの浜田さん」

「うん、向うで死んだらしい」

「じゃああのミッションは失敗?」

「分からん、最近由美からのイメージも届かない」


「じゃあ、由美さんも」

「うん、そうは思いたくないな。俺の計画が失敗したなんて思えない」

「そうね、夜野隊長」

「うん」

タクシーが東京体育館に着いたのが七時過ぎで、そこに浜田が待っていた

「夜野さん、どうしたんですか?」

「あの鬼は女性の美味しい汗を狙っている。だからここが一番怪しい」

「はい、話は通してありますから入ってください」

「サンキュー」

礼司は車から降りると

「お久しぶり、浜田さん」

魔美はミニスカートを翻しタクシーから降りて

乱丸とナイルを連れて走って行った

「お久しぶり?」

浜田は首をかしげた


「もしもし、動物は入れては困りますよ」

入り口で警備員が魔美を止めた

「この犬は警察犬だ!」

礼司はどなった。

その隙に乱丸は尻尾を立てて入り口をすり抜けた

「すみません、どうぞ」

警備員は頭を下げた

「いくぞ!」

礼司は体育館の二階ドアを開けると目を閉じ心を集中した。




「魔美、いないぞ」

「まだ現れないのかな」

「乱丸、ナイル感じるか?」

乱丸は照明の台に上って周りを見渡しナイルは鼻を上に向けて

様子を伺っていた。

「ニッポン、ニッポン」

と言う応援の声が次第に小さくなり周りが暗くなってきた。





「ニャー」乱丸が鳴き

「ワンワン」とナイルが吠えた

「来たわ」魔美が叫んだ

「おお、くるぞ!」

礼司は鬼の小柄を持った

「どうしたの?その小柄」

「骨董屋にもらった」

「それって・・・」

その時、周りの音が止まり人の動きが止まった


「来た」

礼司は二階の観客席から一階のフロアーに飛び降りて

日本チームのコートに入った、

すると1mくらいの大きさのベージュの鬼が

口を開いてスパイクを打ったばかりの宙に浮いている

エースアタッカーの栗田を飲み込もうとしていた。

そこにナイルが飛び掛るとバックコートに、そこに乱丸が飛び掛ると

ブラジルチームのコートに移動した

「この野郎、チョコマカと」

礼司はそう言って小柄で鬼の顔を刺した。

「ギャー」悲鳴を上げて鬼は逃げた

すると周りが明るくなり止まっていた物が動き出そうとしていた

「いけねえ」礼司はあわてて逃げだすと床に栗田が着地した

「でかい!」


1階のロビーに礼司と乱丸とナイルが出ると魔美が

「逃げちゃったね」

「ああ、今度はどこに現れるか」

そこへ浜田がかけてきた

「夜野さん、間に合いましたね」

「ん?見ていたのか?」

「もちろんですよ」


「あらら、さすがあっちから来た人ね。浜田さん」

「おい、浜田・・・さん。他に何かイベントないか?」

「そうですね、そこの渋谷公会堂でコンサートがありますが」

「コンサートか?」

「ほら、こないだ夜野さんが助けた、真理子さんですよ」

「彼女歌手だったのか?」

「最近人気が出てきた、光田真理子ですよ」

「そうか」

礼司はニヤニヤして笑った

「なにおしゃべりしているの?」

魔美が怒って言った


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