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紫式部日記 舞夢訳  作者: 舞夢
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にはかにいとなむ常の年よりもいどみましたる聞こえあれば、

にはかにいとなむ常の年よりもいどみましたる聞こえあれば、東の御前の向かひなる立蔀に、ひまもなくうちわたしつつ灯したる火の光、昼よりもはしたなげなるに、歩み入るさまども、あさましうつれなのわざやとのみ思へど、人の上とのみおぼえず。ただかう殿上人のひたおもてにさし向かひ、紙燭ささぬばかりぞかし。屏幔ひき、おひやるとすれど、おほかたのけしきは、同じごとぞ見るらむと思ひ出づるも、まづ胸ふたがる。


(準備の時間もなく)実施される例年に比べて、(入念に準備をして)互いに競い合っているとの噂がある上に、(当日の中宮様御前には隙間なく並べられ灯された灯火の明るさは、昼間よりも明るくて気恥ずかしい程で、(舞姫たちが)入って来る様子はは、この状態でよく落ち着いた顔でいられると思うけれど、他人事のみとも思えない。(私たちのような見物人を含めて)ただこのように殿上人も直接に顔を向かい合わせて、紙燭によって顔をはっきり明るく照らし出されてしまうだけなのだから。

幕を回して人目を避けるような措置をしてはあるけれど、ほとんど私たちについても、見えてしまうことでしょう。それを思うので、実に落ち着くことなどできません。


宮中行事とはいえ、「女性が人前で顔を見せる」ことは、恥ずかしいとされていた時代。紫式部は、やはりこの生活や行事に慣れることができていない。

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