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入らせたまふは十七日なり。
入らせたまふは十七日なり。戌の時など聞きつれど、やうやう夜更けぬ。みな髪上げつつゐたる人、三十余人、その顔ども見え分かず。母屋の東面、東の廂に内裏の女房も十余人、南の廂の妻戸隔ててゐたり。
(中宮様が)内裏にお戻りになられるのは(11月)17日です。
(土御門邸)からのご出発は午後8時と連絡を受けていたけれど(遅れてしまい)夜が更けてしまいました。女房たちは全員髪上げをして控えておりますが、人数は30人余り。それぞれの顔は見わけがつきません。母屋の東面の間や、東の廂に内裏の女房も十余人、私たちとは南の廂の妻戸隔てて座っておりました。




