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紫式部日記 舞夢訳  作者: 舞夢
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局に物語の本ども取りにやりて隠しおきたるを、

局に物語の本ども取りにやりて隠しおきたるを、御前にあるほどに、やをらおはしまいて、あさらせたまひて、みな内侍の督の殿にたてまつりたまひてけり。よろしう書きかへたりしはみなひき失ひて、心もとなき名をぞとりはべりけむかし。

 若宮は御物がたりなどせさせたまふ。内裏に心もとなくおぼしめす、ことわりなりかし。


※内侍の督:道長の次女。


私の局(紫式部の部屋)に、(紫式部の私邸から)取り寄せ隠しておいた源氏物語の原稿があったのですが、私が中宮様の御前に参上している時に、道長様が、こっそりと入ってそれをお探しになり、全て内侍の督様に渡してしまわれました。

上手に書きなおした原稿は全て手元から無くなり、そうではないものが残り、後々恥ずかしい評価を受けることになると思っています。

若宮様は、おしゃべりをなされます。帝が待ち焦がれるのも、もっともなことと思われます。



源氏物語の秘密の一つである。

現在まで伝わっている源氏物語は、果たして作者紫式部が本当に意図したものであったのかが、この記述で全く不透明なものになる。


その後も写本作業を通じて、様々な誤り、写本者による「善意の校正」がなかったとは言い切れない。

何しろ、著作権保護の考えはなかったのだから。


しかし、道長の行為は、実に悔やまれる。

酷い悪気はなかったかもしれないが、歴史に残る問題行為である。

慎重な紫式部としても「名をあげて」日記に残すのも納得できる。

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