表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紫式部日記 舞夢訳  作者: 舞夢
77/178

「和歌一つ仕うまつれ。さらば許さむ。」

「和歌一つづつ仕うまつれ。さらば許さむ。」

と、のたまはす。いとわびしく恐ろしければ聞こゆ。

  いかにいかが かぞへやるべき 八千歳の あまり久しき 君が御代をば

 「あはれ、仕うまつれるかな。」

と、二たびばかり誦ぜさせたまひて、いと疾うのたまはせたる、

  あしたづの 齢しあらば 君が代の 千歳の数も かぞへとりてむ

 さばかり酔ひたまへる御心地にも、おぼしけることのさまなれば、いとあはれにことわりなり。げにかくもてはやしきこえたまふにこそは、よろづのかざりもまさらせたまふめれ。千代もあくまじき御ゆくすゑの、数ならぬ心地にだに思ひ続けらる。


(道長様は)

「和歌を一首づつ詠聞かせなさい。そうしたら許してあげましょう」

と、おっしゃられます。

とにかく逃げてしまいたいけれど、道長様のご意思にそむくことも恐ろしいので、何とか次のように詠みました。


数えることなどできる手段があるのでしょうか。限りないほどのあまりにも久しい若宮の栄えある御世を


(道長様は)

「うんうん、なかなか上手に詠みましたね」と、二回繰り返して(私の詠んだ歌)を詠まれ、実に素早くお返しになられました。


この私にも、鶴のような千年の長寿があるのなら、若宮の千年の歳も数えてあげられるのですが


相当な泥酔でおられるのに、道長様にとって若宮のご誕生と今後の御長寿はかねてからの大願であったことから、実に納得できるのです。

何にも増して若宮のことを大事に思っているからこそ、全ての儀式も最上級にしているのであり、私などの大した身分でない者であっても、若宮様の栄えある未来について思い浮かべることができるのです。



道長は念願成就で当然ながらうれしくて仕方がない。

無難な受け答えと記述を貫く(その内心はともかく)紫式部。

ただ次の話では、そんな道長に呆れる(呆れる態度を示すことができる)人が登場する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ