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紫式部日記 舞夢訳  作者: 舞夢
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宮の大夫、御簾のもとに参りて、

宮の大夫、御簾のもとに参りて、

 「上達部、御前に召さむ。」

と啓したまふ。

 「聞こし召しつ。」

とあれば、殿よりはじめたてまつりて、みな参りたまふ。階の東の間を上にて、東の妻戸の前までゐたまへり。女房、二重、三重づつゐわたりて、御簾どもをその間にあたりてゐたまへる人びと、寄りつつ巻き上げたまふ。


中宮の大夫が中宮様の御簾の前に参上して

「上達部の皆様を中宮様の御前にお召しなさりますように」

と申し上げなされました。

(中宮様付きの女房から)

「お認めになられました」と(返事が)ありましたので、

殿(道長様)を先頭に上達部は全員、中宮様の御前に参上なされました。

御正面の階の間を上座として、東の妻戸の前まで位の順に着座されます。

女房たちは二列、三列になり、並んで座っています。

その後、御簾の近くに座っていた女房がそれぞれの近くの御簾をき上げなさります。


大納言の君、宰相の君、小少将の君、宮の内侍とゐたまへるに、右の大臣寄りて、御几帳のほころび引き断ち、乱れたまふ。

 「さだ過ぎたり。」

とつきしろふも知らず、扇を取り、たはぶれごとのはしたなきも多かり。大夫、かはらけ取りて、そなたに出でたまへり。「美濃山」うたひて、御遊び、さまばかりなれど、いとおもしろし。


※「美濃山」:催馬楽(平安時代に隆盛した古代歌謡。各地の民謡・風俗歌に外来楽器の伴奏を加えた形式の歌謡)の曲。


大納言の君、宰相の君、小少将の君、宮の内侍と座っていたのですが、右大臣様が近づき、目隠しの御几帳の綴じ目の所を引きちぎってしまうなど、酔いが回ったのかかなり乱れておられます。

「お年に似合わず(やり過ぎ)」などと、他の人が肘をつつき合い呆れていることも知らないで、ついには女房の扇を取り上げ、下品な戯れ言葉も乱発します。

中宮の大夫が盃を持ち、右大臣の前に来られました。

「美濃山」を謡います。

ほんの形ばかりなのですが、なかなか上手です。





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