表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紫式部日記 舞夢訳  作者: 舞夢
57/178

綾ゆるされぬは、

(原文)

 綾ゆるされぬは、例のおとなおとなしきは、無紋の青色、もしは蘇芳など、みな五重にて、襲ねどもはみな綾なり。

大海の摺裳の、水の色はなやかに、あざあざとして、腰どもは固紋をぞ多くはしたる。

袿は菊の三重五重にて、織物はせず。

若き人は、菊の五重の唐衣を心々にしたり。

上は白く、青きが上をば蘇芳、単衣は青きもあり。

上薄蘇芳、つぎつぎ濃き蘇芳、中に白きまぜたるも、すべてしざまをかしきのみぞ、かどかどしく見ゆる。

言ひ知らずめづらしく、おどろおどろしき扇ども見ゆ。


※綾ゆるされぬ;禁色である青色と赤織物の唐衣を許される身分でない人。


綾織物を身に付ける身分でない人たちで、例えば年かさが増した女房たちの場合は、唐衣には無地の青色を用い、あるいは蘇芳色などにして、全て五重、ふさの飾りなどは全て綾織りにしています。

大海の摺り模様の裳の水色が、鮮やかで裳の腰の部分は固織に多くの人がしています。

袿は菊の三重五重にして、織物は身に付けていません。

若い人たちは、菊の五重の唐衣を思い思いに身に付けています。

表は白く、青色の上を蘇芳にして、単衣は青くしている人もいます。

表を薄蘇芳色にして、つぎつぎに濃き蘇芳色にする、そしてその下に白色を混ぜている人もおりますが、その全体的な仕立てを「考えてある」場合に限り、興味を持って見ることができます。

ただ、中には、何と言っていいのかわからないほどに、けばけばしい扇なども見られれます。


紫式部による低位女房たちの、着用する衣の観察である。

あえて、細かな説明は、省いた。

(よほど呉服に詳しくないと理解が無理。字面を追うだけになるため)


女房それぞれが、その出身家柄と身分に応じて、意匠を凝らして艶やかに・・・といったところか。

ただ、紫式部は、その衣装の善悪や妥当性を判定する立場にはなく、あくまでも「道長が喜べばいい」だけの世界である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ