表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紫式部日記 舞夢訳  作者: 舞夢
55/178

弁の内侍は璽の御筥

(原文)

弁の内侍は璽の御筥。

紅に葡萄染めの織物の袿、裳、唐衣は、先の同じこと。

いとささやかにをかしげなる人の、つつましげにすこしつつみたるぞ、心苦しう見えける。

扇よりはじめて、好みましたりと見ゆ。

領巾は楝緂。

夢のやうにもごよひのだつほど、よそほひ、むかし天降りけむ少女子の姿もかくやありけむとまでおぼゆ。

 近衛司、いとつきづきしき姿して、御輿のことどもおこなふ、いときらきらし。藤中将、御佩刀など執りて、内侍に伝ふ。


※璽の御筥:三種の神器の八尺瓊勾玉の入った箱。

※楝緂:薄紫と白の段染め。

※もごよひのだつ:うねり歩く。


(舞夢訳)

弁の内侍は、御璽の御筥を運びます。

紅の掻練に葡萄染めの織物の袿、裳と唐衣は左衛門の内侍と同じです。

とにかく小柄で清楚な雰囲気の女性なので、気恥ずかしそうで遠慮がちな振舞い、少し気の毒に見えます。

しかし、扇を始めとして、左衛門の内侍よりは趣向が勝っているように見えます。

領巾は楝緂になっています。

二人の内侍が、まるで夢の世界のようにうねり歩く姿は、その昔に天から降りて来たと言われる天女も、このようであったのかと思われるほどに素晴らしいのです。

近衛府の役人たちは、この行幸にふさわしい装束で、御輿のお世話をしていますが、とにかく立派に見えます。

藤中将は神器の剣などを取り出して内侍に渡しています。


紫式部による実況報告が続く。

内心では違和感を持ちながらも、儀式そのものは当時国内最高ランクのもの。

紫式部としても、その見事さには賞賛を惜しまない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ